支払った管理料が過大となっていたため過年分に遡及して返金を受けた場合の処理

《質問》

 個人Aは不動産貸付業(事業的規模)を営み確定申告を行っています。不動産管理会社へ支払う管理料は、当初受け取った収入の5%相当額とし、4年経過後は3%に減額する旨の取り決めとなっていました。しかしながら、Aは支払額を減額することなく5%相当する額を7年にわたり払い続けました。この度、誤りに気が付いて管理会社は払い過ぎとなっていた額をまとめて返還すると連絡してきましたこのような場合、どのように申告をしたらよいかご教示願います。
 参考までに固定資産税の金額が課税誤りにより過大になっていた金額を遡及して還付を受けた場合、受領した時の収入金額として計上すべきだとの裁決事例があります(平30.2.13付)。

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解散決算登記後の処理と株価計算について

以下の法人は、いずれも中小企業に該当する7/31決算法人です。

 オーナー甲とその同族会社である不動産所有会社S社(オーナー一族及び別の同族会社H社が100%出資)が株主であるグループの事業中核会社R社(オーナー甲60%とS社40%が出資)の解散清算を近々予定しており、その清算結了登記後のS社での処理とS社の株価計算についての質問です。私はR社の顧問をしておりますが、S社とH社は別の税理士が担当しております。

《質問1》
 そもそもR社は、オーナー甲とその同族会社S社からすると、その所有形態は、「一の者による直接・間接(みなし直接)の完全支配関係にある」子会社と考えられるでしょうか?

《質問2》
 完全支配関係にあるとした場合、S社のB/S上の①貸付金債権放棄損失(貸倒損失)と②投資有価証券の消滅損とが損金計上可能か否かについてですが
(1) ①については、過去の支援状況からして「子会社の解散等に伴う当該子会社等のための損失負担に「合理的な整理計画」の下で経済的合理性がある場合には寄附金には該当しない」というケースに当たらないとすれば、グループ法人税制の「完全支配関係がある内国法人間の寄附」として、全額損金不算入、全額益金不算入ということになるのでしょうか?

(2) ②の有価証券消滅損は、完全支配関係子会社間損金不算入(資本金の40%相当分)となり、別表4加算と別表5(1)でのⅠ(利益積立金増)とⅡ(資本積立金減)の振替処理とすべきでしょうか?それと解散法人R社の繰越欠損金は、親会社S社への引継ぎが可能となるという理解でよいでしょうか?

《質問3》
 S社の株価計算について、中会社の小に該当する場合、類似業種比準価額の算定上の純資産価額は別表5(1)のⅠ(利益積立金増)とⅡ(資本金等の額減)がベースとなる為変わりませんし、年利益金額でも「引き継いだR社の繰越欠損金」は有ったとしても減額にならず、第5表の純資産価額(相評)での投資有価証券が消えて純資産が減るという点だけが株価下落要因になるだけでしょうか?

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居住用賃貸建物取得等に関連する処理

《質問》

 令和2年10月1日以降、居住用賃貸建物の取得等にかかる消費税等については、仕入税額控除の対象にならないこととなりました。
この改正に関して2点教えて下さい。

①  土地にかかる仲介手数料
 建物4土地6の比率の物件(建物は居住用賃貸物件で貸付けの用に供する予定です。)を購入し、仲介手数料が110万円であった場合には、建物分44万円、土地分66万円と仲介手数料を分けると思います。
 その際の建物分44万円に含まれる消費税等4万円は控除できないと思いますが、一括比例配分式等で計算している場合、土地分66万円に含まれる消費税等6万円は仕入税額控除の対象にしてよろしいのでしょうか。

②  繰延消費税額等の金額
 課税売上割合が40%で、建物にかかる消費税額等が500万円であった場合、従来通り計算すると繰延消費税額等は300万円になると思います。
 しかし、改正により40%分200万円も仕入税額控除をしてないことになりますので、500万円全額が繰延消費税額等に該当するのでしょうか。

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合併に伴い被合併法人の役員に対し退職金を支給することの是非と退職所得控除

《質問》

 A社(合併法人:平成8年1月設立)はB社(被合併法人:平成10年3月設立)を令和3年9月に吸収合併することになりました。B社では合併することを機に設立時からの代表者甲に対し、退職金を支給することを予定しています(B社は未払金処理、A社で支給)。甲はA社においても代表者であり、引続きA社の代表者に止まりますが退職金の支給についての課税上の問題はありませんか。
 なお、甲は、3年前にA社に吸収合併されたC社からも退職金の支給を受けていますが(勤続年数 8年:勤続期間 平成22年~30年)、このような場合の退職所得控除額の計算はどのようになりますか。

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