持分会社を退職する社員の出資の払い戻しについて

《質問》

 持分会社甲社(合同会社)を退社する社員の出資の払い戻しについて質問です。
資本金    30,000,000円
決算期    3月
社員の退社日 R2年3月31日
退社する社員は、個人Bと法人Cがあり、個人Bは法人Cの100%株主です。
出資金 A  1,000万円
    B     500万円
    C     250万円
    D     750万円
    E     300万円
    F     200万円

1. 持分の払い戻しを行う場合、その価額は「評価すべき持分会社の課税時期における各資産を財産評価基本通達の定めにより評価した~」とありますが、この「課税時期」というのは、退社日であるR2年3月31日で評価するのか、「取引相場のない株式の評価方法}に準じて、直前期の決算期末(H31年3月期)で評価するのか、どちらを採ればよいのでしょうか。

2. 出資の評価方法ですが、会社法で「退社の時における持分会社の財産の状況に従ってしなければならない。」とあり「配当還元方式」は採れないように読めますが、前期、前々期と配当をしているので、「配当還元方式」を採ることは可能でしょうか。

3. 退社の伴う持分の払い戻しを受ける場合、評価した価額が1口50,000円のところを出資した金額の1口10,000円で払い戻しをしてほしいとの申し出があり、会社側もこれに応じた時の、税務上の課税関係について教えてください。
ア 退社する出資者が個人の場合
イ 退社する出資者が法人の場合
ウ 甲社の処理(仕訳)

4. 退社する社員の出資持ち分を、払い戻しに代えて、第3者に譲渡することは可能でしょうか。

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合同会社の持分の譲渡価額について

《前提》

 親族間(ご兄弟です)で合同会社の持分を譲渡する際の譲渡価額について教えてください。
 みなし贈与が課税されない金額で譲渡できればと考えています。
 譲渡口数は、85,000口です。
 相続税の持分会社の出資の評価は、以下のようになっています。
① 定款に相続人が社員の地位を承継できる旨の定めがあり持分を承継する場合 → 取引相場のない株式の評価方法に準じて評価(類似を使える、純資産価額37%控除できる)
② 持分の払戻しを受ける場合 → 純資産価額

《質問》

1. 譲渡の場合には、持分の払戻しではないので、「取引相場のない株式の評価方法に準じて評価(類似を使える、純資産価額37%控除できる)」で評価した価額で譲渡してもみなし課税は起きないと考えて差し支えないでしょうか。{1口当たり1,570円(類似:@42円・純資産価額:@3,861円・会社規模:中の小)}

2. それとも、所得税法でいう「その時における価額」とは払戻時の価額であり、純資産価額で譲渡を行わないと差額についてみなし贈与課税を受ける可能性がありますでしょうか。(1口当たり純資産価額3,861円)
 例えば、①の価額133,450,000円で譲渡した場合、②との差額194,735,000円に贈与税課税?

※①の場合、@1,570×85,000口=133,450,000円で譲渡
 ②の場合、@3,861×85,000口=328,185,000円で譲渡

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新型コロナの影響に伴い減額した役員給与

《質問》

 当社は、新型コロナウイルスの影響により売上が減少してしまい、資金繰り上決算期前ですが役員給与を減額せざるを得ません。具体的にはどのような方法で行えばよいでしょうか。

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税務調査通知後の修正申告について

《質問》

 顧問先の4月決算の法人(業種:製造業)ですが、税務調査通知後、会社の帳簿に計上していない通帳に売上の入金があることが社長により判明したため、3期分(H29/4月期、H30/4月期、H31/4月期)の修正申告を提出しました。
 調査中、調査官はその売上の漏れについては把握していないようでしたが、調査最終日の午後に修正申告の話をしました。
 その後、調査官により申告漏れについて重加算税の話がありました。
 改正後ですので、加算税については仕方がないと思うのですが、重加算税はどうなのか、アドバイスをお願い致します。

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太陽光発電設備の売買に係る消費税還付について

《前提》

 個人から法人(当該個人が代表者)に太陽光発電設備を負担付贈与する予定です。
 負担は個人が金融機関から借り入れている借入金です。売電収入は名義の変更(個人から法人)に経済産業省の手続きがある関係で、法人の決算月である令和2年5月に間に合いそうにありません。名義の変更ができ次第、借入金の名義を個人から法人に変更することになっています。
 個人は来年(令和2年)から消費税の課税事業者になる予定です。(令和1年中に売却すれば消費税は免税です。)
 法人は消費税の課税事業者です。

《質問》

 年内(R1年)に負担付贈与契約書を作成することで、今年の契約日に個人から法人に所有権が移転したと税務署が認めてくれるでしょうか。また、法人側では、決算期末までに名義変更が間に合わない場合でも令和2年5月期において個別対応方式で課税仕入れのみに要する課税仕入れとして太陽光発電設備に係る消費税還付を受けることはできるでしょうか。

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貸倒損失の計上について

   法基通9-6-3を上手く活用しましょう!

《質問》

 今回製造業の顧問先に税務調査が入り、直近の事業年度で計上していた取引先に対する売掛金の貸倒損失は認められないとの指摘を受けました。法律上の貸倒損失(法基通9 -6-1)に該当せず、また事実上の貸倒損失(法基通9-6-2)の要件である取引先の資産状況等の確認も行っていないのだから、「全額が回収できないことが明らかではない」との指摘です。正直今期は利益が出たので、過去からの不良債権を処理し税金負担を軽減したいとの思惑も多少はありました。修正申告しなくてはならないでしょうか。

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生活障害年金の受取人変更にかかる税務について

《質問》

 別添のパンフレットのような保険商品を関与先に提案する保険会社の担当者がおり特徴①、②、③等をセールスポイントとして売りに来ております。

 別添   エクシードU

 現行税法上、この受取人変更について課税する根拠規定はないのでこのような売り方ができるのでしょうが、個人(被保険者)が何ら保険料を負担することなく、(障害を起因とするとは言え)多額の年金受給権を無税で取得できるこのスキームを国税が放置するとは考えにくいのではないかと個人的には思います。
 また、同じ障害を負ったことに対する保険金であっても、このような年金形式ではなく、一時金として法人に支払われた場合、その保険金を全額被保険者個人へ支払おうとする(例えば見舞金として)と、見舞金としての範疇を超え、給与課税されることになります。このことと平衡を取ろうとすると、やはり年金受取人の変更については課税するのが正しい、と国税は考えるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

◎ ご指導いただいた件につきまして、先日生命保険担当者と電話で話す機会がありましたので、その後の顛末をご報告いたします。
パンフレットの商品ですが、第1回の年金が支払われた後においても(受取人変更ではなく)保険契約者の変更が可能だそうです。
 よって、第1回の年金支払い後に行われる法人から個人への保険契約者変更(同時に年金受取人変更)についての課税関係は通常の保険事故発生前の契約者変更と同様に、解約返戻金相当額による評価によるべきである、との説明でした。本件保険証券については第1回支払い後の解約返戻金は0円であるので、課税は生じないとのことです。

《関連質問》

 保険の税務処理について

 契約者が法人、被保険者がその法人の社長、保険一時金、年金の受取人が法人となっている。
 特定状態収入保障保険について、前年度に社長が重大な疾病に至り、一時金、年金の給付を受けましたが、この度年金部分の受取人を社長に変更しました。
 この際の法人税、社長個人の所得税の扱いについて保険会社に問い合わせたところ、保険会社より以下の見解を得ることができました。
 法人税については、年金部分を社長個人に無償で変更した場合、保険契約の譲渡となり、時価部分を役員賞与として取扱うところ、当該保険は年金部分の契約について解約返戻金がゼロ円で設定されているため、時価相当額が存在せず役員賞与が発生しない。従って特段の税務処理は必要ない。
 一方、社長個人が今後受け取る年金部分については、年金の契約が特定収入状態保障保険に該当するため非課税となり、本年度を含め今後も所得税法上の申告等の必要はない。
 なお、現時点において社長は月に80万円の役員報酬を得ており、年金が所得保障である側面を鑑みるに、年金部分の申告が必要ないという保険会社の見解に若干の疑念も生じております。
 保険会社の法人税、所得税のそれぞれの扱いについて、どのような所見をお持ちになるか、お聞かせ願いたく存じます。

《当該保険パンフレットより一部掲載》

特定状態収入保障保険の第1回目の年金支払い日以降に受取人を変更した場合
(該当する保険種類:特定状態収入保障保険(無解約返還金)、介護年金保険(無解約返還金)、生活障害年金定期保険「エクシード」)

 特定状態収入保障保険(無解約返還金)の第1回の年金支払日以降に、年金受取人を法人から被保険者個人に変更した場合、年金を受け取る権利に対して所得税の課税は生じません。また、法人での経理処理も生じないと考えられます。
 介護年金保険(無解約返還金)および生活障害年金定期保険「エクシード」の第1回の年金支払日以降に、年金受取人を法人から被保険者個人に変更した場合の税務取り扱いも同様と考えられます。
(注)個別の税務取り扱いについては、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。

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租税条約に債務者主義の定めがある場合における課税関係

《質問》

 内国法人A社は、中近東のS国でのプラント建設を請け負っており、その建設に必要な技術をイタリアの法人から導入する予定です。
 その技術については中近東のS国のみで使用することとしており、国内で行う業務の用に供されることはありませんので、その対価について、我が国では課税されないと理解してよいでしょうか。

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所得拡大促進税制の更正の請求について 

  ~ 法律の「二つの確定申告書等」に注意! ~

《質問》

 法人税確定申告書で所得拡大促進税制による税額控除を適用しましたが、「雇用者給与等支給額」の拾い漏れがありました。法律を読む限り更正の請求ができそうですが大丈夫でしょうか?

《答え》

 残念ながら、法令上の当初申告要件を満たさないため更正の請求はできません。

 根拠法令は租税特別措置法第42条の12の5(*1)ですね。雇用者給与等がアップしていれば税額控除を使えるので、適用している法人も多いかと思います。しかしながら、この条文は理解しづらく勘違いしてしまうケースも多いと聞きます。
 それでは説明していきます。

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税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(3)

《質問》

 ここ数年の税務調査は、以前に比べて長期化しているような気がしますが通則法改正と関係あるのでしょうか。

 御存知のように税務署の定期異動は7月10日付けで全国一斉に行われます。そして、お盆休み明けから、9月、10月、概ね11月一杯くらいは税務調査の最盛期と言われています。
 現在の税務調査は9割以上が「事前通知」という国税通則法上の手続きを経て始まります。今回は以前に比べて長期化している税務調査について、法的観点及び傾向等を検証していきたいと思います。

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