未公開株式の売買価格について

《前提》

売主個人A(30%保有)買主個人B(50%超)
甲会社(元社長Aの会社でBグループが大株主)
会社は、大会社区分
配当還元価格1,000円、類似5,000円、純資産10,000円
59-6での小会社とみなす場合9,000円

《検討》

①  A所有の株式をBへ売却の場合の時価の検討
 Bだけで同族株主となり、Aは同族株主ではないため、本来配当還元価格でいいが買主が同族であり、みなし贈与がかかるため、財産評価通達の原則法により、類似で売買する予定です。
 考え方は、よろしいでしょうか?

②  A所有の株式を甲に売却する場合の時価の検討
 Aは、中心的同族株主ではないため、Aの時価は配当還元であり、甲へのみなし譲渡もない、甲は、増資という資本取引であり、配当還元でも問題なし。
 但し、Bは同族株主であり、AからBへのみなし贈与(配当還元から類似へ)が発生してしまうので、Bの時価である類似で売買予定。
 この考え方でよろしいでしょうか。
 この場合、Aは、少数株主なので、みなし譲渡の基準は配当還元の1,000円なので1,000円の1/2以上での売却であれば、Aには、譲渡の問題はないということでよろしいでしょうか。

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同族株式の譲渡や贈与時における評価額について

《前提条件》

法 人 名 : 甲株式会社
事   業 : 教育図書の出版等
会社規模 : 大会社
発行株式 : 60万株
資 本 金 : 3,000万円(額面1株50円)
株   価 : 類似2,000円 純資産3,000円 配当還元方式25円 合計12億(類似
     2,000 円×60万株)
株主構成 : 添付「株主構成」ファイル参照
(当該法人は「同族株式のいる会社」のうち、Ⓐグループは「中心的な同族株主」と考えられます。)

甲株式会社 株主構成一覧

《質問》

1. 添付「株主構成」記載のⒷグループ株主からⒶグループ株主への株式移転について
① Ⓑグループ株主の株式すべて(24,626株)を、仮に「中心的な同族株主」以外のものに贈与または譲渡する場合は、配当還元方式による株価で贈与又は譲渡して差し支えないでしょうか。(25円×24,626株=615,650円)

② ①における「中心的な同族株主」以外の者は例えば、Ⓐ-⑦のご兄弟などは「中心的な同族株主」以外の者に該当するという認識で差し支えないでしょうか。
※中心的な同族株主
「課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する株式の合計数がその会社の発行済株式数の25%以上である会社を含みます。)の有する株式の合計数がその会社の発行済株式数の25%以上である場合におけるその株主をいうもの」

2. 持株会への譲渡について
仮にⒷグループ株主の株式すべてを、持株会へ譲渡する場合は、額面50円×24,626
株 = 1,231,300円での譲渡対価の設定で課税上差支えないでしょうか。
尚、持株会は甲株式会社の役員以外の社員で構成する予定です。

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小規模宅地等の特例の適用関係

《質問》

 二世帯住宅に居住していた被相続人が特別養護老人ホーム等へ入居後に、被相続人が居住していた1階部分を事業の用に供した場合における小規模宅地等の特例の減額については下記のいずれになりますでしょうか(下図参照)。

1.  地積のうち1/2については貸付事業用宅地等の減額あり
  地積のうち1/2については特定居住用宅地等の減額なし

2.  地積のうち1/2については貸付事業用宅地等の減額あり
  地積のうち1/2については特定居住用宅地等の減額あり

    キャプチャ59

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小規模宅地の評価減の適用関係

《質問》
     キャプチャ58

 1F、2Fとも玄関は別々、内部で鍵付きだが1F、2Fは行き来ができます。
 1Fの被相続人は10年ほど前からグループホームで生活(要介護)、その後2019年11月頃に特別養護老人ホーム(要介護)に入所し2020年3月に死亡、相続人は家なき子です。
 この場合に1Fに対する土地部分は小規模宅地の評価減が適用できますか?

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令和2年度税制改正の概要等(資産税)

1.令和2年度税制改正の概要《一部抜粋》 より

収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等
《措法33、33の2、33の4》(適用:令和2年4月1日以後)
【改正の概要】
○ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等の適用対象に、配偶者居住権等の目的となっている建物等が収用等をされた場合において、配偶者居住権等が消滅等をし、一定の補償金等を取得するときが追加されました。

配偶者居住権等の消滅等の補償に関する収用等の特例の適用関係の例
キャプチャ80

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除①
  《措法35の3》(適用:令和2年7月1日から令和4年12月31日まで)
【改正の概要】
○ 個人が、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内にある土地基本法第13条第4項に規定する低未利用土地又は当該低未利用土地の上に存する権利(以下「低未利用土地等」といいます。)で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合(当該譲渡の後に当該低未利用土地等の利用がされる場合に限ります。)には、その年中の低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から100万円(当該長期譲渡所得の金額が100万円に満たない場合には、当該長期譲渡所得の金額)を控除する特例が創設されました。
(注)この特例は、所得税法第58条、措置法第31条の2、第31条の3、第33条から第33条の4まで、第34条から第35条の2まで、第36条の2、第36条の5、第37条、第37条の4から第37条の9までの規定とは選択適用とされています。

キャプチャ91

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除②
  《措法35の3》(適用:令和2年7月1日から令和4年12月31日まで)
【特例の適用が受けられない場合】
① 当該個人と次に掲げる特別の関係がある者に対して譲渡をする場合
イ 当該個人の配偶者及び直系血族
口 当該個人の親族(上記イに掲げる者を除きます。)で当該個人と生計をーにしているもの
ハ 当該個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計をーにしているもの
ニ 上記イからハまでに掲げる者及び当該個人の使用人以外の者で当該個人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
ホ 当該個人、当該個人の上記イ及び口に掲げる親族、当該個人の使用人若しくはその使用人の親族でその使用人と生計をーにしているもの又は当該個人に係る上記ハ及びニに掲げる者を判定の基礎となる所得税法第2条第1項第8号の2に規定する株主等とした場合に法人税法施行令第4条第2項に規定する特殊の関係その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他の法人
② 譲渡の対価(当該低未利用土地等の譲渡とともにした当該低未利用土地の上にある資産の譲渡の対価を含みます。)の額が500万円を超える場合
③ この特例の適用を受けようとする低未利用土地等と一筆であった土地からその年の前年又は前々年に分筆された土地又は当該土地の上に存する権利の譲渡を当該前年又は前々年中にした場合において、その者が当該譲渡につきこの特例の適用を受けている場合

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除③
  《措法35の3》(適用:令和2年7月1日から令和4年12月31日まで)
【添付書類】
① 譲渡をした低未利用土地等の所在地の市町村長又は特別区の区長のイからニまでに掲げる事項を確認した旨並びにホ及びへに掲げる事項を記載した書類
イ 当該土地等が都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内にあること
口 当該土地等が、当該譲渡の時において、低未利用土地等に該当するものであること
ハ 当該土地等が、当該譲渡の後に利用されていること又は利用される見込みであること二当該土地等の所有期間が5年を超えるものであること
ホ 当該土地等と一筆であった土地からその年の前年又は前々年に分筆された土地等の有無
へ 上記ホに規定する分筆された土地等がある場合には、当該土地等につき、この①に掲げる書類の当該譲渡をした者への交付の有無
② 譲渡をした低未利用土地等に係る売買契約書の写しその他の書類で、譲渡の対価(当該低未利用土地等の譲渡とともにした当該低未利用土地の上にある資産の譲渡の対価を含みます。)の額が500万円以下であることを明らかにするもの

その他の資産税の改正の概要①
キャプチャ81

その他の資産税の改正の概要②
キャプチャ83

国税庁HP→お知らせ→報道発表
令和2年12月
国税庁

   令和2年分の路線価等の補正(7月~12月分)に係る対応について
1 令和2年分の路線価及び評価倍率(以下「路線価等」といいます。)については、本年7月1日(水)に国税庁ホームページで公開しました。
2 路線価等は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格(時価)の80%程度を目途に評価したものですが、本年については公開時に、「今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査(7月1日時点の地価を例年9月頃に公開)の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、納税者の皆様の申告の便宜を図る方法を幅広く検討いたします。」と公表したところです。
3 その後、国税庁においても地価動向調査を行い、路線価等の補正を行う必要性について随時検討しており、
(1)令和2年1月から6月までの期間については、路線価等が時価を上回る(大幅な地価下落)状況は確認できませんでしたので、路線価等の補正は行わない旨を公表しました(令和2年10月28日報道発表)。
(2)令和2年7月から9月までの期間については、令和3年1月下旬に公表しました。
(3)令和2年10月から12月までの期間については、令和3年4月の公表を予定しています。
 それに先立って、令和3年1月下旬に路線価等が時価を上回る可能性がある地域を公表しました。
4 令和2年分の贈与税の申告・納付期限は令和3年3月15日(月)となっていますが、上記を踏まえ、令和2年分の贈与税の申告・納付期限の延長の取扱いについて以下のとおりお知らせします。
(1)令和2年1月から9月までの間に贈与を受けた場合の申告・納付期限は、令和3年3月15日(月)で変更ありません。
(2)令和2年10月から12月までの間に贈与を受けた場合の申告・納付期限について、路線価等が時価を上回る(大幅な地価下落)可能性がある地域として令和3年1月下旬に公表された地域に所在する土地等の贈与を受けた方については、個別の期限延長により、路線価等の補正に係る公表の日(令和3年4月を予定)から2か月以内の申告・納付を認めることとします。

(注)国税庁による路線価等の補正の公表前に申告を行い、その後、路線価等の補正の公表を受けて改めて計算した結果、納付すぺき税額が過大であったことが判明した場合は、「更正の請求」により税額の減額を請求することができます。
 また、令和3年1月下旬に公表した地域以外で、4月に新たに路線価等が時価を上回る地域として公表した場合について、その地域に所在する土地等の贈与を受け申告された方についても「更正の請求」をすることができます。

 

住宅の取得等に含まれる消費税が8%と10%がある場合の住宅ローン控除

《質問》

 住居の工事請負契約を平成31年3月に契約しました。建築費は3000万円で、契約書に記載された消費税率は、8%となっています。その後追加工事が行われ、令和2年9月になり住居が完成し入居しました。追加工事費は500万円で、10%の消費税が課されています。住宅ローン控除の額はどのように計算しますか。本体工事または追加工事にどのように充てたとして控除額の算出をするのですか。なお、住宅ローンの金額は2500万円です。

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確定申告に当たり注意すべき事項(所得税)第4回

十七 臨時所得の平均課税
問 確定申告において臨時所得の平均課税を失念していた場合、更正の請求はできるのか。

答 平成23年分の税制改正で、当初申告要件が廃止され、確定申告で適用せずに申告したとしても、更正の請求、修正申告において、適用受ける旨の記載と明細書の添付があれば適用ができる(所法90④)。

十八 税額控除
1 配当控除失念による更正の請求
問 確定申告において配当控除を失念した場合、更正の請求等による是正ができるのか。

答 住宅ローン控除等の他の税額控除と異なり、確定申告書への記載が要件とされておらず、更正の請求等による是正ができる(所法92)。

2 外国税額控除
⑴ 更正の請求での外国税額控除適用
問 確定申告書に外国税額控除の記載がない場合、更正の請求において外国税額控除を適用できないのか。

答 平成23年分以後の所得税における外国税額控除の適用に当たっては、当初申告要件が廃止され、従来の確定申告書に加え修正申告書又は更正の請求書に当該控除金額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付があり、かつ、控除対象外国所得税の額を課されたことを証する書類その他財務省令で定める書類を添付すればできることとされた(所法95⑩)。

⑵ 外国税額控除の適用年度
問 令和2年分の所得に対する外国所得税を令和3年になってから支払うが、外国税額控除を適用はいつか。

答 外国税額控除を適用する年分は、外国所得税を納付することとなる日の属する年(継続適用を条件に支払った年とすることもできる。)となる(所基通95-3)。この場合、令和2年分は、控除余裕額を計算した外国税額控除の計算明細書を確定申告書に添付して申告したうえで、令和3年分でその控除余裕額の範囲内で外国税額控除を行うことになる(所法95②、122②)。

⑶ 申告しないことを選択した場合の外国税額控除
問 特定口座(源泉徴収あり)で取り扱っている国外株式の配当等について、配当所得の申告をしないことを選択した場合、外国税額控除だけを申告することができるのか。

答 国外株式の配当等について、申告不要制度(措法8の5、9の2⑤)の適用を受けること(申告しないこと)を選択した場合には、当該配当等に係る外国所得税額は、外国税額控除の計算上「外国所得税の額」に該当しないものとみなされるため、外国税額控除の計算の基礎に入れることはできない(措令4の5⑪)。

3 住宅借入金等特別控除
⑴ 相続による取得
問 相続により住宅を取得するとともに住宅ローンを継承した場合、住宅借入金等特別控除の適用はあるのか。

答 相続により住宅を取得するとともに借入金を承継しても、その借入金は相続による債務の承継であり住宅を取得するための借入金ではないので、相続により取得した住宅については、住宅借入金等特別控除の対象とならない(措法41)。

★⑵ 財産分与による取得
問 離婚による財産分与で前夫所有の住宅持分を取得し住宅ローンを引き継いだ場合、住宅借入金等特別控除の適用はあるのか。

答 贈与による取得ではなく、生計を一にする親族等からの中古家屋の取得ではないことからその他の要件を満たしていれば住宅借入金等特別控除の適用はある。

★⑶ 共有持分の追加所得
問 前夫と共有マンションを連帯債務による住宅ローンで取得し、住宅借入金等特別控除の適用を受けてきた。この度離婚による財産分与で、前夫から共有持分を追加取得し新たに金融機関から借入で連帯債務を返済した場合、住宅借入金等特別控除の適用はあるのか。

答 「家屋を2以上有する場合」には該当せず、当初持分に併せて追加取得した共 有持分についても住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる(措令26④)。控除額の計算については、住宅借入金等特別控除の重複適用に準じて行う。

★⑷ 住宅借入金等特別控除の重複適用
問 平成25年に全額住宅ローンにより3000万円(残高2500万円)で新築した建物について、令和2年に新たに全額ローンで増改築500万円(残高500万円)を行った場合の令和2年分控除額はいくらか。

答 平成25年建物取得分 2500万円×1%=25万円(控除限度額20万円)
令和2年増改築分  500万円×1%=5万円(控除限度額40万円)
20万円+5万円=25万円(控除限度額は両者のうち多い方の40万円)
したがって25万円が控除額となる。
なお、増改築が特別特定取得に該当すれば、当該取得分については13年間の控除が受けられる。

⑸ 住宅借入金等特別控除の対象となる増改築等
問 父所有の建物を所有者でない子が増改築した場合、住宅借入金等特別控除の適用はあるのか。

答 増改築した場合の住宅借入金等特別控除の適用は、自己の所有している家屋 について増改築した場合に限られるので、例えば、父の所有する家屋について子が増改築しても住宅借入金等特別控除は適用されない(措法41⑱)。
増改築をする家屋の共有持ち分を取得している場合には住宅借入金等特別控除は適用がある。

★⑹ 中古住宅の範囲
問 中古住宅の取得で住宅借入金等特別控除の対象となるもの

答 ①耐火建築物以外の建物は建築後取得までの期間が20年、耐火建築物は25年以内であるもの
  ② ①以外では、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅に該当するもの(耐震基準に該当するもの)

⑺ 住宅ローンの繰上返済
問 住宅ローンを繰上返済した場合

答 借入金の償還期間が当初10年以上であっても、その後、繰上返済等により償還期間が10年未満となった場合には、繰上返済等をした年から住宅借入金等特別控除は適用されない(措通41-19)。

★⑻ 住宅借入金等特別控除と譲渡所得の特例
問 家屋を居住用に供した年前後における住宅借入金等特別控除と居住用財産の譲渡所得の課税の特例等との適用について

答 令和2年4月1日以降の譲渡から、個人が居住用家屋等をその者の居住用に供した年及び前2年、後3年の計6年の間においては、住宅借入金等特別控除と居住用財産の譲渡所得の課税の特例等の重複適用を受けることはできないこととなった(措法41⑳㉑)。同日前の譲渡については、居住用に供した年と前後2年ずつの計5年間について重複不可と規定されていたため、居住年から3年めは重複適用できた。

⑻ 住宅資金贈与の特例と住宅借入金等特別控除
問 住宅資金贈与の特例を受けた場合の取得対価の計算はどうなるのか。

答 個人が住宅借入金等特別控除の適用を受けている年分又は前年分において、住宅資金の贈与税の非課税の特例、又は相続時精算課税の特例とを併用した場合は、住宅借入金等特別控除額の計算上、当該特例を受けた金額を住宅等の取得価額から減算する必要がある。
また、補助金(住まい給付金等)を受け取った場合も住宅等の取得対価から減額する必要がある(措法41、70の2、70の3措令26⑤)。

⑼ 個人間売買での取得
問 令和2年に個人間売買で住宅を取得した場合は特定取得となるのか

答 個人間売買による消費税の課税対象とならない住宅取得の場合には、特定取得に該当しない(措法41⑤)ため、税額控除の上限は20万円となる。なお、個人間売買でも、売主がその住宅を業務用資産として使用していた場合には、課税取引となり特定取得の場合に該当することになる。

★⑽ 借入金の担保
問 住宅新築にあたり、預金担保の借入を行い建築資金とした場合、住宅借入金等特別控除の適用はあるのか。

答 担保物についての制約はなく、借入期間が10年以上等の条件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の適用はある。

4 住宅耐震改修特別控除
⑴ 所有者以外が耐震改修
問 所有者以外の居住者が耐震改修を行った場合

答 所有者以外の者の居住者が、耐震改修を行った場合でも住宅耐震改修特別控 除の適用はある。措法41の19の2については、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除のように「(特定)個人が所有している家屋」である必要はない。

⑵ 住宅借入金等特別控除との重複適用
問 住宅借入金等特別控除と住宅耐震改修特別控除との重複適用はできるのか。

答 一の工事であっても、住宅耐震改修特別控除、住宅借入金等特別控除の各要件に該当する場合には、重複して適用することができる(措法41①⑩、措法41の19の2①)。

十九 確定申告
1 確定申告書の撤回
問 所法121条(確定申告を要しない場合)に該当する者が提出した第3期分の税額が記載された確定申告書は、撤回できるのか。

答 所法121条に該当する者が提出した確定申告書は、撤回が認められる。なお、申告書が撤回された後は、無申告となる(所基通121-2(注)1)。

2 給与所得者が20万円以下の給与を受け取った場合
問 日本の子会社から給与の支払いを受けている者(年末調整済)が、外国の親会社から20万円以下の給与等(ストックオプションを含む)の支払を受けた場合、確定申告義務はあるのか。

答 源泉徴収が行われない給与等の支払を受けている場合は、所法121条の規定(確定申告を要しない場合)の適用はなく、確定申告が必要である(所法121①、所基通121-5)。

3 源泉徴収されない公的年金が400万円以下の者の確定申告義務
⑴ 公的年金収入が源泉徴収されていない場合
問 源泉徴収の対象とならない年金を含む公的年金等の収入金額が400万円以下である場合に確定申告は不要と考えていいのか。

答 源泉徴収の対象とならない年金(例えば、公的年金として取り扱われる外国の制度に基づき国外において支払われる年金)の支給を受ける者は、公的年金等に係る確定申告不要制度を適用できない(所法121③)。

★⑵ 所得金額調整控除と年金所得者者の確定申告不要制度
問 年金所得者が給与収入も有する場合、所得金額調整控除後で確定申告不要制度を判定するのか。

答 確定申告不要制度の要件に該当するか否かの判定については、給与所得と公的年金収入を併有する場合、所得金額調整控除を適用した後の給与所得の金額を基に判定する(措法41の3の3②、⑥)。

 

確定申告に当たり注意すべき事項(所得税)第3回

十六 所得控除
1 医療費控除
⑴ 添付書類
問 医療費控除を受ける際の添付書類の変更について

答 平成29年分以降の確定申告書を平成30年1月1日以降に提出する場合、領収書の添付又は提示に代えて、医療費の明細書又は各保険者からの医療費通知を添付しなければならないこととされた(所法120④、所規47の2⑧⑨)。

★⑵ 医療費控除(補てん金)

問 癌と宣告されたことを保険事故として支給される保険金は、医療費控除に係る補てん金の額となるのか。

答 死亡したこと、重度障害になったことを基因として支払われる保険金は、医療費の補てんを目的とする保険金に当たらないため、医療費から差し引く必要はない(所基通73-8、73-9)。
【参考】
○医療費から控除するもの

支給先等 支給目的 種類
社会保険、共済、国民健康保険 医療費の支出事由を給付原因として支給 療養費、家族療養費、出産育児一時金、家族出産一時金、高額療養費
損害保険契約、生命保険契約等 医療費の補てんを目的として支払われる 傷害費用保険金、医療保険金、入院費保険金等

○医療費から控除しないもの

支給先等 支給目的 種類
社会保険、共済、国民健康保険 休業補償的なもの 傷病手当金、出産手当金
損害保険契約、生命保険契約等 死亡したこと、重度障害になったことで支払われるもの 死亡保険金、高度障害保険金

★⑶ 「医療費控除の明細書」の書き方
問 次の設例の場合、「医療費控除の明細書」の記入方法について
設例 本人の所得金額 500万円
浦和一郎(本人) ○○病院 入院費 20万円 入院給付金25万円
次郎(長男・生計一) △△病院 入院費 30万円 入院給付金15万円(令和3年受取予定)
よしこ(妻)   ××歯科  インプラント治療 40万円

答 次のとおり

○令和2年分医療費控除の明細書【内訳書】

⑴医療を受けた方の氏名 ⑵病院・薬局などの支払先の名称 ⑶支払った医療費の額 ⑷ ⑶のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額
浦和一郎 ○○病院 200,000 200,000
浦和次郎 △△病院 300,000 150,000
浦和よしこ ××歯科 400,000

⑷ 医療費控除(セルフメディケーション)
問 セルフメディケーション税制を選択して申告したが、後日従来の医療費控除を選択、更正の請求書ができるか。

答 セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例であり、申告の際に従来の医療費控除との選択適用となる。したがって、重複適用や、一度選択した控除を更正の請求や修正申告において変更することはできない(措法41の17の2)。

2 社会保険料控除(介護保険料、後期高齢者保険料)
問 控除対象配偶者である妻の年金から差し引かれた介護保険料又は後期高齢者医療保険料を夫の社会保険料控除とすることができるか。

答 社会保険料控除は、「居住者が…支払った場合又は給与から控除される場合」控除できる旨の規定となっていることから、妻の年金から差し引かれた介護保険料又は後期高齢者医療保険料を夫の社会保険料控除とすることはできない(所法74①)。なお、後期高齢者医療保険料については、妻の後期高齢者医療保険料を夫の口座から振替により支払うことを選択できることになっていることから、その選択をして夫の口座から振替により支払った場合には、夫の社会保険料控除の計算に含めることができる。
(注)妻の介護保険料が特別徴収(年金から天引き)されている場合は、本人の申し出により、特別徴収から普通徴収(現金納付又は口座振替)への変更はできないため、妻の介護保険料を夫の口座から振替により、支払うことはできない。ただし、妻の介護保険料が普通徴収されている場合、市区町村等へ一定の手続きをすることにより、妻の介護保険料を夫の口座から振替により支払うことができる。

3 寄附金控除
⑴ 入学寄附金
問 いわゆる入学寄附金は寄附金控除の対象となるのか。
答 入学1年目の年末までに支払った学校に対する寄附は、原則として寄附金控除の対象とならない(所法78②、所基通78-2)。

⑵ 宗教法人に対する寄附
問 宗教法人に対する寄附は寄附金控除の対象となるのか。

答 宗教法人に対する寄附は、国宝、重要文化財の保護の観点等から財務大臣が指定するものを除き、寄附金控除の対象とならない(所法78②二)。なお、指定された寄附金は財務大臣により告示されることになる(所令216②)ので、官報等により確認ができる。

⑶ 税額控除と寄附金控除
問 公益社団法人等に対して寄附を複数行った場合に、一部を税額控除とし、残りを寄附金控除の対象とすることはできるのか。

答 公益社団法人等に対する寄附について、所得控除又は税額控除を選択する場合には、その全てについて、いずれか一方を選択しなければならない(措法41の18の3-1)。

★⑷ ふるさと納税
問 課税所得金額500万円の所得者が、102,000円のふるさと納税をした場合の節税額と申告書への記載方法
○ふるさと納税控除額

税額 対象額 控除額
所得税 102,000-2,000=100,000 20.42% 20,420円
住民税所得割額 102,000-2,000=100,000 10% 10,000円
住民税特例控除額 102,000-2,000=100,000 69.58% 69,580円
合計 100% 100,000円

○ 住民税特例控除の割合
(人的控除差調整額控除後>0)

課税総所得金額 特例控除率
195万円以下 84.895%
330万円以下 79.79%
695万円以下 69.58%
900万円以下 66.517%
1800万円以下 56.307%
4000万円以下 49.16%
4000万円超 44.055%

(注)特例控除額は所得割額の20%が限度
限度額の判定(500万円×10%×20%=10万円>69,580)

申告書(第二表)
○寄附金控除に関する事項(㉘)

寄附先の名称 ○○市 寄附金 102,000

○住民税・事業税に関する事項

都道府県・市町村への寄附(特例控除対象) 共同募金、日赤その他の寄附 都道府県条例指定寄附 市町村条例指定寄附
102,000  –  –  –

4 障害者控除
⑴ 要介護認定
問 介護保険法により要介護認定を受けたことを理由に、障害者控除を適用できるのか。

答 要介護認定を受けたことのみで、障害者控除の対象とはならない。ただし、障害の程度が障害者に準ずるものとして、市町村長等*から認定を受けている者(「障害者控除対象者認定書」を交付されている者)は適用がある(所令10①七)。
*市町村長等とは、市町村長又は特別区の区長をいうが、社会福祉事務所が老人福祉法第5条の4第2項各号に掲げる業務を行っている場合には、社会福祉事務所長を指す。

⑵ 年少扶養親族の場合
問 年少扶養親族(扶養親族のうち、16歳未満の者をいう。)については、(特別)障害者控除が適用できないのか。

答 障害者控除の規定は、「居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が障害者である場合」と規定されているので、16歳未満の扶養親族(扶養控除の適用のある控除対象扶養親族には該当しない。)が(特別)障害者に該当する場合には障害者控除の適用がある(所法79)。

⑶ 成年被後見人
問 成年被後見人は、障害者控除の対象となる特別障害者には該当しないのか。

答 成年被後見人は、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある者」に該当し、障害者控除の対象となる特別障害者に該当する(国税庁HP平24.8.31文書回答事例)。

★⑷ 配偶者特別控除と障害者控除
問 配偶者特別控除の対象となる配偶者が、身体障害者である場合、障害者控除の適用はあるのか。

答 障害者控除の対象となるのは「同一生計配偶者」であり、配偶者特別控除の対象となる配偶者はこれに当たらないため、障害者控除の適用はない(所法79②③)。なお、配偶者自身は所得税の計算上、障害者控除の適用はある。

5 配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除
⑴ 配偶者特別控除の適用範囲
問 配偶者特別控除の所得基準

答 平成30年分の所得税から配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が、38万円超123万円以下となった。平成16年分から平成29年分までは、38万円超76万円未満である。いずれも合計所得金額に応じて逓減する。

⑵ 所得制限について(分離譲渡所得がある場合)
問 分離譲渡所得の金額がある場合の所得制限はどのように算定するのか。

答 同一生計配偶者や扶養親族の判定の際の合計所得金額は、分離譲渡所得がある場合特別控除前で算定する(措法31①③、32①④、所基通2-41(注))。

⑶ 所得制限について(純損失がある場合)
問 純損失(雑損失)の繰越控除がある場合の所得制限はどのように算定するのか。

答 純損失(雑損失)の繰越控除がある場合には、合計所得金額を繰越控除前で算定する(所法2①三十ロ、三十三)。

⑷ 扶養親族所属の変更
問 確定申告書において、控除対象扶養親族として申告していた者を、更正の請求や修正申告によって、別の納税者の控除対象扶養親族に変更することができるか。

答 二以上の居住者の扶養親族に該当する場合の扶養親族の所属は、①予定納税の減額申請書②確定申告書③扶養控除等申告書等に記載されたところによることから、その後の更正の請求や修正申告によって扶養親族の所属を変更することはできない(所令219①、所基通85-2)。

★⑸ 同一の者が配偶者控除と扶養控除の適用
問 年の中途で死亡した父親の準確定申告において配偶者控除の適用を受けた母親について父親が死亡した後においては子が扶養している場合には、扶養控除の適用はできないのか。

答 父親の準確定申告における同一生計配偶者の該当の有無については、死亡日の現況で判定する。子の申告において、控除対象扶養親族の該当の有無は12月31日の現況により判定する(所法85③)。したがって、母親は父親の配偶者控除の適用を受けたうえ、子は母親を控除対象扶養親族として扶養控除の適用も受けることができる。

⑹国外居住親族に係る送金関係書類
問 扶養控除の適用を受けようとする国外居住親族が複数おり、送金を代表者にまとめて行っている場合、その送金証明書を国外居住親族全員分の送金関係書類として取り扱うことができるか。

答 国外居住親族について扶養控除を適用する場合に添付する送金関係書類は、国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人に行ったことを明らかにすることが必要である(所規47の2⑤、所基通120-8)。

6 ひとり親控除、寡婦控除
★⑴ 婚姻歴がない未婚の親
問 婚姻歴がない未婚の親は、ひとり親控除の適用があるのか。

答 「ひとり親」とは、現に婚姻していない者又は配偶者の生死が明らかでない一定の者をいい、婚姻歴の有無は問われない(所法2①三十一)。

★⑵ 寡婦控除
問 昨年まで寡婦控除の適用を受けていた者(夫と離婚した後、扶養親族があった者)が本年は扶養親族がいなくなった場合

答 扶養親族がいない者で寡婦控除が適用されるのは、夫と死別又は夫が生死不明の場合に限られているので、寡婦控除の適用はない(所法2①三十)。

★⑶ 合計所得金額が500万円超の場合
問 合計所得金額が500万円超の場合のひとり親控除、寡婦控除の適用

答 ひとり親控除、寡婦控除(令和2年分以降)については、所得者の合計所得金額が500万円以下であることが適用要件とされている(所法2①三十、三十一)。なお、令和元年分以前は、合計所得金額が500万円超であっても、離婚又は死別した場合、扶養親族や総所得金額等が38万円以下の生計を一にする子がいる場合には、寡婦控除の適用が受けることができる。

7 所得控除の計算順序
問 退職所得を有する者が、各所得控除の合計金額が総所得金額よりも多額であるため、総所得金額から差し引きき切れない場合

答 所得控除は、総所得金額、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する(所法87②)。したがって、所得控除の合計額が総所得金額よりも多額であり、かつ、退職所得を有する場合には、源泉徴収で申告不要の退職所得を申告することで、総所得金額から差し引ききれなかった所得控除の額を退職所得から差し引きすることができる。

 

確定申告に当たり注意すべき事項(所得税)第2回

九 給与所得
1 ストックオプション等の所得区分
問 外国親会社から日本子会社の従業員等に付与されたストックオプションの権利行使に係る経済的利益や、リストリクテッドストック(譲渡制限付株式)の譲渡制限解除による株式所得に係る利益の所得区分

答 ストックオプションの権利行使に係る経済的利益やリストリクテッドストックの譲渡制限解除による株式取得の利益に係る所得は、原則として給与所得となる(所法28、36、所令84、所基通23~35共-6)。

2 ストックオプションの収入金額
問 外国親会社から日本子会社の従業員等に付与されたストックオプションの権利行使に係る経済的利益について給与所得の金額を計算する場合、証券会社等に支払った取引手数料は収入金額から控除できるか。

答 発行法人から付与されたその新株予約権等の行使に係る経済的利益については、その新株予約権等の行使に基づいて取得する株式の行使日における価額から、その新株予約権等の行使に係る権利行使価額(新株予約権の取得価額に行使に際し払い込むべき額を加算した金額)を控除した金額とされている。したがって、権利行使のために証券会社等に支払った手数料を差し引きことはできない(所法36②、所令84②)。なお、株式を売却した際には、譲渡所得の金額の計算上、取得費として総収入金額から控除する。

★3 共働き世帯の所得金額調整控除
問 共働き世帯の場合、所得調整控除は夫婦どちらかで適用することになるのか。

答 夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦間に年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方がこの控除の適用を受けることができる。

★4 16歳未満の扶養親族がいる場合の所得金額調整控除
問 扶養親族に16歳未満の者しかいない場合には所得金額調整控除の適用はないのか。

答 「控除対象扶養親族」と異なり「扶養親族」には16歳未満の者も含まれるため、給与等の収入金額が850万円を超えており、16歳未満の扶養親族がいれば所得金額調整控除の適用を受けることができる。

十 退職所得
1 退職所得の収入計上時期
問 退職した翌年に退職金の支給を受けた場合の収入計上時期

答 退職所得の収入金額は、原則としてその支給の起因となった退職日による。ただし、会社役員等の場合で、その支給について株主総会等の決議を要するものについては、その決議のあった日とされる(所基通36-10)。

★2 退職所得に係る住民税の取扱
問 退職所得の住民税における課税の取扱はどのようなものか。

答 特別徴収で住民税が差し引かれ課税関係が終了する。損益通算や純損失の繰越控除、所得控除の額を控除することはできない。また、住民税の場合についてだけ合計所得金額や総所得金額等の合計額には含まれない(地法50の2、328)。

十一 譲渡所得
1 株式の譲渡に際し支払った管理費の扱い
問 株式等に係る譲渡所得等の所得区分が譲渡所得である場合に、金融商品取引業者に支払った管理費は収入から控除できるか。

答 株式等に係る譲渡所得等の所得区分が譲渡所得である場合の所得金額の計算は、総収入金額から所得の基因となった株式等の取得費及びその株式等の譲渡に要した費用の額、その年中に支払うべきその資産を取得するために要した負債の利子の合計額を控除することとされており、管理費はこの譲渡に要した費用に当たらないため収入金額から控除することはできない(所法33③、措法37の10⑥三、37の11⑥)。

2 贈与時に負担した名義書換料
問 贈与により取得したゴルフ会員権に係る譲渡所得の計算上、贈与時に負担した名義書換料は必要経費となるのか。

答 贈与、相続又は遺贈により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合において、その資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出しているときには、各種所得の金額の計算上必要経費に算入された登録免許税、不動産取得税等を除き、当該資産の取得費に算入できる(所基通60-2)。

3 譲渡所得における消費税の取扱い
問 消費税の課税事業者がその事業について全て税抜経理で処理を行っている場合、事業用の店舗を売却した時の譲渡所得の計算はどのようにするのか。

答 消費税の課税事業者が店舗等を譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算は、次のとおり、その方の事業所得等に係る経理方式と同一の経理方式により計算する(平元.3.29直所3-8「2(注)2」)。
① 税込経理方式を採用している方
税込価額で収入金額、取得費、譲渡費用を計算
② 税抜経理方式を採用している方
税抜価額で収入金額、取得費、譲渡費用を計算
③ 非事業者、免税業者
税込経理方式を採用している方と同じ

★4 金地金の売買
問 平成20年に金地金300グラムを90万円で購入し、令和2年に210万円で売却した場合の所得区分はどうなるのか、また、所得金額等はいくらとなるのか。

答 金地金の譲渡による所得は総合課税の譲渡所得となる。所得金額は収入金額210万円-取得価額90万円-特別控除50万円=所得金額70万円
他に所得がなければ、5年超所有の譲渡所得の課税標準、合計所得金額は
70万円×1/2=35万円となる。
ちなみに、譲渡対価の額が200万円を超える場合、税務署へ支払調書の提出がされる。

十二 一時所得
損害保険の満期保険金の所得区分
問 店舗に係る損害保険の満期保険金は事業所得となるのか。

答 損害保険契約に基づき受け取る満期保険金は、被保険物が事業用資産であっても一時所得とされる(所基通34-1⑷)。

十三 雑所得
1 遡及して受け取った国民年金
問 過去に遡及して国民年金の支払いを受けた場合の収入計上時期はいつか。

答 年金の収入計上時期は、その支給の基礎となった法令等により定められた支給日であるため、前年分以前の期間に対応する年金が一括して支給されても、年分ごとに区分して収入金額を計算する(所基通36-14⑴)。

2 FX取引
問 店頭取引の外国為替証拠金取引(FX)についての課税関係

答 FXの差金等決済により生じた差益の課税関係は、店頭取引と取引所取引(金融商品取引所の開設する金融商品市場で行われる取引)のいずれの場合も、申告分離課税の「先物取引に係る雑所得等」として、所得税15%(地方税5%)の税率で課税される(措法41の14①)。
なお、損益金額については、支払調書として税務署に提出される。

十四 損益通算等
1 一時所得や総合譲渡所得との損益通算
問 事業所得の赤字と一時所得又は総合長期譲渡所得を通算する場合の注意事項

答 一時所得又は総合長期譲渡所得と通算する場合は、50万円の特別控除後で、1/2を乗ずる前の金額と通算する(所法69①、所令198三、所法22②)。

2 土地等の取得に要した借入金利子の取扱い
問 事業的規模の不動産所得者の場合、土地等の取得に要した借入金の利子の取扱い

答 土地等の取得に要した借入金の利子から生じた損失については、不動産の貸付けを事業的規模で行っているか否かに関わらず、不動産所得に係る損益通算の特例が適用される。したがって、不動産所得が赤字の場合、損益通算の対象とはならない(措法41の4)。

3 居住用財産の買換え等の所得金額要件
問 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の特例(措法41の5)と特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例(措法41の5の2)の適用にあたり、合計所得金額が3000万円を超えることになった場合

答 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の特例(措法41の5)と特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例(措法41の5の2)の適用にあたっては、所得金額の要件はない。しかし、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例と特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例を適用するにあたっては、合計所得金額が3000万円を超える年は適用ができない(措法41の5④ただし書き、41の5の2④ただし書き)。

4 非居住者である役員の給与と不動産所得
問 確定申告において、非居住者である内国法人の役員が、役員給与と事業的規模(恒久的施設)の不動産所得に係る損失を損益通算はできるのか。

答 平成29年分以降、恒久的施設(PE)に帰属しない所得は、源泉分離課税により完結することとなった。そのため、非居住者の役員給与は、PEに帰属しない所得であることから、総合課税の対象とはならず、不動産所得に係る損失と損益通算することはできなくなった(所法164)。

十五 純損失の繰越控除・繰戻し
1 期限後申告での繰越控除
問 純損失が生じた年において期限後申告を提出している場合、純損失の繰越控除の適用はあるのか。

答 損失発生年の期限内申告は適用要件ではなく(平成23年分以降)、純損失が生じた年において期限後申告をしている場合であっても、その翌年以降純損失の繰越控除は適用できる(所法70④)。

2 純損失の発生年の翌年以後白色申告の場合
問 純損失の繰越控除は、純損失が生じた翌年以後も青色申告書を提出する必要があるのか。

答 繰越控除の適用年において青色申告であることは要件となっていないことから、例えば、純損失が生じた年に青色申告者が法人成し、その年の翌年以後白色申告者(給与所得者)となった場合であっても、純損失の繰越控除は適用することができる(所法70④)。

3 純損失の一部繰戻
問 純損失について繰戻し還付請求をする場合、一部繰戻はできるのか。

答 純損失は、その全部を繰り戻さないで、一部を繰り戻し、残りをその純損失が生じた年の翌年以降3年間に繰り越すことができる(所法70、140①二)。

確定申告に当たり注意すべき事項(所得税)第1回

2019年1月21日~2月12日に投稿しました「誤りやすい事例集(所得税)」を新規の設問を加え投稿いたします。新規の設問には「★」表示しました。

一 納税地
1 納税地の届出(事業所納税)
 事業所を納税地とする場合の手続き

 事業所を納税地とするためには、住所地の所在地の所轄税務署長に対して、その旨を記載した届出書を提出しなければならない(所法16②④)。
 事業所を納税地としていた者が事業を廃業(法人成)した場合には、納税地を事業所から住所地へ変更する必要があるので注意する。

2 納税地の届出(貸付不動産所在地)
問 貸付不動産の所在地を事業所として納税地とすることができるか。

答 住所地等に代えて納税地とすることができる「事業所」は、事業に関する業務を行う場所のことをいい、貸付用に供される不動産自体は「事業所」にあたらない(所法16②)。

二 所得の帰属
1 共有賃貸物件の申告者
 共有物件を賃貸した場合の申告者

 資産から生ずる所得は、原則としてその所有者(共有の場合には、各人の持ち分割合に応じて)に帰属し、それぞれが申告をする(所基通12-1)。

2 建物所有者
 配偶者や親名義の土地を、月極駐車場として土地所有者以外の名義で契約し、その所得を契約者の所得として申告することの可否

 土地の所有者以外の者が構築物の設置等に係る相当の費用負担をしない場合など、単に土地のみの貸付による所得は、契約内容に関わらず、土地の所有者が申告しなければならない(所基通12-1)。

三 非課税所得
1 損害賠償金
問 交通事故に基因して受け取った損害賠償金の課税の可否

答 損害を受けた者の所得の計算上必要経費に算入される金額(例えば従業員に対する給与等)を補填するための部分は非課税とはならない。(所法9①十七、所令30)。

★2 コロナ給付金等
問 コロナ感染症等の影響により支給される給付金、協力金等の課税関係について

答 国等から支給される給付金等の課税関係については次表のとおりであるが、地方公共団体独自に支給されるものについては、それぞれ支給の根拠や給付目的等が異なることから、個別に課税関係を検討する必要がある。
国税庁ホームページ「国税における新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」より

 

 

 

非課税

【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
・新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)
【新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの】
・特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
・子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)
【所得税法が非課税の根拠となるもの】
〇学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
・学生支援緊急給付金
〇心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
・東京都のベビーシッター利用支援事業の特例措置における助成

 

 

 

 

 

 

課税

【事業所得等に区分されるもの】
持続化給付金(事業所得者向け)
東京都の感染拡大防止協力金
雇用調整助成金
小学校休業等対応助成金(支援金)
家賃支援給付金
小規模事業者持続化補助金
農林漁業者への経営継続補助金
医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業における補助金
【一時所得に区分されるもの】
持続化給付金(給与所得者向け)
Go Toトラベル事業における給付金
Go Toイート事業における給付金
Go Toイベント事業における給付金
【雑所得に区分されるもの】
持続化給付金(雑所得者向け)

四 所得区分
1 車両の売却・下取り
 事業用車両の売却や下取りにより所得があった場合の所得区分

 事業用車両であっても、棚卸資産に該当しないので売却・下取りによる所得は(総合)譲渡所得となる(所法33)。

2 立退料の受取り
 退料を受け取った場合の所得区分

 立退料のうち、借家権の消滅部分は、譲渡所得
 休業補償部分は、事業所得等
 その他は一時所得となる。
(所令94、95、所基通33-6、34-1(7))

★3 民泊に係る所得
問 自身が居住する住宅についていわゆる民泊を行った場合の所得区分

答 自身が居住する住宅を利用して民泊を行う場合の所得は、原則として雑所得に該当する

五 配当所得
1 申告した後に修正申告等で除外
問 確定申告を要しない利子所得、配当所得を申告した後に、これらを修正申告又は更正の請求で除外することができるか。

 確定申告を要しない利子所得又は配当所得を申告した場合には、その後の修正申告や更正の請求において除外することはできない(措通8の5-1)。

2 申告した後に修正申告等で選択替え
 確定申告において申告分離課税を選択した上場株式等の配当等を、更正の請求又は修正申告において総合課税へ選択替えすることはできるか。

 申告分離課税を選択して確定申告をした場合には、その後において更正の請求をしたり修正申告をするときにおいても、申告分離課税を選択することになる。したがって選択替えはできない(措通8の4-1)。 なお、上場株式等の配当等を申告する場合には、その全額について、総合課税か分離課税のいずれかを選択することになる(措法8の4②)。

3 利子や配当の申告方法
 複数の源泉徴収選択口座で上場株式等の利子等や配当等を受領している場合における申告方法

答 数の源泉徴収選択口座内に利子等や配当等を有する場合には、それぞれの源泉徴収選択口座(口座内の利子等と配当等の合計)ごとに申告不要制度の適用を選択することができる(措法37の11の6⑨)。また、一つの口座内の利子所得と配当所得のいずれか一方のみを申告し、又は申告しないとすることはできない。

4 源泉徴収選択口座内の配当等の申告方法
 源泉徴収選択口座内で上場株式等の配当等と譲渡損失とが損益通算されている場合に、その譲渡損失を申告する時は、併せてその配当等の申告も必要となるが、その配当等の申告については必ず分離課税での申告が必要か。

 源泉徴収選択口座内で上場株式等の配当等と譲渡損失とが損益通算されている場合において、その譲渡損失を申告する時は、同時にその配当等についても申告が必要となる。この場合において、上場株式等の配当等については、総合課税又は申告分離課税のいずれの方法も選択をすることができる。ただし、上場株式等の利子等については、総合課税を選択することはできない(措法8の4②)。

5 外国上場株式の申告
 外国の証券会社に預けている外国上場株式の配当は、申告分離課税の選択や上場株式等に係る譲渡損失との損益通算はできるのか。

 外国金融商品市場において売買されている株式等も「上場株式等」に含まれることから、外国の証券会社に預けている外国上場株式の配当は、申告分離課税の選択及び上場株式等に係る譲渡損失との損益通算ができる(措法8の4①一、37の11②一、37の12の2①)。
ただし、金融商品取引法上の登録を受けていない金融商品取引業者等において行う(例えば直接外国の取引業者等との取引)「上場株式等の譲渡」により生じた損失は、上場株式等の配当との損益通算又は繰越控除はできない(措法37の12の2②一)。

6 住民税の申告
問 上場株式等の配当について、所得税の確定申告で総合課税にて申告した場合は、住民税の申告では申告不要とすることはできるのか。

 平成29年度の地方税法の改正により、上場株式等の配当所得等と譲渡所得等について、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できることが明確化された。したがって、例えば確定申告で総合課税や分離課税で申告していても、住民税では申告不要とすることができる。この場合、別途住民税の申告書にその旨の記載が必要となります(地法32⑫~⑮、313⑫~⑮)。

六 不動産所得
★1 収入計上時期
問 不動産所得の収入計上時期はどのようになっているのか。

答 以下のとおり
⑴ 地代・家賃、共益費などは、その支払方法についての契約内容により原則として次のようになっている。
ア 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日イ 支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日
ウ 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、その判決、和解等のあった日
(注) 賃貸料の額に関する係争がある場合に、賃貸料の弁済のために供託された金額については、ア又はイに掲げる日
*上記アについては、帳簿書類で継続記帳をすることにより、貸付期間に対応する賃料を計上することができる(昭和48.11.6直所2-78)。
⑵ 上記以外のもの
家屋又は土地を賃貸することにより一時に受け取る権利金や礼金は、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日、引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上する。
このほか、名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受け取るものについても同様とする。
また、敷金や保証金は本来は預り金なので、受け取っても収入にはならないが、返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した日にその金額を収入に計上する必要がある(所法36、所基通36-5~7)。
(国税庁タックスアンサー1376より)

2 相続で取得した賃貸用不動産の申告
 賃貸用不動産を相続により取得し、年の中途で遺産分割が行われた場合、その年分の未分割期間中の不動産所得の申告はどのようにするのか。

 遺産分割が行われるまでの期間は法定相続分により計算する。なお、遺産分割の効果は、未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼすものではないので、分割の確定を理由とする更正の請求又は修正申告を行うことはできない。

3 共有で所有している物件の貸付けの規模
 アパートを共有で所有している場合、貸付の規模の判定の仕方

 不動産が2人以上の者の共有である場合であっても、当該不動産全体の貸付の規模で判定する。

★4 事業的規模の判断
不動産取得の事業的規模の判断において参考となる裁決紹介
裁決事例集№74-37頁 平成19年12月4日裁決
【裁決要旨】
建物貸付けは、同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、貸付けに係る維持管理等の程度が実質的には相当低いとして、不動産所得を生ずべき事業に当たらないとした事例
【事実関係】

物件内容 貸付先 平成15年分 16年分 17年分
建物等 敷地225㎡鉄筋3階建、駐車場スペース22台 税理士法人(会計事務所) 月額 600,000 600,000 600,000
年額 7,200,000 7,200,000 7,200,000
記帳代行法人 月額 150,000 150,000 150,000
年額 1,800,000 1,800,000 1,800,000
土地 面積224㎡ 長男居宅と駐車場スペース5台 長男 月額 10,000 10,000 10,000
年額 20,000 120,000 120,000
収入金額計 9,020,000 9,120,000 9,120,000
所得金額 各年200万円~300万円

請求人は、1資産の取得に係る投資額(借入金)の多寡を重要視すべきであること、2事業とは、社会通念に照らして事業と認められるものすべてを含み、事業所及び人的・物的要素を結合した経済的組織を必ずしも必要とせず、本件貸付けは十分に自己の危険を持ち得る事業といえること、また、3総合ビジネスを視野においた事業を行うという計画を基に建築、事業経営を行っているという現状にかんがみると、本件貸付けは不動産所得を生ずべき事業に該当すること、さらに、4東京高裁平成13年7月11日判決の中で挙げられている事業規模の判断基準に照らし合わせた場合、本件貸付けは事業に該当するとも主張する。
しかしながら、不動産貸付けが不動産所得を生ずべき事業に該当するか否かは、1営利性・有償性の有無、2継続性・反復性の有無、3自己の危険と計算における事業遂行性の有無、4取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、5人的・物的設備の有無、6取引の目的、7事業を営む者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断するのが相当と解される。
本件貸付けについては、営利性、継続性、人的・物的設備など部分部分としてみた場合は直ちに事業ではないということはできない要素も認められるが、本件貸付けは、本件同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、平成5年借入金は、請求人の税理士事務所等として使用することを目的とした本件建物の建設資金等であったこと及び本件借入金の年間返済額は、本件貸付けの年間賃貸料収入を上回っており、本件貸付けに係る賃貸料収入以外の収入も原資となっていること、また、本件同族会社2社の賃貸料は、それぞれの法人の収入及び人員割合が計算の根拠となっていることからすると、請求人における事業遂行上その企画性は乏しく、危険負担も少ないと認められる。また、本件建物は、その構造からみて他に賃貸が可能である等の汎用性が少ないなど、これらの点における請求人の自己の危険と計算による事業遂行性は希薄であると認められる。
さらに、本件建物の設備等の管理・修理点検等は請求人が行っているものの、清掃及び冷暖房設備点検、ビルの防犯・火災のセキュリティ契約等は本件同族会社2社が行っていること、賃貸料の集金等はインターネットバンキングにより振替処理されていること、また、本件貸付物件は本件同族会社2社及び親族に継続して貸し付けられていることから、請求人にとって賃借人の募集等をする必要はなく、賃貸料の改定交渉等の業務の煩雑さもなく、ビル管理業務等の負担も軽微であることから、本件貸付けに費やす精神的・肉体的労力の程度は、実質的には相当低いと認められる。
これらの諸点を総合勘案すると、本件貸付けは、社会通念上事業と称するに至る程度のものとは認められないと判断するのが相当である。

七 事業所得
1 医師等の所得金額特例計算適用について
 社会保険診療報酬の金額が、4,500万円、自由診療収入の金額が1,000万円の場合、合計収入は5,000万円超となるが、措法26条の適用はあるのか。

 措法26条の適用が無いのは社会保険診療報酬だけの金額が、5,000万円を超える年についてである。

2 更正の請求での家内労働者等の所得計算の特例適用
 家内労働者等に該当する者が、確定申告で所得計算の特例を適用しない場合には、更正の請求で特例を適用できないのか。

 家内労働者等に所得の計算の特例は、申告要件とされていないため、当初申告において当該特例を適用しなかった場合でも更正の請求をすることはできる(措法27)。

八 事業所得・不動産所得共通
1 消費税の還付金
 税込経理方式を適用している者が、消費税の確定申告により還付を受けた消費税等の処理。

 消費税等の確定申告書を提出した日、又は未収入金に計上した日の属する年分の雑収入に計上する(平元.3.29直所3-8「8」)。

2 専従者に対し定期保険を掛けた場合
 他に従業員がいないにもかかわらず、青色事業専従者に掛けた定期保険の保険料を必要経費に算入することができるのか。

 他に使用人がいて、その使用人と同一基準でなされている場合に限って必要経費に算入することができる(昭48.12.22直審3-142)。

3 相続で取得した資産に係る登録免許税
 業務用資産を相続により取得した場合の登録免許税等は必要経費に算入できるか。

 業務用資産を相続、遺贈、贈与により取得した場合の登録免許税、不動産取得税は、必要経費となる(所基通37-5)。

4 相続で取得した不動産に係る固定資産税
 事業用不動産を相続した場合、当該不動産に係る固定資産税は、1月1日時点の所有者に対して課されているが、必要経費はどのように算入するのか。

 被相続人の所得計算における固定資産税の取扱いは次のとおりとなる(所基通37-6)。
○ 相続開始前に納税通知があった場合、次のいずれかを選択して必要経費に算入できる。
 ① 全額
 ② 納期到来分
 ③ 納付済分
○ 相続開始後に納税通知があった場合
 相続開始時においては、納付すべきことが具体的に確定していないので、被相続人の必要経費には算入できない。

5 少額減価償却資産
 税込経理方式を適用している者の少額減価償却資産の判定の方法

 少額減価償却資産の判定を行う場合、税込経理方式を適用している時は、減価償却資産の取得価額は税込の価額により判定することとなる(平元.3.29直所3-8「9」)。

6 一括償却資産(除却した場合)
 取得価額10万円以上20万円未満の器具備品について、一括償却資産として申告したが、申告した翌年にその一部を除却した際の経費計上の方法

 一括償却資産とした年分の翌年以降に、その全部又は一部を滅失、除却等をしても再計算をすることができず、業務用に供した日以後3年間にわたって、その取得価額の1/3に相当する金額を必要経費に算入することになる(所令139、所基通49-40の2)。

★7 一括償却資産(相続・法人成した場合)
問 相続・法人成した場合の一括償却資産の処理

答 一括償却資産につき相続があった場合には、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分については、原則として死亡した日の属する年分の事業所得等の必要経費に算入することとし、例外的に死亡した日の属する年の翌年以後の各年分に対応する部分については、相続により業務を承継した者の必要経費に算入することとしても差し支えないものとされる(所得税基本通達49-40の3)。
法人成りの場合には、事業が廃止され、その事業を承継する人もいないので、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分は、全て廃業した日の属する年分の事業所得の必要経費に算入する(国税庁ホームページ「質疑応答事例」より)。

8 相続があった場合の減価償却方法の届出
 被相続人が旧定率法により償却していた減価償却資産を相続により取得した場合、その相続人の減価償却方法の届出はどうなるのか。

 相続により減価償却資産を取得した場合、取得価額、帳簿価額、耐用年数は被相続人から引き継ぐが(所法60①、所令126②)、償却方法は引き継がない。減価償却資産の償却方法について定めた所令120①における「取得」には、相続、贈与、遺贈によるものが含まれると取り扱われているからである(所基通49-1)。したがって、例えば令和2年相続により取得した償却方法は旧定率法を引き継ぐことはできず、定額法によることになる。また、車両や器具備品等を相続により取得した場合で、事業等を承継した相続人が定率法を採用するのであれば、新たに償却方法の届出が必要である(所令123①②)。

9 家事用資産を業務用に転用した場合
 家事用資産を業務用に転用した場合の未償却残高の算定方法

 転用時点での未償却残高は資産の当初取得価額を基礎として、法定耐用年数×1.5の年数により旧定額法に準じて計算する(所法38、所令85、135)。

★10 資産損失、取壊費用
 居住用建物を取り壊して、業務用建物に建て替えた場合に、当該居住用建物の取壊しによる損失、取壊費用を必要経費に算入することはできるか。

 非業務用資産の資産損失と取壊費用は、自己の財産の任意の処分と考えられているため、必要経費に算入することはできない(所法45①一)。また、新しく建てられる業務用建物の取得価額にも算入できない。
業務用資産を含む課税上の取扱いについては次表のとおり

直前の建物の用途 取壊しの目的 取扱い
資産損失 立退料 取壊費用
業務用資産 建替え後、業務用又は非業務用資産として使用 必要経費(注1)(注2) 必要経費 必要経費(注1)
非業務用資産 建替え後、業務用又は非業務用資産として使用 家事費 家事費

(注1)業務をやめた後、建替工事が速やかに行われることが必要
(注2)事業的規模でない場合には所得金額が限度となる。

★11 アパート建築に伴う諸経費の取扱い
問 アパートの建築に際して支払った借入金利子、印紙代、登記費用、不動産取得税の処理

 アパート建築は請負契約時から業務開始となり、従って①印紙代 ②登録免許税等登記費用 ④不動産取得税は所基通37-5によって必要経費算入となる。
 ③の借入金については、業務開始後(本件の場合建物建築請負契約後)使用開始前の期間利子は所基通37-27によって原則として必要経費算入となるが、取得価額算入も認められる。使用開始後の期間利子は同通達によって必要経費算入となる。
固定資産取得時の付随費用の取扱い
[1] 個人の場合
① 租税

種類 業務用 非業務用
固定資産税 必要経費
(所基通37-5)
家事費
登録免許税(登記・登録費用含む) 取得費算入
(所基通38-9)
不動産取得税

※ 特許権・鉱業権の登録に係る登録免許税は取得費算入(所基通49-3)
※ 船舶・業務用車両等の登録費用は必要経費又は取得費算入の選択(所基通49-3)
② 借入利息(抵当権設定費用等含む)
(1)業務用

期間 取扱い
業務開始前の期間利子 取得費算入(所基通37-27)(注)➡38-8
(非業務用資産の取得のための借入金利子と同じ扱い)
業務開始後・使用期間前の期間利子 原則  必要経費(所基通37-27)
例外 取得価額算入(所基通37-27)
使用開始後の期間利子  必要経費(所基通37-27)

(2)非業務用

期間 取扱い
取得から使用開始前までの期間利子 取得費算入(所基通38-8)
使用開始後の期間利子 家事費

(さくら税研フォーラムより)

★12 青色申告
青色申告承認申請の期限については、下表のとおり

態様 提出期限
通常 原則 承認を受けようとする年の3月15日
1/16以降業務開始 業務開始から2月以内
相続の場合 被相続人青色 死亡日1/1~8/31 死亡日から4月以内
〃 9/1~10/31 12月31日
〃 11/1~12/31 翌年2月15日
被相続人白色 死亡日から2月以内

(所法144、所基通144-1)

13 不動産貸付業を行っている者が新たに事業を開始した場合の青色申告申請
 従前から不動産貸付業を営んでいる白色申告者が本年7月に事業所得を生ずべき事業を開始した場合、青色申告申請はいつまでに提出する必要があるのか。

 「新たに…業務を開始した場合」とは、青色申告承認を受けることができる業務をいずれも営んでいない方が、いずれかの業務を開始した場合をいうのであって、既に青色承認申請を行うことができる不動産所得等を生ずべき業務を行っている場合は含まれない。したがって、本年3月15日までに青色申請する必要がある。さらに、例えば不動産所得を生ずべき業務を本年3月に廃止し、その後同年9月に事業所得を生ずべき事業を開始した場合も同様である(所法143、144)。

★14 青色専従者給与の届出の期限については下表のとおり

態様 提出期限
通常 原則 承認を受けようとする年の3/15
1/16以降業務開始又は新規に専従者がいることとなった場合 業務開始から2月以内
給与の額の変更又は専従者が加わる 遅滞なく

15 青色申告特別控除
 事業所得が赤字で、不動産所得が事業として行われていない場合の青色申告特別控除額

 不動産所得が事業として行われていなくても、事業所得がある場合には、他の要件を満たすことで、青色申告特別控除55万円(e-Taxの場合65万円)を適用することができる(措法25の2③)。

16 家内労働者の青色申告特別控除
 青色申告者は、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例と青色申告特別控除の併用は可能か。

 青色申告者は、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例により必要経費の計算をする場合においても、青色申告特別控除の適用を受けることができる(措法25の2、27)。