特定資産の買換えについて その1

《前提》

 法人Aは、10年超の長期保有資産を、法人Bに譲渡し、翌期に圧縮記帳を適用すべく特別勘定と予定資産の届け出をおこなう予定です。(措置法65条の7)
 法人Aは、法人Bの75.6%の株式を保有しています。
 法人Bの残りの株式は、銀行や取引先などが保有しています。
 譲渡資産は、横浜市神奈川区三ツ沢に所在する賃貸用マンション。
 買換資産は、場所は未定の賃貸用店舗です。

《質問》

1.  買換特例の適用にあたって、差益割合の計算上
 「根抵当権の抹消登記にかかる司法書士への手数料及び印紙代」は「譲渡費用」に含まれるでしょうか。
 ここでの譲渡費用とは、所得税の譲渡所得における譲渡費用に(所基通33-7~8)に準ずると考えてよろしいでしょうか。

2.  買換資産の取得にあたって、「購入元」についての制限はないという認識であっていますでしょうか。
具体的には
 グループ法人税制の適用対象の子会社からの購入でも適用できるか。
 グループ法人税制の適用対象外の関係会社からの購入でも適用できるか。
 法人Aの株主である個人Cからの購入でも適用できるか。

3.  「買換えの特例の適用に関する届出書」について、取得予定の資産について記載する箇所があります。
 取得する見込み資産については、取引の話が何も進んでいなくても記入し提出ができるのでしょうか。

4.  譲渡資産が10年を満たず、3号買換えが適用できない場合には、買換資産の要件がありますが、譲渡資産だけを考えたときに、この場所から判定すると2号買換えの譲渡資産(既成市街地内の土地建物等)の要件を満たしている、という認識であっていますでしょうか。

“特定資産の買換えについて その1” の続きを読む

相続財産法人が土地等を譲渡した場合の課税関係

《質問》

 甲社の代表であるX氏が亡くなり相続が発生しましたが、法定相続人は全員放棄しているため、相続人がいません。
 現在、弁護士が相続財産清算人(※)となって債務等の整理を行っており、最終的に残余財産は国庫に帰属することになるものと考えます。
 その過程で、相続財産である土地及び非上場株式の売却を行っています。土地は甲社へ売却し、株式は当該法人の新社長となったY氏が買い取りました。
 この場合の譲渡所得の申告及び納税は、どのようになるか教えてください。

・相続開始日 平成29年4月5日
・相続財産管理人選任 平成30年2月23日
・土地の譲渡 令和2年1月1日  3,000万円で甲社へ売却
・株式の譲渡 令和3年1月1日   1,500万円でY氏へ売却

※ 令和5年4月の民法改正で新しく生まれた制度で、それまでは相続財産管理人と呼ばれていました。民法改正前後の両者を比較すると、次表とおりとなります。
スクリーンショット 2025-03-13 105624

“相続財産法人が土地等を譲渡した場合の課税関係” の続きを読む

地積規模の大きな宅地の評価 都市計画法34条12号区域の該否

《質問》

財産評価基本通達20-2(地積規模の大きな宅地の評価)
市街化調整区域内の条例指定区域について

 市街化調整区域内でも、都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域は、この評価が適用できると記載されていますが、都市計画法第34条第12号の既存宅地でも、宅地分譲ができれば地積規模の大きな宅地評価をしてよいのでしょうか。
 評価通達 20-2では、自治体が条例で定める宅地開発に係る開発行為を行うことができる区域を都市計画法34条10号又は11号の規定に求めていますが、実際には10号11号はごくまれであり、実務上ほとんどが12号、14号の開発が主流です。
 なぜ、10号と11号なのかよくわかりません。
 12号では適用不可となるのでしょうか。

“地積規模の大きな宅地の評価 都市計画法34条12号区域の該否” の続きを読む

相続税:受遺者が特別縁故者になり得る場合の相続税の申告

《前提条件》

・2024/6に被相続人Aの相続が発生、Aには法定相続人はいない。
・被相続人Aが契約者であり、かつ被保険者として契約された生命保険金2,000万円を亡弟の妻Bが受取人として取得した。
・この生命保険金(2,000万円)以外にAの相続財産については、Bが特別縁故者として財産分与を申し立てしているところであるが、相続税の法定申告期限まてには特別縁故者の審判は確定しない見通しである。
・この場合、Bは生命保険金の受取人(受遺者)としての立場と、その他の相続財産の受取人(特別縁故者)としての立場に該当しそうであるが、それぞれの立場により相続税の法定申告期限が異なるのか?

スクリーンショット 2024-12-25 110201

《質問》

・申告方法を誤ると、延滞税や加算税の発生などがリスクとなるかと思われますので、相続税の申告期限及び手続等について確認したい。

“相続税:受遺者が特別縁故者になり得る場合の相続税の申告” の続きを読む

空き家の3,000万円の特別控除について その2

《質問》

① 2筆の土地を3筆に分割して3者に売却した時の適用は、全部を譲渡する目的で一連の行為として行い、同一年であれば、契約日が少しずれても適用が可能と考えていますがいかがでしょうか。
② 自宅と物置と車庫が登記されていますが、建物の全部の面積から自宅分の面積だけの適用でしょうか、分筆するのは、影響なしでよろしかったでしょうか。

“空き家の3,000万円の特別控除について その2” の続きを読む

老人ホーム入居後の特定居住用宅地の適用について その2

《前提》

・家族構成は被相続人 Aと配偶者 B、子 C(同居・生計一)、子 D(別居・生計別)
・A名義の土地、建物(自宅)に A、B、Cが住んでいたが、A・Bは要介護認定を受けて有料老人ホームへ入所した
・Aが亡くなり、配偶者 Bが自宅を相続し、小宅を適用(居住用)
・その後、ホームに入ったままBが死亡し、上記自宅をCが相続
・住民票は A、B、Cの3名とも自宅

《質問》 

 上記の場合、老人ホームに入ったままで自宅に戻ることはなかったが、Cは小規模宅地の特例の適用(居住用)が可能という認識で問題ないでしょうか。

“老人ホーム入居後の特定居住用宅地の適用について その2” の続きを読む

老人ホーム入居後の特定居住用宅地の適用について その1

《前提》

・父が所有している土地の上に父と母が 1/2 ずつの所有権の建物があります。
その建物には父と母が居住していましたが、数年前に父は要介護状態になったため、老人ホームに入居しました。
・父が施設に入居したため、しばらく母は実家で一人暮らししていましたが、高齢の母が心配になり、生計別の長女が母の面倒を見るために、1年前から実家に戻ってきています。

《確認事項》

・老人ホーム特例では、被相続人が老人ホーム入居後に、新たに被相続人等(被相続人と老人ホーム入居直前に生計を一にし、かつ引き続き居住している親族を含む)以外の者の居住の用に供した場合には特定居住用宅地の適用ができないことになるかと思います。
・一方で母については、父が老人ホームに入居する前から現在まで継続して自宅に居住しています。
・もし現状で相続が開始した場合、母が土地を相続することにより特定居住用宅地として小規模宅地の特例の適用を受けることは可能でしょうか。それとも生計別の長女が新たに同居することになったため、母が相続した場合でも特定居住用宅地の特例は適用できなくなってしまうのでしょうか。
・また仮に母が特定居住用宅地の適用を受けることができる場合、その後母が介護施設に入居してしまった場合にも、母は特定居住用宅地の適用を受けることは可能でしょうか。

“老人ホーム入居後の特定居住用宅地の適用について その1” の続きを読む

相続税:海外に居住していた被相続人の葬式費用等

《前提事実》

・被相続人はアメリカと日本の両国に住所を有していたところ、アメリカで死亡した。
・死後数日経過後に日本に居住する家族がアメリカに渡航し、アメリカで葬儀を行い火葬した。
・その後、家族は遺骨を持って日本に帰国した後、手続きが重なり49日以降に日本で二回目の葬儀を行った。
 なお、この二回目の葬儀については死亡日から49日を経過していたため、葬儀屋からは「葬儀として受けることはできない」と言われ、やむなく「四十九日」として執り行った。(実際の内容としては葬儀だが、領収証などには葬儀であることの記載はない。)
・その後、日本国内に墓地(集合墓地のようなもの)を建て納めた。

《質問1》
葬儀費用として相続税の申告上控除できるか
(1)アメリカでの葬儀費用
(2)日本での葬儀費用

“相続税:海外に居住していた被相続人の葬式費用等” の続きを読む

相続税:永代供養料は葬式費用になるか

《質問》

 国内に居住するAさんは、令和6年5月27日に死亡した父(95歳)の葬儀に際して、菩提寺であるB寺に対して読経料30万円、戒名料70万円を支払いました。また、Aさんには将来財産や祭祀を承継する相続人がいない事情もあり、B寺に永代供養料として別途200万円を支払いました。相続税の申告に当たり、この永代供養料は葬式費用として債務控除できるでしょうか。

“相続税:永代供養料は葬式費用になるか” の続きを読む