宗教法人が建物と土地を売却したときの税金について

《質問》

 宗教法人が保有している建物と土地を譲渡する予定があります。
 譲渡する相手はまだ未定です。またその不動産で収益事業又は非営利活動をどちらで活動していたかも不明です。取引内容は下記の通りです。
  取得日 : H23年8月
  簿価 :8千万円(建物3千万円土地5千万円)
  売却 :1億1千万円(建物5千万円土地6千万円)
  売却日 : R3年8月(予定)
 宗教法人が建物と土地を売却したときの税金についてご相談があります。
 法人税基本通達15-1-12を確認すると、公益法人等が相当期間にわたり固定資産として保有していた土地であり、かつ、その建築又は変更から分譲に至る一連の行為が専ら土地の譲渡を容易にするために行われたものであると認められる場合は不動産販売業に該当しないものとするとあります。
① 今回のケースは、この基本通達に当てはまるかどうか懸念していますので詳しいアドバイスをお願いします。
② 仮に当てはまるのであれば税金は発生しないという認識で間違いないでしょうか?
③ 基本通達を読む限り、土地の譲渡だけなので、建物は該当しないのでしょうか?

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取締役が行った競業避止義務違反の行為に対する税務上の扱いについて

《質問》

 税務調査の過程において、取締役がその会社の業務を内緒で行い、収入を得ていた場合の課税について、教えてください。

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合同会社における役員退職金の取扱いについて

《質問》

 合同会社の社長が、現在6期目ですが、奥さんと代表者を替わろうとしています。
 奥さん、お母さん、本人が業務執行社員で本人が代表社員です。
 退職金の支給要件ですが、本人の持分を全額奥さんに渡して社員の地位も外れないと駄目でしょうか。
 本人の持分はそのままで、業務執行社員を外して、単なる社員となり、お給料半分以下でも退職金支給の要件満たしますでしょうか。

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役員社宅取得に係る消費税額控除について

《質問》

 役員から使用料を徴収せずに無償で貸し付ける社宅の取得費は、消費税の仕入税額控除の対象となるのでしょうか?
 役員に無償で社宅を貸与する場合には、賃借料相当額が給与として課税されます。
 従って、契約上無償で貸付を行い、法人は別表で賃借料相当額を加算し、役員には現物給与として賃借料相当額を所得税の課税対象としています。
 この場合には、無償で貸し付ける社宅となり、消費税の仕入税額控除の対象となるのでしょうか。それともこの無償で貸し付ける契約は無効なのでしょうか?

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無対価合併が適格合併に該当するかどうか

《概要》

・合併前  甲氏  乙氏(甲氏の配偶者)  甲氏
      ↓30% ↓70%         ↓100%
         A社            B社

・合併後  甲氏  乙氏(甲氏の配偶者)
      ↓30% ↓70%
         A社

《各種情報》

 B社を被合併法人とする吸収合併を行った(A社が存続する)。
 A社は、株主に対して合併による新株発行は行わない(資本金の増加なし・金銭等の交付もなし)。
 A社・B社とも設立以来、株主の異動はなく、A社は自動車パーツの卸売業・B社は自動車パーツの小売業を行っている。
 乙氏は甲氏の配偶者であることから、A社・B社に法人相互の完全支配関係がある。

《質問》

 本件合併は、適格合併に該当するでしょうか。適格合併に該当しない場合、下記の参考資料の理由から非適格合併(適格合併でない)となるとの認識でよろしいでしょうか。

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非上場株式の買取価額について

《前提》

A社(6月決算)の
(1)株主構成(株、議決権も同じ)
 K氏        40株
 K氏の母    10
 N氏     20
 N氏の子   40
 N氏の子   40
 自己株式   50
 合計     200株
 (注)K氏とN氏は他人です。
自己株式は昨年K氏の兄、死亡時に買い取ったものです。

(2)株式の評価(相続税基本通達)(5月末現在)
 第3表
 ① 類似業種比準価格          10,000千円
 ② 1株あたりの純資産額       15,000千円
 ③ 1株あたりの純資産額の80%相当額   12,000千円
(注)A社の規模は大会社に該当

(3)A社は銀行から融資を受けて、K氏とK氏の母の株式を買い取ろうとしています。

(4)昨年、K氏の兄から買い取った価額は、小会社の評価により1株850万円でした。

《質問》

(1)今回の買い取り価額はいくらが妥当ですか。
また、その根拠を教えて下さい。
(2)所基通23~35共-9(4)により、売買実例のあるものとして、1株850万円で売買は可能ですか。
(3)契約日は、2月が先方の希望のようですが、銀行の融資は、本年6月の決算で計上しておかないと、おかしいでしょうか。

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解散決算登記後の処理と株価計算について

以下の法人は、いずれも中小企業に該当する7/31決算法人です。

 オーナー甲とその同族会社である不動産所有会社S社(オーナー一族及び別の同族会社H社が100%出資)が株主であるグループの事業中核会社R社(オーナー甲60%とS社40%が出資)の解散清算を近々予定しており、その清算結了登記後のS社での処理とS社の株価計算についての質問です。私はR社の顧問をしておりますが、S社とH社は別の税理士が担当しております。

《質問1》
 そもそもR社は、オーナー甲とその同族会社S社からすると、その所有形態は、「一の者による直接・間接(みなし直接)の完全支配関係にある」子会社と考えられるでしょうか?

《質問2》
 完全支配関係にあるとした場合、S社のB/S上の①貸付金債権放棄損失(貸倒損失)と②投資有価証券の消滅損とが損金計上可能か否かについてですが
(1) ①については、過去の支援状況からして「子会社の解散等に伴う当該子会社等のための損失負担に「合理的な整理計画」の下で経済的合理性がある場合には寄附金には該当しない」というケースに当たらないとすれば、グループ法人税制の「完全支配関係がある内国法人間の寄附」として、全額損金不算入、全額益金不算入ということになるのでしょうか?

(2) ②の有価証券消滅損は、完全支配関係子会社間損金不算入(資本金の40%相当分)となり、別表4加算と別表5(1)でのⅠ(利益積立金増)とⅡ(資本積立金減)の振替処理とすべきでしょうか?それと解散法人R社の繰越欠損金は、親会社S社への引継ぎが可能となるという理解でよいでしょうか?

《質問3》
 S社の株価計算について、中会社の小に該当する場合、類似業種比準価額の算定上の純資産価額は別表5(1)のⅠ(利益積立金増)とⅡ(資本金等の額減)がベースとなる為変わりませんし、年利益金額でも「引き継いだR社の繰越欠損金」は有ったとしても減額にならず、第5表の純資産価額(相評)での投資有価証券が消えて純資産が減るという点だけが株価下落要因になるだけでしょうか?

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合併に伴い被合併法人の役員に対し退職金を支給することの是非と退職所得控除

《質問》

 A社(合併法人:平成8年1月設立)はB社(被合併法人:平成10年3月設立)を令和3年9月に吸収合併することになりました。B社では合併することを機に設立時からの代表者甲に対し、退職金を支給することを予定しています(B社は未払金処理、A社で支給)。甲はA社においても代表者であり、引続きA社の代表者に止まりますが退職金の支給についての課税上の問題はありませんか。
 なお、甲は、3年前にA社に吸収合併されたC社からも退職金の支給を受けていますが(勤続年数 8年:勤続期間 平成22年~30年)、このような場合の退職所得控除額の計算はどのようになりますか。

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日当、宿泊費について(更新)

2018年4月9日に投稿しました「日当、宿泊費について」の参考資料「2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査」(産労総合研究所出版 労務事情より)が、2019年度に更新されましたので再度修正して投稿いたします。

《前提》

 衣料品、小物の輸入販売の会社で、ご夫婦で経営されています。従業員はおらず年商1.5億円ほどの規模です。主に、イタリアから輸入しデパートに卸しますが、自ら仕入れる場合と仲介手数料をもらう場合があり、どちらにしても3か月に一度、約1か月間社長がイタリアに行き、現地の工場と交渉等を行います。

《質問》

 この度税務調査が入ることとなり、会計処理や各規定等を見直していたところ、出張の日当、宿泊手当てに関して不安を感じたのでご質問させていただきます。
 会社には海外出張旅費規定があり、社長のヨーロッパ出張につきまして日当10,000円、宿泊費15,000円と定めております。なお、宿泊費は実費ではなく定額支給となっています。
 また、支度金として30日未満の出張は80,000円、30日を超える場合は100,000円を支給しております。日当と、宿泊費と支度金のすべてを同時に支払っており、税務調査に当たって不安を感じております。
 なお、30日間の出張となりますと、一回の出張(年数回あり)で総額850,000円を社長に支払っており、金額も大きくなるので不安に感じております。
 また、一般的な日当、宿泊費の相場はございますでしょうか?何か参考にさせて頂ければと思います。

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賃借オフィスビルの内装工事の取扱いについて

《前提》

 甲社は、都内の51階建てオフィスビル(鉄骨鉄筋コンクリート造)に入居しています。
 この度同じ階の隣のフロアに空きが出たため、隣のフロアも賃借し事務所の増床を行いました。
 下図のA部分(A-a:事務所、A-b:会議室、A-c:社長室)を15年前より賃借しており、新たにB部分が追加されました。

キャプチャ

《工事工事内容》

(1)壁取壊し工事
① A部分とB部分を一体的に利用するため、壁の一部を取り壊す。

(2)タイルカーペットについての工事
① 新たに賃借したB部分の床に敷き詰められているタイルカーペットを全て剥がす。
 なお、後④で再利用する。
② 従来から賃借しているA部分の什器一式(机・椅子・キャビネット等)を一旦B部分へ移設退避する。
③ A部分の床に敷き詰められているタイルカーペットを全て剥がし処分する。
 なお、A-a及びA-bのタイルカーペットは、15年前に賃借した際に元々敷き詰められていたものです。
 A-cのタイルカーペットは、最初に賃借した際に自己負担にて若干上質のものに変更していたものです。A-cのタイルカーペットは、資産計上されています。
④ ①で剥がしたタイルカーペットをA-a部分に敷き詰める。
⑤ 新たに購入したタイルカーペットをA-b部分に敷き詰める。
⑥ 新たに購入したタイルカーペットをA-c部分に敷き詰める。
⑦ ②で一旦B部分へ移設退避した什器一式をA部分に戻す。
⑧ 新たに購入したタイルカーペットをB部分に敷き詰める。

(3)クロスについての工事
 新たに賃借したB部分のクロスを甲社好みのデザインのものに張り替える。

(4)エントランスドアについての工事
 新たに賃借したB部分のエントランスドアを甲社好みのデザインのもの(鋼製)に取り換える。

《質問》

(1)壁取壊し工事について、以下ご教示ください。
・資産計上の要否、資産区分、耐用年数

(2)タイルカーペット工事について、以下ご教示ください。
・⑤のタイルカーペットの資産計上の要否、資産区分、耐用年数
・⑥のタイルカーペットの資産計上の要否、資産区分、耐用年数
・⑧のタイルカーペットの資産計上の要否、資産区分、耐用年数
・②及び⑦の什器移設費用の取扱い(A-a:事務所、A-b:会議室、A-c:社長室)

(3)クロス工事について、以下ご教示ください。
・資産計上の要否、資産区分、耐用年数

(4)エントランスドア工事について、以下ご教示ください。
・資産計上の要否、資産区分、耐用年数

 上記(1)から(4)は別々に資産計上の要否を検討するのでしょうか?
 賃借物件の造作として一括して資産計上の要否を検討するのでしょうか?
特に耐用年数については、具体的年数の答えを教えていただきたいです。

 賃借建物に行った内部造作工事については、一括して耐用年数を合理的に見積もって計上するとありますが、いち税理士が見積もることは実際なかなか困難かと思われます。
 オフィスビルに入居する法人が上記のような工事を行うことは頻繁に事例としてあるかと想像します。税務当局はどのように取り扱っているのでしょうか。
 建物附属設備の前掲のもの以外(主として金属製)18年を使用しておけば調査で特別問題視されないといった都市伝説も聞いたことがありますが・・・。

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