▼時系列
H21.10.30 相続人Aが代表を務める法人S(不動産業)がタワーマンションの一室を購
入。
H27.5.18 被相続人Bが法人Sから時価で当該物件を購入。
H27.12.27 被相続人Bが亡くなり、相続人Aが当該物件を相続により取得。
▼価格
H27.5.18 被相続人Bが当該マンションの一室を購入した時の時価
125,000,000円
H27年度相続税評価額
土地 11,591,017円
建物(固定資産税評価額) 16,224,983円
合計 27,816,000円
▼状況
・当該マンションの一室は、被相続人が購入後、サブリース契約を結んで法人Sが一括借り上げをする予定であったが話が頓挫し、相続開始時点において空室となっていた。
・当該物件購入前から被相続人は体調を崩しがちであった。
・売買契約書は自筆ではない(印字しているもの)ものの、代理人等は挟んでおらず、被相続人の名前で契約している。
▼参考
財産評価基本通達によれば、評価の原則において財産の価格は「時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第二条(定義)第四号に規定する課税時期をいう。以下同じ)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格をいい、その価格は、この通達の定めによって評価した価格による。」とされ、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価格は、国税庁長官の指示を受けて評価する」とある。
国税不服審判所 平成27年7月1日裁決(タワーマンションの購入価格と相続税評価額との差額を利用した節税行為)の事例においては、マンション取得時期と相続開始時点が近接(この場合の事例は1か月)しており、基準地価格も相続開始前後において横ばいであることから、マンション取得時の価格を用いて評価することが相当であると判断している。
《質問》
- 相続税評価額を路線価に基づいて計算することについて
本件では当該マンション購入から相続開始までおよそ7か月という期間で、購入価格と相続税評価額の差が1億円となっている。
当該期間における固定資産税路線価の時点修正率は1.0で、不動産の価格の大きな変動はないと考えられることから、課税庁側からマンション購入時の価格で評価することが相当であると判断される可能性があると推察される。今回の件に関してどう判断されるか種々の可能性・ご意見を頂戴したい。またタワーマンションにおける相続税評価については今後、改正を含めた様々な検討がなされると想定されるが、相続税評価額にすべきか時価にすべきかの判断において、相続税評価額で申告することが否認されない条件(要件等)についての見解があればご教授願いたい。 - 相続財産が基礎控除以下である場合について
本件不動産を仮に相続税評価額を用いて相続税を算定した場合、基礎控除内に収まる可能性が高い。今後、マンション節税に対する監視の目は厳しくなっていくものと予測されるが、基礎控除内に収まる=無申告とした場合の、課税庁側からの調査の可能性及び修正が指摘された場合の重加算税等についての意見をご教示願いたい。(尚、相続人は不動産業を生業としており、今回の取引に対して節税の目的があったと類推されてしまう可能性があるものの、一連の流れに不透明な動き(隠ぺい・仮装等)があるとは言えないと考えている。) - その他、事実確認が必要な事項・税務上の盲点等について
今回の取引・申告において失念している事項や争点・問題点が他にあればアドバイス願いたい。