確定申告に当たり注意すべき事項(所得税)第1回

2019年1月21日~2月12日に投稿しました「誤りやすい事例集(所得税)」を新規の設問を加え投稿いたします。新規の設問には「★」表示しました。

一 納税地
1 納税地の届出(事業所納税)
 事業所を納税地とする場合の手続き

 事業所を納税地とするためには、住所地の所在地の所轄税務署長に対して、その旨を記載した届出書を提出しなければならない(所法16②④)。
 事業所を納税地としていた者が事業を廃業(法人成)した場合には、納税地を事業所から住所地へ変更する必要があるので注意する。

2 納税地の届出(貸付不動産所在地)
問 貸付不動産の所在地を事業所として納税地とすることができるか。

答 住所地等に代えて納税地とすることができる「事業所」は、事業に関する業務を行う場所のことをいい、貸付用に供される不動産自体は「事業所」にあたらない(所法16②)。

二 所得の帰属
1 共有賃貸物件の申告者
 共有物件を賃貸した場合の申告者

 資産から生ずる所得は、原則としてその所有者(共有の場合には、各人の持ち分割合に応じて)に帰属し、それぞれが申告をする(所基通12-1)。

2 建物所有者
 配偶者や親名義の土地を、月極駐車場として土地所有者以外の名義で契約し、その所得を契約者の所得として申告することの可否

 土地の所有者以外の者が構築物の設置等に係る相当の費用負担をしない場合など、単に土地のみの貸付による所得は、契約内容に関わらず、土地の所有者が申告しなければならない(所基通12-1)。

三 非課税所得
1 損害賠償金
問 交通事故に基因して受け取った損害賠償金の課税の可否

答 損害を受けた者の所得の計算上必要経費に算入される金額(例えば従業員に対する給与等)を補填するための部分は非課税とはならない。(所法9①十七、所令30)。

★2 コロナ給付金等
問 コロナ感染症等の影響により支給される給付金、協力金等の課税関係について

答 国等から支給される給付金等の課税関係については次表のとおりであるが、地方公共団体独自に支給されるものについては、それぞれ支給の根拠や給付目的等が異なることから、個別に課税関係を検討する必要がある。
国税庁ホームページ「国税における新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」より

 

 

 

非課税

【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
・新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)
【新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの】
・特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
・子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)
【所得税法が非課税の根拠となるもの】
〇学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
・学生支援緊急給付金
〇心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
・東京都のベビーシッター利用支援事業の特例措置における助成

 

 

 

 

 

 

課税

【事業所得等に区分されるもの】
持続化給付金(事業所得者向け)
東京都の感染拡大防止協力金
雇用調整助成金
小学校休業等対応助成金(支援金)
家賃支援給付金
小規模事業者持続化補助金
農林漁業者への経営継続補助金
医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業における補助金
【一時所得に区分されるもの】
持続化給付金(給与所得者向け)
Go Toトラベル事業における給付金
Go Toイート事業における給付金
Go Toイベント事業における給付金
【雑所得に区分されるもの】
持続化給付金(雑所得者向け)

四 所得区分
1 車両の売却・下取り
 事業用車両の売却や下取りにより所得があった場合の所得区分

 事業用車両であっても、棚卸資産に該当しないので売却・下取りによる所得は(総合)譲渡所得となる(所法33)。

2 立退料の受取り
 退料を受け取った場合の所得区分

 立退料のうち、借家権の消滅部分は、譲渡所得
 休業補償部分は、事業所得等
 その他は一時所得となる。
(所令94、95、所基通33-6、34-1(7))

★3 民泊に係る所得
問 自身が居住する住宅についていわゆる民泊を行った場合の所得区分

答 自身が居住する住宅を利用して民泊を行う場合の所得は、原則として雑所得に該当する

五 配当所得
1 申告した後に修正申告等で除外
問 確定申告を要しない利子所得、配当所得を申告した後に、これらを修正申告又は更正の請求で除外することができるか。

 確定申告を要しない利子所得又は配当所得を申告した場合には、その後の修正申告や更正の請求において除外することはできない(措通8の5-1)。

2 申告した後に修正申告等で選択替え
 確定申告において申告分離課税を選択した上場株式等の配当等を、更正の請求又は修正申告において総合課税へ選択替えすることはできるか。

 申告分離課税を選択して確定申告をした場合には、その後において更正の請求をしたり修正申告をするときにおいても、申告分離課税を選択することになる。したがって選択替えはできない(措通8の4-1)。 なお、上場株式等の配当等を申告する場合には、その全額について、総合課税か分離課税のいずれかを選択することになる(措法8の4②)。

3 利子や配当の申告方法
 複数の源泉徴収選択口座で上場株式等の利子等や配当等を受領している場合における申告方法

答 数の源泉徴収選択口座内に利子等や配当等を有する場合には、それぞれの源泉徴収選択口座(口座内の利子等と配当等の合計)ごとに申告不要制度の適用を選択することができる(措法37の11の6⑨)。また、一つの口座内の利子所得と配当所得のいずれか一方のみを申告し、又は申告しないとすることはできない。

4 源泉徴収選択口座内の配当等の申告方法
 源泉徴収選択口座内で上場株式等の配当等と譲渡損失とが損益通算されている場合に、その譲渡損失を申告する時は、併せてその配当等の申告も必要となるが、その配当等の申告については必ず分離課税での申告が必要か。

 源泉徴収選択口座内で上場株式等の配当等と譲渡損失とが損益通算されている場合において、その譲渡損失を申告する時は、同時にその配当等についても申告が必要となる。この場合において、上場株式等の配当等については、総合課税又は申告分離課税のいずれの方法も選択をすることができる。ただし、上場株式等の利子等については、総合課税を選択することはできない(措法8の4②)。

5 外国上場株式の申告
 外国の証券会社に預けている外国上場株式の配当は、申告分離課税の選択や上場株式等に係る譲渡損失との損益通算はできるのか。

 外国金融商品市場において売買されている株式等も「上場株式等」に含まれることから、外国の証券会社に預けている外国上場株式の配当は、申告分離課税の選択及び上場株式等に係る譲渡損失との損益通算ができる(措法8の4①一、37の11②一、37の12の2①)。
ただし、金融商品取引法上の登録を受けていない金融商品取引業者等において行う(例えば直接外国の取引業者等との取引)「上場株式等の譲渡」により生じた損失は、上場株式等の配当との損益通算又は繰越控除はできない(措法37の12の2②一)。

6 住民税の申告
問 上場株式等の配当について、所得税の確定申告で総合課税にて申告した場合は、住民税の申告では申告不要とすることはできるのか。

 平成29年度の地方税法の改正により、上場株式等の配当所得等と譲渡所得等について、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できることが明確化された。したがって、例えば確定申告で総合課税や分離課税で申告していても、住民税では申告不要とすることができる。この場合、別途住民税の申告書にその旨の記載が必要となります(地法32⑫~⑮、313⑫~⑮)。

六 不動産所得
★1 収入計上時期
問 不動産所得の収入計上時期はどのようになっているのか。

答 以下のとおり
⑴ 地代・家賃、共益費などは、その支払方法についての契約内容により原則として次のようになっている。
ア 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日イ 支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日
ウ 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、その判決、和解等のあった日
(注) 賃貸料の額に関する係争がある場合に、賃貸料の弁済のために供託された金額については、ア又はイに掲げる日
*上記アについては、帳簿書類で継続記帳をすることにより、貸付期間に対応する賃料を計上することができる(昭和48.11.6直所2-78)。
⑵ 上記以外のもの
家屋又は土地を賃貸することにより一時に受け取る権利金や礼金は、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日、引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上する。
このほか、名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受け取るものについても同様とする。
また、敷金や保証金は本来は預り金なので、受け取っても収入にはならないが、返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した日にその金額を収入に計上する必要がある(所法36、所基通36-5~7)。
(国税庁タックスアンサー1376より)

2 相続で取得した賃貸用不動産の申告
 賃貸用不動産を相続により取得し、年の中途で遺産分割が行われた場合、その年分の未分割期間中の不動産所得の申告はどのようにするのか。

 遺産分割が行われるまでの期間は法定相続分により計算する。なお、遺産分割の効果は、未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼすものではないので、分割の確定を理由とする更正の請求又は修正申告を行うことはできない。

3 共有で所有している物件の貸付けの規模
 アパートを共有で所有している場合、貸付の規模の判定の仕方

 不動産が2人以上の者の共有である場合であっても、当該不動産全体の貸付の規模で判定する。

★4 事業的規模の判断
不動産取得の事業的規模の判断において参考となる裁決紹介
裁決事例集№74-37頁 平成19年12月4日裁決
【裁決要旨】
建物貸付けは、同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、貸付けに係る維持管理等の程度が実質的には相当低いとして、不動産所得を生ずべき事業に当たらないとした事例
【事実関係】

物件内容 貸付先 平成15年分 16年分 17年分
建物等 敷地225㎡鉄筋3階建、駐車場スペース22台 税理士法人(会計事務所) 月額 600,000 600,000 600,000
年額 7,200,000 7,200,000 7,200,000
記帳代行法人 月額 150,000 150,000 150,000
年額 1,800,000 1,800,000 1,800,000
土地 面積224㎡ 長男居宅と駐車場スペース5台 長男 月額 10,000 10,000 10,000
年額 20,000 120,000 120,000
収入金額計 9,020,000 9,120,000 9,120,000
所得金額 各年200万円~300万円

請求人は、1資産の取得に係る投資額(借入金)の多寡を重要視すべきであること、2事業とは、社会通念に照らして事業と認められるものすべてを含み、事業所及び人的・物的要素を結合した経済的組織を必ずしも必要とせず、本件貸付けは十分に自己の危険を持ち得る事業といえること、また、3総合ビジネスを視野においた事業を行うという計画を基に建築、事業経営を行っているという現状にかんがみると、本件貸付けは不動産所得を生ずべき事業に該当すること、さらに、4東京高裁平成13年7月11日判決の中で挙げられている事業規模の判断基準に照らし合わせた場合、本件貸付けは事業に該当するとも主張する。
しかしながら、不動産貸付けが不動産所得を生ずべき事業に該当するか否かは、1営利性・有償性の有無、2継続性・反復性の有無、3自己の危険と計算における事業遂行性の有無、4取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、5人的・物的設備の有無、6取引の目的、7事業を営む者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断するのが相当と解される。
本件貸付けについては、営利性、継続性、人的・物的設備など部分部分としてみた場合は直ちに事業ではないということはできない要素も認められるが、本件貸付けは、本件同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、平成5年借入金は、請求人の税理士事務所等として使用することを目的とした本件建物の建設資金等であったこと及び本件借入金の年間返済額は、本件貸付けの年間賃貸料収入を上回っており、本件貸付けに係る賃貸料収入以外の収入も原資となっていること、また、本件同族会社2社の賃貸料は、それぞれの法人の収入及び人員割合が計算の根拠となっていることからすると、請求人における事業遂行上その企画性は乏しく、危険負担も少ないと認められる。また、本件建物は、その構造からみて他に賃貸が可能である等の汎用性が少ないなど、これらの点における請求人の自己の危険と計算による事業遂行性は希薄であると認められる。
さらに、本件建物の設備等の管理・修理点検等は請求人が行っているものの、清掃及び冷暖房設備点検、ビルの防犯・火災のセキュリティ契約等は本件同族会社2社が行っていること、賃貸料の集金等はインターネットバンキングにより振替処理されていること、また、本件貸付物件は本件同族会社2社及び親族に継続して貸し付けられていることから、請求人にとって賃借人の募集等をする必要はなく、賃貸料の改定交渉等の業務の煩雑さもなく、ビル管理業務等の負担も軽微であることから、本件貸付けに費やす精神的・肉体的労力の程度は、実質的には相当低いと認められる。
これらの諸点を総合勘案すると、本件貸付けは、社会通念上事業と称するに至る程度のものとは認められないと判断するのが相当である。

七 事業所得
1 医師等の所得金額特例計算適用について
 社会保険診療報酬の金額が、4,500万円、自由診療収入の金額が1,000万円の場合、合計収入は5,000万円超となるが、措法26条の適用はあるのか。

 措法26条の適用が無いのは社会保険診療報酬だけの金額が、5,000万円を超える年についてである。

2 更正の請求での家内労働者等の所得計算の特例適用
 家内労働者等に該当する者が、確定申告で所得計算の特例を適用しない場合には、更正の請求で特例を適用できないのか。

 家内労働者等に所得の計算の特例は、申告要件とされていないため、当初申告において当該特例を適用しなかった場合でも更正の請求をすることはできる(措法27)。

八 事業所得・不動産所得共通
1 消費税の還付金
 税込経理方式を適用している者が、消費税の確定申告により還付を受けた消費税等の処理。

 消費税等の確定申告書を提出した日、又は未収入金に計上した日の属する年分の雑収入に計上する(平元.3.29直所3-8「8」)。

2 専従者に対し定期保険を掛けた場合
 他に従業員がいないにもかかわらず、青色事業専従者に掛けた定期保険の保険料を必要経費に算入することができるのか。

 他に使用人がいて、その使用人と同一基準でなされている場合に限って必要経費に算入することができる(昭48.12.22直審3-142)。

3 相続で取得した資産に係る登録免許税
 業務用資産を相続により取得した場合の登録免許税等は必要経費に算入できるか。

 業務用資産を相続、遺贈、贈与により取得した場合の登録免許税、不動産取得税は、必要経費となる(所基通37-5)。

4 相続で取得した不動産に係る固定資産税
 事業用不動産を相続した場合、当該不動産に係る固定資産税は、1月1日時点の所有者に対して課されているが、必要経費はどのように算入するのか。

 被相続人の所得計算における固定資産税の取扱いは次のとおりとなる(所基通37-6)。
○ 相続開始前に納税通知があった場合、次のいずれかを選択して必要経費に算入できる。
 ① 全額
 ② 納期到来分
 ③ 納付済分
○ 相続開始後に納税通知があった場合
 相続開始時においては、納付すべきことが具体的に確定していないので、被相続人の必要経費には算入できない。

5 少額減価償却資産
 税込経理方式を適用している者の少額減価償却資産の判定の方法

 少額減価償却資産の判定を行う場合、税込経理方式を適用している時は、減価償却資産の取得価額は税込の価額により判定することとなる(平元.3.29直所3-8「9」)。

6 一括償却資産(除却した場合)
 取得価額10万円以上20万円未満の器具備品について、一括償却資産として申告したが、申告した翌年にその一部を除却した際の経費計上の方法

 一括償却資産とした年分の翌年以降に、その全部又は一部を滅失、除却等をしても再計算をすることができず、業務用に供した日以後3年間にわたって、その取得価額の1/3に相当する金額を必要経費に算入することになる(所令139、所基通49-40の2)。

★7 一括償却資産(相続・法人成した場合)
問 相続・法人成した場合の一括償却資産の処理

答 一括償却資産につき相続があった場合には、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分については、原則として死亡した日の属する年分の事業所得等の必要経費に算入することとし、例外的に死亡した日の属する年の翌年以後の各年分に対応する部分については、相続により業務を承継した者の必要経費に算入することとしても差し支えないものとされる(所得税基本通達49-40の3)。
法人成りの場合には、事業が廃止され、その事業を承継する人もいないので、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分は、全て廃業した日の属する年分の事業所得の必要経費に算入する(国税庁ホームページ「質疑応答事例」より)。

8 相続があった場合の減価償却方法の届出
 被相続人が旧定率法により償却していた減価償却資産を相続により取得した場合、その相続人の減価償却方法の届出はどうなるのか。

 相続により減価償却資産を取得した場合、取得価額、帳簿価額、耐用年数は被相続人から引き継ぐが(所法60①、所令126②)、償却方法は引き継がない。減価償却資産の償却方法について定めた所令120①における「取得」には、相続、贈与、遺贈によるものが含まれると取り扱われているからである(所基通49-1)。したがって、例えば令和2年相続により取得した償却方法は旧定率法を引き継ぐことはできず、定額法によることになる。また、車両や器具備品等を相続により取得した場合で、事業等を承継した相続人が定率法を採用するのであれば、新たに償却方法の届出が必要である(所令123①②)。

9 家事用資産を業務用に転用した場合
 家事用資産を業務用に転用した場合の未償却残高の算定方法

 転用時点での未償却残高は資産の当初取得価額を基礎として、法定耐用年数×1.5の年数により旧定額法に準じて計算する(所法38、所令85、135)。

★10 資産損失、取壊費用
 居住用建物を取り壊して、業務用建物に建て替えた場合に、当該居住用建物の取壊しによる損失、取壊費用を必要経費に算入することはできるか。

 非業務用資産の資産損失と取壊費用は、自己の財産の任意の処分と考えられているため、必要経費に算入することはできない(所法45①一)。また、新しく建てられる業務用建物の取得価額にも算入できない。
業務用資産を含む課税上の取扱いについては次表のとおり

直前の建物の用途 取壊しの目的 取扱い
資産損失 立退料 取壊費用
業務用資産 建替え後、業務用又は非業務用資産として使用 必要経費(注1)(注2) 必要経費 必要経費(注1)
非業務用資産 建替え後、業務用又は非業務用資産として使用 家事費 家事費

(注1)業務をやめた後、建替工事が速やかに行われることが必要
(注2)事業的規模でない場合には所得金額が限度となる。

★11 アパート建築に伴う諸経費の取扱い
問 アパートの建築に際して支払った借入金利子、印紙代、登記費用、不動産取得税の処理

 アパート建築は請負契約時から業務開始となり、従って①印紙代 ②登録免許税等登記費用 ④不動産取得税は所基通37-5によって必要経費算入となる。
 ③の借入金については、業務開始後(本件の場合建物建築請負契約後)使用開始前の期間利子は所基通37-27によって原則として必要経費算入となるが、取得価額算入も認められる。使用開始後の期間利子は同通達によって必要経費算入となる。
固定資産取得時の付随費用の取扱い
[1] 個人の場合
① 租税

種類 業務用 非業務用
固定資産税 必要経費
(所基通37-5)
家事費
登録免許税(登記・登録費用含む) 取得費算入
(所基通38-9)
不動産取得税

※ 特許権・鉱業権の登録に係る登録免許税は取得費算入(所基通49-3)
※ 船舶・業務用車両等の登録費用は必要経費又は取得費算入の選択(所基通49-3)
② 借入利息(抵当権設定費用等含む)
(1)業務用

期間 取扱い
業務開始前の期間利子 取得費算入(所基通37-27)(注)➡38-8
(非業務用資産の取得のための借入金利子と同じ扱い)
業務開始後・使用期間前の期間利子 原則  必要経費(所基通37-27)
例外 取得価額算入(所基通37-27)
使用開始後の期間利子  必要経費(所基通37-27)

(2)非業務用

期間 取扱い
取得から使用開始前までの期間利子 取得費算入(所基通38-8)
使用開始後の期間利子 家事費

(さくら税研フォーラムより)

★12 青色申告
青色申告承認申請の期限については、下表のとおり

態様 提出期限
通常 原則 承認を受けようとする年の3月15日
1/16以降業務開始 業務開始から2月以内
相続の場合 被相続人青色 死亡日1/1~8/31 死亡日から4月以内
〃 9/1~10/31 12月31日
〃 11/1~12/31 翌年2月15日
被相続人白色 死亡日から2月以内

(所法144、所基通144-1)

13 不動産貸付業を行っている者が新たに事業を開始した場合の青色申告申請
 従前から不動産貸付業を営んでいる白色申告者が本年7月に事業所得を生ずべき事業を開始した場合、青色申告申請はいつまでに提出する必要があるのか。

 「新たに…業務を開始した場合」とは、青色申告承認を受けることができる業務をいずれも営んでいない方が、いずれかの業務を開始した場合をいうのであって、既に青色承認申請を行うことができる不動産所得等を生ずべき業務を行っている場合は含まれない。したがって、本年3月15日までに青色申請する必要がある。さらに、例えば不動産所得を生ずべき業務を本年3月に廃止し、その後同年9月に事業所得を生ずべき事業を開始した場合も同様である(所法143、144)。

★14 青色専従者給与の届出の期限については下表のとおり

態様 提出期限
通常 原則 承認を受けようとする年の3/15
1/16以降業務開始又は新規に専従者がいることとなった場合 業務開始から2月以内
給与の額の変更又は専従者が加わる 遅滞なく

15 青色申告特別控除
 事業所得が赤字で、不動産所得が事業として行われていない場合の青色申告特別控除額

 不動産所得が事業として行われていなくても、事業所得がある場合には、他の要件を満たすことで、青色申告特別控除55万円(e-Taxの場合65万円)を適用することができる(措法25の2③)。

16 家内労働者の青色申告特別控除
 青色申告者は、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例と青色申告特別控除の併用は可能か。

 青色申告者は、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例により必要経費の計算をする場合においても、青色申告特別控除の適用を受けることができる(措法25の2、27)。

 

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