役員退職金について その1

 A社は、M&Aにより上場会社の子会社になります。これにより、A社で採用していた役員退職金制度は廃止することになりました。
 A社の役員は子会社化後も継続します(子会社化後に任期満了を迎えますが重任します)。

《質問》

1. 役員退職金職制度を廃止するので、廃止時または任期満了時に、役員就任時からの役員退職金制度廃止時までの期間に係る役員退職金を支払う場合には、法人税及び役員の所得税の取り扱いはどうなるのでしょうか。

2. 上記1.ではなく、重任の数年後に役員が退任した時に、役員退職金を支払う場合
 廃止となった役員退職金規定では、「最終報酬月額 × 役職係数 × 役員期間」で退職金を計算することになっておりますが、役員期間を役員就任時から役員退職金制度廃止時でなく、役員就任時から今回の役員退任時で計算しても、過大役員退職金にならないでしょうか。また、役員の所得税(特に勤続年数)の取り扱いはどうなるのでしょうか。

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加算税の基礎知識 (その4) 重加算税(法人税)

《質問》

 税務調査において、調査官から非違を指摘され、それが隠蔽・仮装に基づくものだと、修正申告の提出とともに、重加算税が追徴されることとなります。
 重加算税の税率は最低35%と、納税者側の負担も大きいことから、できれば避けたいのが本音です。
 だれが見ても明らかな不正はやむをえませんが、隠蔽・仮装の意義、つまみ申告に係る重加算税賦課の基準、無申告の場合の重加算税賦課など、国税当局との見解の相違により、結論が大きく変わることがありそうです。
 それらの場合の法令、判例等に基づく考え方について、説明をお願いします。
 併せて、次のようなケースについて、ご教示願います。

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加算税の基礎知識(その2) 無申告加算税(法人税)

《質問》

 法定申告期限までに確定申告書を提出しなかった場合において、無申告加算税が賦課されますが、事案や事由によっては賦課されない場合があると聞きました。
 それは、提出しなかったことについて「正当な理由」がある場合や、「更正の予知」をせずに自主的に確定申告書を提出した場合などが該当するとのことですが、身近な場面でのこのようなケースについて、教えてください。
 併せて、源泉所得税に係る不納付加算税についても、偶発的納付遅延による加算税の免除制度があると聞きましたので、どのような制度なのか、アドバイスをお願いします。

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自己の居住用に供していた建物を貸付事業用に転用し、その後売却した場合の課税関係

《質問》

 居住用マンションを取得し、自己の住居として利用していましたが、手狭になり別の物件を求めることにしました。住居としていたマンションは事務所として貸付用に転用することにしましたが、その後、2年ほどして賃借人が退去したため譲渡することになりました。転用した時、譲渡した時の所得税・消費税の課税関係についてご教示ください。

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株式の譲渡損失を申告漏れした場合の更正の請求の可否

《質問》

 一般口座で取引をしていた上場株式について譲渡損失が生じていたにもかかわらず、令和5年分の確定申告において申告を失念してしまいました(上場株式の譲渡以外の申告については、申告済み)。令和6年分において多額の上場株式の譲渡益が生じる見込みです。どのように対応すればよいのでしょうか。

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相続税:生前贈与に係る遺留分侵害額請求の課税関係

 生前に全財産が贈与された場合の遺留分侵害額請求の課税関係についてご教示ください。

《前提事実》
被相続人(親)の相続人は子Aと子Bである。
親は生前に子Aに財産を贈与(子Aは暦年贈与を適用して申告・納税済)しており、相続時には財産はなかった。
子Bは子Aに対し、遺留分侵害額請求を行い、子Aはこれに応じた。

《質問》
1.  子Aから子Bに遺留分として金銭を支払った場合には、子Aが贈与税の更正の請求を行い、子Bが贈与税を納税することになるのでしょうか。

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譲渡所得:概算取得費により申告した後に実額が確認できた場合の 更正の請求

《事実関係》

 Aさんは、令和5年に東京都区内に所在する土地(住宅地)を売却しました。
 Aさんは、譲渡所得の計算において、土地を購入した平成3年(1991年)当時の取得費を証する売買契約書等がみつからなかったため、概算取得費(譲渡価額の5%)により計算して確定申告を済ませました。
 確定申告期限の後、購入当時の取得価額が分かり、その価額が概算取得費より高額であったので、その価額を取得費として更正の請求を行いました。

《質問》

 更正の請求書に添付する資料は次のとおりですが、取得費を主張する添付資料((1)又は(2))如何により更正の請求の可否に違いがあるでしょうか。
(1) 譲渡物件の購入金額を証する売買契約書や領収書等を添付する場合
(2) 購入金額を証する売買契約書や領収書は見つからないが、「市街地価格指数」や平成3年当時の路線価を基にした簡便法(路線価格÷0.8)等により、取得費の推計額を説明する資料を添付する場合

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事業を廃止した場合の簡易課税選択届出の効力

【事実関係】
 個人甲は、平成20年に個人の事業を廃止し、税務署に個人事業の廃業届出を提出しました。なお、当時甲は免税事業者だったそうですが、開業当初は簡易課税制度選択届出書の提出をしていました。

【質問】
①甲は、今年に、個人事業を新たに開業する予定ですが、平成20年に個人事業の廃業届出書を提出していますので、新たに事業開始届出書の提出が必要になると考えてよいでしょうか。
②平成20年に、個人事業の廃業届出を提出したものの、簡易課税選択の取りやめ(消費税の事業廃止届出書)の提出はしていなかったようです。今年、事業を開始した場合には、消費税については、簡易課税選択届出が有効になっているものと考えてよいでしょうか。

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相当の地代

《質問》

 下図のように、会社Aと個人甲の所有の土地の上に会社Aが賃貸建物を建築中です。
① 相当の地代を計算する場合(権利金のやり取りなし)において、土地を路線価で評価する時、会社Aと個人甲の土地を全体として評価し、個人甲の持分面積割合を乗ずればよいのでしょうか。
② 無償返還の届出書を提出し地代をやり取りする予定ですが、固定資産税の2~3倍を下限とし、相当の地代を上限とする範囲内で地代を決定すれば課税上問題ないでしょうか。
 また3年ごとの地代改訂や地代改訂しない場合でも課税上問題ないでしょうか。
③ 上記②で仮に個人甲が法人Bであった場合において、無償返還の届出書を提出し、相当の地代でやり取りする場合、3年ごとの地代改訂でも課税上問題ないでしょうか。
④ 上記②及び③の地代のやり取りは、建築中からすべきでしょうか。

会社1

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