生活障害年金の受取人変更にかかる税務について

《質問》

 別添のパンフレットのような保険商品を関与先に提案する保険会社の担当者がおり特徴①、②、③等をセールスポイントとして売りに来ております。

 別添   エクシードU

 現行税法上、この受取人変更について課税する根拠規定はないのでこのような売り方ができるのでしょうが、個人(被保険者)が何ら保険料を負担することなく、(障害を起因とするとは言え)多額の年金受給権を無税で取得できるこのスキームを国税が放置するとは考えにくいのではないかと個人的には思います。
 また、同じ障害を負ったことに対する保険金であっても、このような年金形式ではなく、一時金として法人に支払われた場合、その保険金を全額被保険者個人へ支払おうとする(例えば見舞金として)と、見舞金としての範疇を超え、給与課税されることになります。このことと平衡を取ろうとすると、やはり年金受取人の変更については課税するのが正しい、と国税は考えるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

◎ ご指導いただいた件につきまして、先日生命保険担当者と電話で話す機会がありましたので、その後の顛末をご報告いたします。
パンフレットの商品ですが、第1回の年金が支払われた後においても(受取人変更ではなく)保険契約者の変更が可能だそうです。
 よって、第1回の年金支払い後に行われる法人から個人への保険契約者変更(同時に年金受取人変更)についての課税関係は通常の保険事故発生前の契約者変更と同様に、解約返戻金相当額による評価によるべきである、との説明でした。本件保険証券については第1回支払い後の解約返戻金は0円であるので、課税は生じないとのことです。

《関連質問》

 保険の税務処理について

 契約者が法人、被保険者がその法人の社長、保険一時金、年金の受取人が法人となっている。
 特定状態収入保障保険について、前年度に社長が重大な疾病に至り、一時金、年金の給付を受けましたが、この度年金部分の受取人を社長に変更しました。
 この際の法人税、社長個人の所得税の扱いについて保険会社に問い合わせたところ、保険会社より以下の見解を得ることができました。
 法人税については、年金部分を社長個人に無償で変更した場合、保険契約の譲渡となり、時価部分を役員賞与として取扱うところ、当該保険は年金部分の契約について解約返戻金がゼロ円で設定されているため、時価相当額が存在せず役員賞与が発生しない。従って特段の税務処理は必要ない。
 一方、社長個人が今後受け取る年金部分については、年金の契約が特定収入状態保障保険に該当するため非課税となり、本年度を含め今後も所得税法上の申告等の必要はない。
 なお、現時点において社長は月に80万円の役員報酬を得ており、年金が所得保障である側面を鑑みるに、年金部分の申告が必要ないという保険会社の見解に若干の疑念も生じております。
 保険会社の法人税、所得税のそれぞれの扱いについて、どのような所見をお持ちになるか、お聞かせ願いたく存じます。

《当該保険パンフレットより一部掲載》

特定状態収入保障保険の第1回目の年金支払い日以降に受取人を変更した場合
(該当する保険種類:特定状態収入保障保険(無解約返還金)、介護年金保険(無解約返還金)、生活障害年金定期保険「エクシード」)

 特定状態収入保障保険(無解約返還金)の第1回の年金支払日以降に、年金受取人を法人から被保険者個人に変更した場合、年金を受け取る権利に対して所得税の課税は生じません。また、法人での経理処理も生じないと考えられます。
 介護年金保険(無解約返還金)および生活障害年金定期保険「エクシード」の第1回の年金支払日以降に、年金受取人を法人から被保険者個人に変更した場合の税務取り扱いも同様と考えられます。
(注)個別の税務取り扱いについては、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。

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不動産賃貸契約の中途解約に伴い建設協力金の返還を要しなくなった場合

《質問》

 個人Aは建設協力金方式によりスーパーを建設し、法人Bに賃貸しています。スーパーの営業状態が悪く、この度店舗を閉じ賃貸借契約を解除することとなりました。解約理由が賃借人の都合のため、契約書に従い建設協力金は返還不要となります。このような場合賃貸人の課税関係はどのようになるのでしょうか。建設協力金の現在残高は1億円です。債務免除を受けるだけで現金収入はなく、一度に課税された場合納税資金に困窮することになります。

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死亡した事業者に係る消費税の還付金を相続人が受け取った場合

《質問》

 不動産賃貸業を営んでいた父が本年8月に死亡しました。父が本年3月に完成させた賃貸物件については、税込経理処理となっているため、被相続人に係る消費税の申告(準確定申告)により、相続人が還付金を受け取ることになります。この還付金についての所得税の課税関係はどのようになるのかご教示下さい。
 なお、遺言があり長男には当該賃貸物件を、その他一切の財産を配偶者に相続させる旨の内容となっています。

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小規模宅地の特例適用について

《質問》

案件の概要
居住用建物を生前に取壊し、新たな居住用兼賃貸建物を建設しました。
時系列は下記の流れになります。
建築工事契約  : 2018年8月
居住用建物取壊 : 2018年9月8日(取壊登記)
相続開始    : 2018年10月22日
建物完成工事  : 2018年12月5日(表示登記2018年12月25日)
建物が完成し、配偶者及び長男世帯は申告期限前に居住開始。
建物及び敷地について、配偶者が相続取得。

キャプチャko検討事項
 被相続人が建築中であった居住用建物の敷地及び建物を、配偶者が取得しました。
 当該建物はメゾネット2F建てで、配偶者及び長男世帯の居住用と残りの部分は賃貸の用に供しています。
 そこで、小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例適用について検討しています。

長男世帯と生計一の場合
① 配偶者の居住の用に供した1室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。
② ①及び長男世帯を入れた2室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。

長男世帯と生計別の場合
③ 配偶者の居住の用に供した1室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。
④ ①及び長男世帯を入れた2室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。

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