相続財産の寄附をめぐる課税関係(措法70・40関係)

《質問》

1 相続人は、被相続人から相続した財産を社会福祉法人Xに寄附しようと考えていますが、この場合の相続税・所得税の課税関係はどうなりますか。非課税特例を交えて教えてください。

802 被相続人が生前から財産を社会福祉法人Xに寄付したいとの意向があり、自身が死亡した場合には遺言により社会福祉法人に寄附します。この場合の相続税・所得税の課税関係はどうなりますか。非課税特例を交えて教えてください。

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(事実関係)
 相続開始年月日:令和4年10月1日
 相続財産
 (=寄附財産) :預貯金  5,000万円
         土 地(相続税評価額)1億円、 (時価)1億2千万円

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死亡した人の予定納税・中間申告

《質問》

 個人Aは自営業者で、毎年所得税、消費税の確定申告をしてきましたが、本年7月10日死亡しました。昨年分の所得税の確定申告額は50万円(事業所得だけの申告)、確定消費税額は60万円(年税額)で、所得税の予定納税の義務者、消費税の中間申告の提出義務者です。年の中途で死亡した個人Aの場合、予定納税、中間申告はどのようになるのでしょうか。

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居住用賃貸建物について その2

《前提条件》

・ 個人事業者
・ 建物の引き渡しは令和6年3月
・ 令和6年12月31日までに事務所用として賃貸借契約を締結
・ 令和6年の課税売上割合は20%と予想。この物件以外にも不動産収入があり毎年の課税売上割合に変化はないと思います。
・ 令和5年は免税事業者ですが、令和5年中に課税事業者選択届出書を出すか、令和5年12月17日までにインボイスの登録申請書を提出して令和6年から課税事業者になる事を検討しています。

《質問1》

 R6の申告にて、建物に係る消費税を、個別対応方式の課税資産の譲渡等にのみ要するものとして申告して消費税の還付を受けた場合、その後入居者が入れ替わり、R7又はR8で居住用として新たに賃貸借契約を締結した場合、課税のみ対応から非課税のみ対応になるので転用の調整(転用した日の属する課税期間で還付を受けた消費税分の納税が発生する)をしなければならないでしょうか?

《質問2》

・ 還付を受ける為、R6から課税事業者になったが、R6で課税業務用の賃貸借契約が結べず、居住用として賃貸借契約を締結し、R6で個別対応方式の非課税のみ対応として申告(それでも少し還付になりそうです)。
・その後R7又はR8に入居者が入れ替わり事務所用として賃貸借契約を締結した。
 上記の場合には、以下の理解で良いでしょうか?

◇ 仕入れ等の課税期間では居住用賃貸建物に該当するので新設された、第3年度末に保有している事を条件として、第3年度で、居住用賃貸建物に係る消費税 ×(調整期間の課税業務用賃貸収入の合計 ÷ 調整期間の賃貸収入の合計)での調整計算を行う。
◇ 従来からの規定である、非課税のみ対応から課税のみ対応への転用の調整はない。

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居住用賃貸建物について その1

《前提》

・現在不動産賃貸を行っている個人事業者が、2024年3月完成予定のー棟マンション(すべての部屋にキッチンや風呂あり。)のうち2部屋を購入予定。賃貸用で人に貸す事は決まっているが、居住用なのか事務所用なのかは現時点で不明
・引き渡しは2024年3月
・高額特定資産に該当

《質問》

参考資料「税務通信」の記事をご覧ください。
今回の場合
1 記事にある様に一棟マンション自体が居住用としての作りになっている = 居住用賃貸建物に該当するので引き渡しを受けた日の属する課税期間では仕入税額控除不可
 ⇒ ただしその後実際に3年間事務所として貸した場合には、第3年度の課税期間の末日に物件を有しているときは第3年度の課税期間において加算調整が出来ると読めると思います。
2 ただし基本通達11-7-2には次の記載になっています。

(居住用賃貸建物の判定時期)
11-7-2 居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日(自己建設資産にあっては、法第12条の4第1項第2号《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》に定める日。以下11-7-2において同じ。)の状況により判定し、同日において住宅の貸付けの用に供しないことが明らかでない建物(高額特定資産及び調整対象自己建設高額資産に限る。)については、居住用賃貸建物に該当するのであるが、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日こおいて、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして差し支えない。(令2課消2-9により追加)

 これを見ると、たとえ一棟マンション全体が居住用賃貸建物に該当しても、以下の場合には引き渡しを受けた日の属する課税期間において仕入税額控除可能という様に読めます。引き渡しを受けた日において、事務所用として賃貸借契約書を締結している、または引き渡しを受けた日において何も決まっていない、つまりこの時点では居住用賃貸建物に該当(わからない場合は居住用賃貸建物に含まれるという理解です。)するが、引き渡しを受けた日の属する課税期間の末日において事務所用として賃貸借契約書を締結している。
 裏返すと、引き渡し課税期間の末日において何も決まっていない場合のみ引き渡しを受けた日の属する課税期間では仕入税額控除不可 ⇒ その後3年の間に課税賃貸用になった場合のみ、第3年度で調整計算という様に思えます。
 どちらが正しいでしょうか。

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消費税還付について

《前提》

個人で不動産賃貸を行っています。
課税売上は毎期360万円、非課税売上は1,700万円です。
360万円<1,000万円なので現在免税事業者です。
令5年12月完成引き渡し予定の一棟マンションがあります。そのうちの2部屋を購入予定(購入価格は一件あたり1,000万以上)で購入後、事務所用として賃貸する予定です。

《質問》

1 申請をして令5年10月1日から適格請求書発行事業者になった場合、令5年において、消費税の還付を受けることは出来ますか。
 その場合、個別対応方式なら、仮にその建物に係る消費税が200万円の場合、200万円の控除が可能でしょうか。
 引き渡しが令6年にずれ込んだ場合でも還付を受けることが出来ますか。
2 課税事業者選択届出書は提出しないでも大丈夫でしょうか。
3 毎年の課税売上が1,000万円以下(従来360万円 + 購入マンションの事務所用としての家賃収入500万円)だとした場合、最短で免税事業者(適格請求書発行事業者の取消し)となれる年はいつからでしょうか。
4 万が一居住用として賃貸した場合、2割特例は使えますか。

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インボイス制度について

《前提条件》

8月決算の会社(不動産貸付業、トランクルーム貸付業)
・もともと課税事業者で、インボイスの登録済です。
・令和4年8月期・・・課税売上高1,000万円超
・令和5年8月期・・・課税売上高1,000万円以下
・それ以降も課税売上は1,000万円以下の見込み

《質問》

 令和6年8月期が始まるにあたり、今月中に簡易課税を選択するか検討中です。
 令和6年8月期は、インボイスに関係なく課税事業者であるため簡易課税を選択すれば簡易課税になるかと思います。
 令和7年8月期は、課税売上高が1,000万円以下のため2割特例の適用が可能でしょうか?
 簡易課税を選択していれば、2割特例か簡易課税のどちらかになる、という考えで合っていますか?

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適格請求書発行事業者の登録の取り消しを求める旨の届出書について

《前提》

 まだ、適格請求書発行事業者の申請をしておりません。翌期に免税事業者に出来るのであれば届出書を提出してR5.10.1から適格請求書発行事業者になる事を考えています。
 基準期間の課税売上だけで考えますと
 当期:R5.6.1~R6.5.31 課税事業者
 翌期:R6.6.1~R7.5.31 免税事業者
となります。

《質問》

 もともと当期が免税事業者であり、R5.10.1から適格請求書発行事業者になって課税事業者になる場合は、R6.6.1の初日から起算して15日前の日までのR6.5.17までに取消しの届出書を出せば 翌期(R6.6.1~R7.5.31)は免税事業者になれると思います。
 R5.10.1の属する課税期間が基準期間の課税売上が1,000万円超であるので、そもそも当期が課税事業者の場合でもR6.5.17までに適格請求書発行事業者の登録の取り消しを求める旨の届出書を提出すれば翌期(R6.6.1~R7.5.31)から免税事業者になれるのでしょうか。

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インボイス制度と高額特定資産

《前提条件》

令和5年10月1日の属する課税期間から適格請求書発行事業者登録を受け消費税の課税事業者となる。
令和5年10月中に太陽光発電投資2,000万円を行う。

《質問》

 前提条件の場合は、高額特定資産を購入しているため消費税の課税事業者として3年間の縛りがあるかと存じますが、その場合の課税事業者から免税事業者に戻るタイミングは①ではなく②という認識でよろしいでしょうか?

tempsnip

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インボイス登録済事業者が、死亡した場合の手続・課税関係等

《質問》

 課税事業者でインボイス発行事業者として登録申請を済ませていた不動産賃貸業(貸駐車場)を営む個人Aが、令和5年3月30日に死亡しました。これまでのAの課税売上額は各年1,200万円程で全て簡易課税で申告をしていました。相続人は、妻B(専業主婦)、子C・D(いずれも会社員)の3人で、課税売上額は無くインボイスの登録はしていません。また、5年末までには遺産分割協議が完了しないと思われます。
 被相続人Aと相続人B・C・Dそれぞれの消費税の課税関係、インボイスの効力、2割特例の適用はどのようになりますか。
 また、令和5年10月1日後死亡した場合にはどのようになりますか。

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個人事業者の消費税還付について

《概要》

・喫茶店を経営する青色申告事業者
・課税売上1,000万円以下の免税事業者
・令和5年10月に1階が喫茶店、2階が貸店舗の建物を建築予定。建築資金7,700万円
・建物にかかる消費税の還付を受けたい

《質問》

1. インボイス登録申請について
 原則は令和5年3月までが提出期限であったが、猶予規定により、その年内中に提出も可能になったと理解。5月中に、令和5年10月~適用開始のインボイス申請書は提出可能ですか?

2. インボイス提出により、令和5年10月から課税事業者となり、簡易課税を選択しない場合、建物の仕入税額控除=消費税の還付を受けることは可能ですか?

3. 消費税の還付を受けた場合、建物が高額特定資産に該当することから、3年縛りの適用あり。この場合、令和6年以降の消費税計算は、いわゆる「激変緩和措置」の2割特例計算の適用は可能ですか?

4. 建物ではなく、1,000万円以下の調整対象資産を購入した場合の3年縛りについて、課税時事業者選択届を提出はしておらず、インボイス登録申請により課税事業者になったため、3年縛りの適用は受けませんか?

5. 建物が高額なため、妻(生計一・青色事業専従者ではない・会社勤務の給与所得者)と 1/2 の共有になります。仮に1階と2階が同じ建築費の場合、夫は1階部分 7,000 × 1/2 × 共有割合 1/2  =  1,750万の償却費を事業所得に計上し、2階部分を不動産所得に計上します。また、妻の1階部分1,750万の償却費を、所得税法上の生計一の規定により、家賃の代わりに、夫に計上します。
 消費税の計算では、1,750  +  1,750  =  3,500を仕入税額控除します。
 妻もインボイス登録申請を提出します。
 2階部分1,750万の償却を不動産所得に計上します。
 1階部分は生計-のため、家賃収入を計上しない代わりに、償却も、夫に計上するので、妻には計上しません。
 この場合、妻の消費税の計算で、仕入税額控除できるのは、2階部分のみでしょうか?
 仮に、1階部分について、適正な家賃の収受があった場合、所得税法上は収入・経費を認識しませんが、消費税法上は、1階・2階とも不動産賃貸物件として、仕入税額控除できませんか。

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