貸宅地・借地権の評価について

《前提》

・対象財産について、土地は被相続人の所有、建物は同族会社が所有している。
・被相続人から同族会社への土地賃貸条件は以下の通りである。
 地代は65,000円/月、780,000円/年で借地権設定時(H13年)より据え置きである。
 無償返還届出書の提出はしていない。
 権利金の収受は無い。
・前述の条件より、算出した通常・相当の地代は以下のとおりである。
 通常の地代の年額 : 1,295,148円
 相当の地代の年額 :  4,317,162円
・固定資産税等の年額は168,507円である。
・当該建物は4階建の貸ビルとなっており、利用状況は以下のとおりである。
 1階 :同族会社店舗/貸店舗
 2階 :自宅
 3階 :賃貸物件(1世帯)
 4階 :賃貸物件(2世帯)
・相続時点において、4階のうち1世帯で家賃の未納があった。未納だった期間は3か月ほど。
 相続後も賃貸関係が続いており、現在は家賃の支払いはある。

《質問》

①  実際の地代が通常の地代未満、固定資産税相当額超えの場合
 借地権の価格 :自用地価格 × 借地権割合
 底地の価格 :自用地価格 × (1-借地権割合)
の計算方法で妥当でしょうか。

②  同族会社の借地権について、この場合は貸家建付借地権として評価するかと思いますが、3か月間の家賃の未納があった部屋について、現在も賃貸状況が続いていることから一時的な空室として賃貸中の部屋として考え、賃貸割合に含めても問題ないでしょうか。

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土地賃貸借に係る借地権認定の可否

《質問》

 個人甲の土地を同族会社が賃借し、同族法人がアスファルトやフェンスを設置して駐車場を経営していた場合の質問です。

①  地代は相当の地代以下で、賃貸借契約書も作成しておらず、土地の無償返還の届出書を提出していない場合、駐車場でも権利金の認定課税は受けるのでしょうか。
 受ける場合には認定課税の金額はどのように計算(借地権、又は駐車場なので賃借権)するのでしょうか。

②  法人税と相続税では借地権の範囲が異なると聞いておりますが、上記①の場合で甲に相続があった場合、同族会社の株価を計算する時は借地権計上、その土地を評価する時は賃借権を控除するのでしょうか。
 (駐車場でも土地の無償返還を提出している場合には、株価評価では20%借地権計上、土地は80%評価でしょうか。)

③  上記①で権利金の認定課税を受ける場合でも、実際には更正期間をかなり徒過しているため課税は生じないのですが、この度、甲が当該土地の一部においてトランクルーム事業を営むため、同族会社から土地の一部返還を受けた場合の課税関係及びその課税金額の計算はどのようになりますでしょうか。

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特定資産の買換えについて その2

《質問》

 措法65条の7 1項3号(10年超所有資産の買換え)において買換資産は更地(空閑地)でもOKでしょうか。
 つまり、同号において買換資産が土地の場合「特定施設の敷地の用に供されるもの」とされていますが、これは購入時において、特定施設の敷地の用に供されていることが必要でしょうか。

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特定資産の買換えについて その1

《前提》

 法人Aは、10年超の長期保有資産を、法人Bに譲渡し、翌期に圧縮記帳を適用すべく特別勘定と予定資産の届け出をおこなう予定です。(措置法65条の7)
 法人Aは、法人Bの75.6%の株式を保有しています。
 法人Bの残りの株式は、銀行や取引先などが保有しています。
 譲渡資産は、横浜市神奈川区三ツ沢に所在する賃貸用マンション。
 買換資産は、場所は未定の賃貸用店舗です。

《質問》

1.  買換特例の適用にあたって、差益割合の計算上
 「根抵当権の抹消登記にかかる司法書士への手数料及び印紙代」は「譲渡費用」に含まれるでしょうか。
 ここでの譲渡費用とは、所得税の譲渡所得における譲渡費用に(所基通33-7~8)に準ずると考えてよろしいでしょうか。

2.  買換資産の取得にあたって、「購入元」についての制限はないという認識であっていますでしょうか。
具体的には
 グループ法人税制の適用対象の子会社からの購入でも適用できるか。
 グループ法人税制の適用対象外の関係会社からの購入でも適用できるか。
 法人Aの株主である個人Cからの購入でも適用できるか。

3.  「買換えの特例の適用に関する届出書」について、取得予定の資産について記載する箇所があります。
 取得する見込み資産については、取引の話が何も進んでいなくても記入し提出ができるのでしょうか。

4.  譲渡資産が10年を満たず、3号買換えが適用できない場合には、買換資産の要件がありますが、譲渡資産だけを考えたときに、この場所から判定すると2号買換えの譲渡資産(既成市街地内の土地建物等)の要件を満たしている、という認識であっていますでしょうか。

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相続財産法人が土地等を譲渡した場合の課税関係

《質問》

 甲社の代表であるX氏が亡くなり相続が発生しましたが、法定相続人は全員放棄しているため、相続人がいません。
 現在、弁護士が相続財産清算人(※)となって債務等の整理を行っており、最終的に残余財産は国庫に帰属することになるものと考えます。
 その過程で、相続財産である土地及び非上場株式の売却を行っています。土地は甲社へ売却し、株式は当該法人の新社長となったY氏が買い取りました。
 この場合の譲渡所得の申告及び納税は、どのようになるか教えてください。

・相続開始日 平成29年4月5日
・相続財産管理人選任 平成30年2月23日
・土地の譲渡 令和2年1月1日  3,000万円で甲社へ売却
・株式の譲渡 令和3年1月1日   1,500万円でY氏へ売却

※ 令和5年4月の民法改正で新しく生まれた制度で、それまでは相続財産管理人と呼ばれていました。民法改正前後の両者を比較すると、次表とおりとなります。
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地積規模の大きな宅地の評価 都市計画法34条12号区域の該否

《質問》

財産評価基本通達20-2(地積規模の大きな宅地の評価)
市街化調整区域内の条例指定区域について

 市街化調整区域内でも、都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域は、この評価が適用できると記載されていますが、都市計画法第34条第12号の既存宅地でも、宅地分譲ができれば地積規模の大きな宅地評価をしてよいのでしょうか。
 評価通達 20-2では、自治体が条例で定める宅地開発に係る開発行為を行うことができる区域を都市計画法34条10号又は11号の規定に求めていますが、実際には10号11号はごくまれであり、実務上ほとんどが12号、14号の開発が主流です。
 なぜ、10号と11号なのかよくわかりません。
 12号では適用不可となるのでしょうか。

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相続税:受遺者が特別縁故者になり得る場合の相続税の申告

《前提条件》

・2024/6に被相続人Aの相続が発生、Aには法定相続人はいない。
・被相続人Aが契約者であり、かつ被保険者として契約された生命保険金2,000万円を亡弟の妻Bが受取人として取得した。
・この生命保険金(2,000万円)以外にAの相続財産については、Bが特別縁故者として財産分与を申し立てしているところであるが、相続税の法定申告期限まてには特別縁故者の審判は確定しない見通しである。
・この場合、Bは生命保険金の受取人(受遺者)としての立場と、その他の相続財産の受取人(特別縁故者)としての立場に該当しそうであるが、それぞれの立場により相続税の法定申告期限が異なるのか?

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《質問》

・申告方法を誤ると、延滞税や加算税の発生などがリスクとなるかと思われますので、相続税の申告期限及び手続等について確認したい。

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空き家の3,000万円の特別控除について その2

《質問》

① 2筆の土地を3筆に分割して3者に売却した時の適用は、全部を譲渡する目的で一連の行為として行い、同一年であれば、契約日が少しずれても適用が可能と考えていますがいかがでしょうか。
② 自宅と物置と車庫が登記されていますが、建物の全部の面積から自宅分の面積だけの適用でしょうか、分筆するのは、影響なしでよろしかったでしょうか。

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老人ホーム入居後の特定居住用宅地の適用について その2

《前提》

・家族構成は被相続人 Aと配偶者 B、子 C(同居・生計一)、子 D(別居・生計別)
・A名義の土地、建物(自宅)に A、B、Cが住んでいたが、A・Bは要介護認定を受けて有料老人ホームへ入所した
・Aが亡くなり、配偶者 Bが自宅を相続し、小宅を適用(居住用)
・その後、ホームに入ったままBが死亡し、上記自宅をCが相続
・住民票は A、B、Cの3名とも自宅

《質問》 

 上記の場合、老人ホームに入ったままで自宅に戻ることはなかったが、Cは小規模宅地の特例の適用(居住用)が可能という認識で問題ないでしょうか。

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