空き家の3,000万円特別控除について その1

以下のような状況で、空き家の3000万円特別控除の適⽤が可能かどうか教えてください。

スクリーンショット 2024-08-20 160452

《状況》

①  被相続人が居住していたA家屋及びB土地を相続
②  被相続人が居住していたA家屋を取り壊し
③  取り壊し後、B土地に相続人甲の居住の⽤に供するC家屋を新築
④  相続人甲の居住⽤家屋の敷地以外の部分を分筆(B → D・E)して、第3者へE土地を譲渡

A家屋: 被相続⼈1/2、相続⼈甲1/2   →(相続) 相続⼈甲 1/1

B ⼟地: 被相続⼈1/2、相続⼈甲1/2  →(相続)  相続⼈甲 1/1

《質問》

①  今回のケースは、被相続人居住用家屋の敷地等の⼀部の譲渡になるため、措置法通達35-17(3)イ を参照したところ、分筆後のE⼟地について特別控除を受けるには、E⼟地の売却時までの間、D⼟地についても事業の⽤、貸付の⽤、居住の⽤に供されていたことがない事が要件とされており、E土地の売却時には、既にD土地が居住の⽤に供されていることから、E土地の譲渡について、3,000万円特別控除が無いという認識で間違いないでしょうか。

②  仮にB土地をあらかじめ分筆して、D土地とE土地として相続⼈甲が相続した場合、E土地については3,000万円特別控除の適⽤ができるでしょうか。

“空き家の3,000万円特別控除について その1” の続きを読む

遺留分侵害額の請求を行ったことにより、新たに納税義務者になった相続人の期限後申告の要否

《質問》

 遺留分を請求して、取得して、初めて申告義務が生じたため期限後申告ができる人の相続税申告義務の有無についてです。
・被相続人は、父
・相続人は、長男と長女の2名
・長男100%の遺言があり、その遺言通りに長男が進めた(当初申告はしている)➡長女が遺留分を請求して1,500万GET➡長女は、期限後申告ができる状態(長男は更正の請求を行う模様)
 この状態で、長女は期限後申告を行う必要があると思っていたのですが、税務署の決定処分を待っても問題ないという書籍を読みましたが、どちらを選択しようかと迷っております。

“遺留分侵害額の請求を行ったことにより、新たに納税義務者になった相続人の期限後申告の要否” の続きを読む

建築中の家屋の評価、特例の適用の可否等ついて

《質問》

 事実関係に基づき、次の点についてご教示ください。
① 旧家屋の取り壊し時期の判定について
相続開始日において、取り壊しに着手していた=取り壊し済みになるのか
相続開始日において、取り壊しが完了していた=取り壊し済みになるのか 等

② 新・旧家屋及び新家屋工事代金(債務)の財産計上の要否及び評価方法について

③新家屋を相続財産に計上した場合、小規模宅地等の特例の適用及び配偶者居住権の設定の可否について

④ 新家屋や工事代金(債務)を計上する場合、工事契約請負契約書の発注者の署名欄の修正の要否

《事実関係》

相続開始日  :  R6年1月11日
相続財産   :  不動産(B市分譲マンション、A市土地家屋)、金融資産ほか
人物    :  被相続人(甲)、相続人妻(乙)、長女(丙)、長男(丁)(生計一は乙のみ)

時系列
1. R4年2月   甲の兄弟が死亡 ⇒ 甲が相続によりA市の土地家屋を取得。
        甲と乙はB市分譲マンションに在住。
2. R5年10月   甲と乙がA市に移住。(③契約の新築家屋に住む予定でA市の
                                  賃貸アパートに引越し)
3. R5年12月   甲が兄弟から相続したA市の土地にある家屋(以下旧家屋という)
       を取り壊し、新築する工事請負契約を締結。請負代金には旧家屋
       の取り 壊し費用も含まれている。(※注)
4. R6年1月11日  甲死亡(B市分譲マンションは賃貸にも出さず所有したまま)
5. R6年1月上旬  ②の契約に係る旧家屋取り壊し中(詳細な日付は不明)
6. R6年1月31日  ②の契約に係る新築工事着工
(※注)R5年12月6日に発注者甲で契約。その後、甲が死亡したため発注者の署名欄を乙に変更した。

《当方の見解》

① 相続開始日において取り壊しが完了していた場合に、取り壊し済みになると考えます。

② ・旧家屋・・・①で取り壊し済みであった場合は計上不要、取り壊し済みでなかった場合は固定資産税評価額により財産計上すると考えます。
・新家屋・・・工事請負契約は甲が生前に締結しているため、新築家屋も甲の相続財産になると考えます。
 また、建築中の家屋については相続開始日における工事原価  ×  70/100により評価され、工事原価は、総工事費に工事の進捗率を乗じて算出するものと考えます。
 相続開始日においては新築工事は着工しておらず、進捗率が0%であるため、評価額0円で計上すると考えます。
・工事代金・・・工事請負契約は甲の生前に成立しているため、請負代金のうち生前に支払った金額を控除した残額を債務として財産に計上すると考えます。

③・小規模・・・甲及び乙は相続開始直前に旧家屋には居住していなかったものの、新家屋に居住するためにA市内に転居しており、新家屋は甲及び乙の居住の用に供されることが確実であったと思われます。したがって、乙が新家屋の敷地である土地を相続した場合又は配偶者居住権に基づく敷地利用権を取得した場合に限り、特定居住用宅地等に該当し、特例の適用を受けることができると考えます。
・配偶者居住権・・・②において新家屋を0円で財産計上した場合には設定するメリットがないと考えられるため、新家屋を一定の評価額で財産計上した場合を想定します。
 要件である「相続開始時に被相続人が所有していた建物に配偶者が居住していた」には該当しないものの、A市内において甲と乙が同居し、かつ新家屋完成後に同居する予定であったこと、及び「残された配偶者の居住権の保護」という制度趣旨からすると、適用が可能であるものと考えます。

④工事請負契約書の発注者署名欄については、被相続人に自署してもらうことはできないものの、被相続人が発注者であることを証明する必要があるため、余白に「甲が令和6年1月11日に死亡したため、乙が当該契約に係る権利及び義務を承継する」等追記してもらうことが望ましいと考えます。

“建築中の家屋の評価、特例の適用の可否等ついて” の続きを読む

同一敷地内に家屋が2棟ある場合の小規模宅地等の特例について

《質問》

 同一敷地内に家屋が2棟ある場合の小規模宅地等の特例についての質問です。
被相続人所有の土地に家屋が2棟あります。1棟は長男が居住、もう1棟は被相続人と配偶者が居住していました。被相続人死亡後に配偶者もなくなり、数次相続となりました。
 このような場合、長男および配偶者は小規模宅地等の特例(居住用)を適用することは可能でしょうか。

《事実関係》

・被相続人甲は2023年12月に亡くなりました。
・被相続人甲の相続人は、配偶者Aと長男Bの2名です。
・遺言書は無く、遺産分割協議を行う前(2024年5月)に配偶者Aが亡くなりました。
・被相続人甲名義の土地(580㎡)に家屋が2棟あります。
・家屋①は配偶者A名義で被相続人甲と配偶者Aが住んでいます。
・家屋②は被相続人甲と長男Bの共有名義で長男Bが住んでいます。
・家屋①の敷地は400㎡、家屋②の敷地は180㎡です。
・被相続人甲と長男Bは生計が一になります。

《当方の見解》

 Aは配偶者であるため、長男Bは被相続人と生計が一であるため、小規模宅地等の特例は適用可能と考えます。遺産分割協議前に配偶者Aが亡くなったため、甲名義の土地(580㎡)は配偶者Aと長男Bが1/2ずつの共有となり、配偶者Aが適用可能な面積は家屋①の敷地の持分200㎡、長男Bが適用可能な面積は家屋②の敷地の持分90㎡になると考えます。

“同一敷地内に家屋が2棟ある場合の小規模宅地等の特例について” の続きを読む