同族会社が同族株主から自己株として買取る場合の株の評価

《前提条件》

① 甲(数年前までA株式会社の代表取締役。現在は退職。120株を所有、発行済株式200株 の 60%を所有)の所有株式120株すべてを、3,000万円で売却したい。
② A株式会社の純資産価額 1,700,000円 相続税評価上の純資産価額。
含み益なし → 法人税等の控除なし。3年以内の時価評価資産なし。
③ A株式会社の相続税評価額 700,000円 類似業種比準価額を考慮
甲が,発行会社であるA株式会社に,120株を売却 = 自己株式(金庫株)する場合において

質問1
 売却価額と取得価額(=発行価額50,000円)との差額=売却益は、配当所得に該当するでしようか?(相続による売却でない)

質問2
 売却する場合の適正な売却価額は、法人税及び所得税法上の純資産価額1,700,000円となりますか?

質問3
 この場合は、1株当たり1,700,000円 - 50,000円 = 1,650,000円の配当所得が発生し、総合課税される配当所得は、1,650,000 円× 120株 = 198,000,000円となりますか?

質問4
 純資産価額1,700,000円が適正な時価とした場合、相続税評価700,000円で売却した場合、時価の1/2以下になるため、みなし譲渡の規定の適用を受けられますか?
 みなし「譲渡」とありますが、配当所得にもみなし譲渡の規定が適用されますか?

質問5
 純資産価額1,700,000円が適正な時価とした場合、A株式会社には、1株当たり1,700,000円 - 700,000円 = 1,000,000円の受贈益が発生しますが、自己株式の取得は「資本等取引」に該当するため、損益には影響せず、A株式会社に対し受贈益課税は適用されないでしようか?

質問6
 純資産価額1,700,000円が適正な時価とした場合、株主から時価より著しく低い価額で資産を購入した場合、株価評価の増加額相当分の、当該株主から他の株主への贈与があったものとみなす「みなし贈与」の規定の適用を受けられますか?

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取締役である株主から自己株式を買取った時の課税

《前提》

資本金 2,000万円 発行済株式総数 400株 自己株式 40株 議決権 360株
株主数 11名(株主全員全くの他人です)
上位3名の発行済数による判定 31.2%議決権による判定 34.7%
よって非同族会社
取締役 11名(全員上記株主)
今回退任する 平取締役A持株数 5%
① 配当還元株価  28,000円
② 類似株価による相続税評価額  100万円
③ 9-1-14によると120万円です
Aが退任するにあたり自己株式で買取ります。
配当還元で買い取ると額面5万円(2,000万円 ÷ 400株 = 5万円)以下となります。

《質問》

Ⅰ 本人の買取り希望額1株120万円で買い取った場合
売却個人側はみなし配当、譲渡所得を認識、
購入法人側は資本等取引なので課税関係なし(高額買い入れによる課税はなし)、ということでよいと思うのですが、いかがでしょうか?

Ⅱ  120万円は会社が出せないので100万円で買い取った場合
上記Iと同様に売却個人側はみなし配当、譲渡所得を認識、
購入法人側は資本等取引なので課税関係なし(高額買い入れによる課税はなし)、ということでよいと思うのですが、いかがでしょうか?

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空き家特例の対象敷地の判定について

《質問》

・令和4年1月に亡くなった母親の相続により建物(母屋、車庫、倉庫、工場)及びその敷地を取得し、このたび全部の建物を取り壊した後に敷地(600 m)を売却しました。
・相続開始時における建物及び敷地の配置状況等は以下の配置図のとおりです。
・空き家特例(措法35③)の適用要件は具備しているとして、特例対象の敷地面積はどのように判定すればよろしいでしょうか。

居住用

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非上場株式の個人間売買の時価について

・財産評価基本通達による株価評価
 その会社の従業員数、総資産額、取引金額により会社の規模を判定し、大会社、中会社、小会社に分けて評価方法を規定
 この規定は相続とか贈与の場合の評価規定であり売買の場合の規定ではありませんが、個人対個人の売買についての規定はどこにもないのでB/Kはこの規定を類推準用しています。
 その結果としてA社の株価は1株当たり10,000円となり、社長の所有株は40,000株であり4億円と計算しています。
 これはこれで常識的な帰結である事は否定しません。

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