相続税の小規模宅地等の特例 家なき子について

《前提》

・被相続人である父親の死亡日はR6.2.27
・相続人である娘は日本人(日本国籍あり)夫は米国人(米国国籍)
・15年前から夫婦でハワイ居住だが5年位前に数ヶ月間だけ夫の仕事上の都合で日本に滞在していた(被相続人の居宅に居住)
・被相続人は亡くなったR6.2.27以前のR4.7.29に介護施設に入居した(住民票の住所も介護施設に移した)
・被相続人が介護施設入居R4.7.29前に相続人である娘は介護施設入居の手続きのため被相続人の住所地に住民票を移した(R4.4.11)
・相続人である娘は住民票は移したものの生活の本拠は夫の住所地であるハワイであり、そこで夫名義の居宅で生活していた(娘はハワイの日本人向けホテルのレストランの従業員であり、日本への来日は休暇を利用していた。当然に父親とは生計別)

《質問》

 本件のような前提で被相続人である父親所有の居宅(マンションの一室)を娘が相続した場合に家なき子として特定居住用宅地が使えるでしょうか。

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個人が土地と建物の売却に際し、建物が無償で譲渡される場合について

《概要》

(1)土地の所有状況
 土地 甲、乙、丙(甲乙丙は兄弟) ほぼ各3分の1ずつ共有

(2)建物の所有状況
  A建物①とA建物②、B建物①とB建物②はそれぞれ区分所有家屋となって
    おります。
 A建物① 甲所有、甲家族居住
 A建物② 甲、乙、丙が各3分の1ずつ共有
        甲、乙、丙の母が居住していたが、母に相続が発生後に空き家と
     なっております。
 B建物① 乙60%、乙の配偶者40%所有、乙家族居住
 B建物② 丙48%、丙の配偶者52%所有、丙家族居住

(3)売買内容
 第三者に土地建物を6億円で一括譲渡しております。売買契約書上、買主が取り壊す予定から建物を無償で譲渡しております。契約書上も売買物件の表示は土地のみとなっており、契約書の建物欄については斜線が入っております。また、売主欄に記載している者についても甲、乙、丙のみとなっております。

(4)参考
 国税庁内には、売買契約書において、建物の譲渡対価を1円とすれば取得費を控除することができ、ゼロ円の場合には控除できないとするような処理には合理性が見られず、あくまでも譲渡の実体をみて判断することにより、譲渡価額がゼロであっても、建物の簿価を取得費として譲渡所得を計算するという統一見解があるとお聞きしております。

《質問》

① 譲渡直前の建物簿価は譲渡原価として計上することは可能でしょうか。
② 居住用資産の譲渡と認められて3,000万円控除の適用は可能でしょうか。
③ 3,000万円控除の適用が可能な場合、B建物の配偶者も上記①や②の適用は可能でしょうか。
④ 上記③が可能な場合、B建物の配偶者については、建物分だけであり、3,000万円控除の範囲内でもあるので、申告を省略することや、乙、丙の申告に含めて計算することも考えられますがいかがでしょうか。
⑤ 土地の取得は昭和48年であり、取得金額が不明となっているので、下記のように計算を考えておりますがいかがでしょうか。
売却土地近隣のS48公示地価(148千円)×売却土地のS48路線価75千円/売却土地近隣の公示地価のS48路線価(70千円)

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居住用賃貸住宅の仕入税額控除の制限 その2

《条件》

・ 中古マンションを個人から仲介業者を介して取得しました
・ 価格は5,000万
・ 利用目的は 本社約50% 役員社宅50%です

《質問》

①  仕入税額控除
  利用が、本社・役員住宅・共有と混在し、種類構造が居宅ですが、全部を居住用賃貸建物の取得とし仕入税額控除対象外とせず、本社と共有部分を合理的に按分すれば仕入税額控除が一部できるという理解でよろしいでしょうか。

②  役員社宅 無償で住む場合
 役員に無償で貸し付けた場合(経済的利益の給与所得)居住用賃貸建物に該当せず全て仕入税額控除の対象となり得るという理解でよろしいでしょうか。

③  高額特定資産3年縛り
 前々期の課税売上高は5,000万円以下なのですが、価格5,000万円の取得の為高額特定資産に該当し、簡易課税制度選択届出書は制限があるという理解でよろしいでしょうか。

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