数次相続における相続税の申告期限について

《前提》

・相続 平成30年4月 父死亡  平成31年1月 母死亡
・父相続の相続人:母、長男、次男
・母相続の相続人:長男、次男
・父相続の遺産分割協議書がまとまる前に、母死亡
・母は生前認知の能力に問題があったため、長男が成年後見人になる手続きの最中であった。

《質問》

 上記の場合、相続税法27条2項には、一次相続における母の相続税申告期限は、母が亡くなった日から10月以内に延長されると規定されておりますが、母の相続権を相続することになる長男と次男の一次相続の申告期限は延長されるのでしょうか。(母が亡くなってから10月以内)
 それとも、当初の申告期限になるのでしょうか。

“数次相続における相続税の申告期限について” の続きを読む

リフォーム工事の評価について(財産評価)

《質問》

 被相続人が相続開始2~3年前に自宅のリフォーム工事を行いましたが、固定資産税評価額は改定(増額改定)されていません。
 この場合、当該リフォーム工事をどのように扱うか判断に迷っています。

 リフォームが、法人税や所得税で言う「修繕費(原状回復費)」に該当する内容である場合には、加算することなく、通常通り固定資産税評価額にて家屋を評価してよろしいでしょうか。
 また、「資本的支出」に該当する場合には、国税庁質疑応答事例「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」に該当するものとして、評価することになるのでしょうか。

 リフォームとは使い勝手がよく、一般的には「修繕(原状回復費)」から「資本的支出」「物理的付加」「改築」「増築」等を広く含む曖昧な表現として用いられていると考えます。
 ところで、国税庁質疑応答事例「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」によれば、当該増改築等に係る部分の金額に財産的価値を見出して評価せよという取扱いが示されています。
 増改築等の「等」に含まれるものが定かではありませんが、物理的付加、資本的支出に該当するもので、家屋の価値(時価)が増加するものが含まれると解釈するでしょうか。
 修繕費(原状回復費)に該当する内容の場合には、そもそも、現状までの回復で、価値の増加は無いと考えます。いかがでしょうか。
 被相続人は、1,2年の間に、複数回にわたって同じ業者にリフォームエ事を発注し、合計4,000万円もの工事代金を支払っています。
 後日の税務調査の際、調査官が、被相続人の預金通帳からの出金額を発見すれば、問違いなく、「しめた!修正とれる!」と小躍りするかと推測されます。
 しかし、その工事内容を見積書や工事説明書、工事前後の写真等で確認していくと、大多数が法人税・所得税でいう修繕費に該当する工事ばかりです。
 金額だけ見ると、家が一軒建つ価額ですが、内容を確認すると、リフォーム詐欺にあったと確信させるような工事です。この業者は、訪問販売でリフォームエ事を契約する手口です。
 今回と同じ業者に詐欺まがいな被害にあったとしてインターネット掲示板に投稿している人が複数います。
 また、調べると、この業者は、平成20年に大阪府消費生活苦情審査会により、業務改善指導がなされています。

“リフォーム工事の評価について(財産評価)” の続きを読む

借地権の考え方について

《質問》

1 土地が無償返還された時の申告について
 個人貸主が個人借主に土地(223㎡)を親の代から貸し付けていた(相続により取得)。
 借主が、当該土地上に建物(住まいの一部及び倉庫)を建てていたが、老朽化のため借主が平成30年に取り壊し、更地にした上で、同年中に、土地を無償で貸主に返還した。
 この場合、原則としては、借主(借地人)から貸主(土地所有者)に対する借地権の贈与になると思うが、例外はあるのか。

2 貸主(土地所有者)は、無償返還された土地を平成30年に第3者に譲渡した。
 この場合、借地権部分は短期譲渡、底地部分は長期譲渡になるのか。または、全体が長期譲渡になるのか。

“借地権の考え方について” の続きを読む

土地の売買契約中に売主又は買主に相続等があった場合の評価の実務

《前提》

① Aさんは所有土地甲をBさんへ売却し、売買契約を結びました。
② AさんはBさんより売買代金の一部を受領しました。
③ 土地甲の登記は未了のまま、Aさんは死亡しました。

《質問》

 上記、土地甲の売買は成立していますか。
・成立したものとして、Aさんは土地甲の準確定申告をして、残金を未収金として相続財産とするのでしょうか。
・成立しないものとして、土地甲を相続財産として代金の一部受領を仮受金とするのでしょうか。(相続人がその後売却することになります。)

“土地の売買契約中に売主又は買主に相続等があった場合の評価の実務” の続きを読む

土地・建物の一括譲渡にかかる対価区分について

《質問》

 土地と建物を一括譲渡しました。
売買契約書では譲渡対価の額が一括で表示されています。
 土地の譲渡対価と建物の譲渡対価の区分はどうしたらよいでしょうか。
 (消費税額の表示もありません。)

“土地・建物の一括譲渡にかかる対価区分について” の続きを読む

土地・建物の譲渡に当り、その取得費が不明の場合

《質問》

土地・建物を譲渡し、その取得価額が不明な場合には概算取得費である譲渡対価の5%控除以外に方法はないでしょうか。

“土地・建物の譲渡に当り、その取得費が不明の場合” の続きを読む

数次相続について

《質問》

 父、母、子1人。
 父は数十年前に死亡(一次相続)、相続税の申告はしていない。遺産分割協議書は未作成。相続税の申告義務があったかどうかは不明ですが、あったにせよ相続税の除斥期間はすでに経過と認識しております。
 母がこの度死亡(二次相続)。この二次相続にあたり、一次相続の分割をどのようにして申告するのが正しいかという相談です。
 ・子が一次相続の相続人、及び一次相続の相続人である母の相続人という二重の立場で一次相続の分割を決め、それに基づく母の財産により二次相続の申告をしてもいいのでしょうか。
 ・あるいは一次相続は法定相続分で母が相続したという前提で二次相続の申告をすべきでしょうか。

“数次相続について” の続きを読む

法人から個人に対する家賃を相場より低額に設定した場合の課税関係について

《前提》

個人(役員)所有の建物を同族会社に賃貸し、同族会社が自社の事務所として使用している。
・不動産経費計 35万円
・相場の家賃  60万円
・実際の家賃  40万円

《質問》

① 法人の経理 時価との差額 60万円-40万円=20万円について
 地代家賃 / 受贈益 20万円となり損益に影響なし。

② 個人の不動産所得の収入について
 所得税には時価の概念はないため、収入40万円の申告で問題なし。

③ 個人の財産評価において貸家建付地の適用について
 固定資産税のみでなく、経費を賄った後で利益もあるため適用できる。

④ 相続時の特定同族会社事業用宅地の小規模宅地特例に適用について
 相場よりも低い家賃のため適用できない。
 ※相場の許容範囲はどのくらいでしょうか?

⑤ 〔貸主〕個人側の低額分20万円について、相続逃れのような気がします。
相手が個人ならば贈与税が発生することも考えられますが、相手が法人のため①の処理だけで税法上の問題は発生しない。

 以上の見解について問題がありますでしょうか。また、上記以外に気を付けることがありますでしょうか。

“法人から個人に対する家賃を相場より低額に設定した場合の課税関係について” の続きを読む

生命保険の契約者変更と遺留分減殺請求があった場合の申告

《質問》

① 生命保険について
 登場人物 祖父 A
      子  B
      孫  C

Aが当初、以下の生命保険の契約(一時払)を結んでいました。
契約者=保険料負担者  祖父 A
被保険者        孫 C
受取人         祖父 A

一時払の保険料を払い込んだ後、契約を変更し以下の様になりました。
契約者         孫 C
被保険者        孫 C で変わらず
受取人         子 B

今回、祖父Aが死亡し、相続人Bから相続税の申告を依頼されました。この時の課税関係ですが、
(解釈1)
・名義変更の段階では贈与税の税はかからない
・孫Cが死亡した時点で、子Bに対して祖父Aからの贈与があったものとして贈与税が発生
(解釈2)
・契約変更がなければ、生命保険の権利の評価として、相続税の課税対象となるかと思います。しかし、契約変更後に受取人がAではなくなっていますので、Aはただ保険料を負担しただけで、どんな事をしてもお金は受け取れません。
 従って、名義変更した段階で、祖父Aから子Bへの贈与(金額は一時払したものに対する、今解約した場合の解約返戻金)があったと認定
・3年以内の贈与ですので、相続税申告で、3年以内の贈与として相続財産に含める。(ただこの場合、贈与税は無申告ですので、財産には含めるが、実際払うべきこととなる贈与税の控除もなし)

上記どちらになるでしょうか?
またそれ以外の解釈があるでしょうか?

② A(被相続人)が亡くなりました。相続人はAの子BとCです。また、Bの遺留分を大幅に超える遺言があります。Bは遺留分減殺請求をする予定ですが申告期限までに判決は出ないと思います。

イ 遺言通り、期限内申告=減殺請求の判決が確定⇒Bは更正の請求、Cは修正申告(延滞税と加算税は避けられない)というのが本来の流れで宜しいでしょうか?(延滞税と加算税の税率もご教示いただければと思います。)
 また、更正の請求の期限は何年でしょうか?

ロ Cが延滞税と加算税を払うことを嫌がると思いますので、最初から、遺留分減殺請求どおりの申告をする事は可能でしょうか?遺言も添付しますので、遺言通り修正申告するように言われる可能性は高いでしょうか?

ハ 例えば、財産に賃貸不動産があり、Cのものとする遺言があり、貸付事業用宅地に該当するものとします。遺留分減殺請求の判決後、その土地はBのものになったとします。小規模宅地の要件は全員の同意が必要になると思いますが、当初適用した小規模宅地は、そのままで認められるのでしょうか?もし認められないとすると、判決が確定した段階で、小規模宅地の適用のやり直しは可能でしょうか?
 更に、居住用宅地と貸付事業用宅地もあった場合、減殺請求の判決後に、適用する小規模宅地の優先順位を変えることは可能でしょうか?

“生命保険の契約者変更と遺留分減殺請求があった場合の申告” の続きを読む

相続の申告に伴う特例の適用について

《質問》

① 955㎡程の自宅及び敷地に父・母・二男が同居しており今年5月2日にお父様が亡くなられました。
 相続開始時に4-7、4-16、4-17の3筆であった土地を、遺産分割前に5筆に分筆しました。
 2筆は母が相続、残りの3筆は母と二男が共有で相続し、居住用家屋も母と二男が共有で相続しました。
 来年3月2日まで居住し続けた場合、二男は相続税の申告において小規模宅地の特例を適用できますか。

② 3月2日以降、居住用家屋を取り壊して母が相続した2筆の土地に母と二男がそれぞれ家を新築する予定です。
 また、残りの3筆は譲渡する計画ですが、この場合母と二男は居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除の特例(措法35条)及び軽減税率の特例(措法31条の3)をそれぞれ適用することは可能でしょうか。

※譲渡される3筆部分は、庭と居住用家屋の玄関部分であり水まわり設備のものはございません。
 庭先譲渡として3,000万円控除及び軽減税率の特例の適用はできませんか。
 それとも居住用家屋を全て取り壊すため3,000万円控除及び軽減税率の特例は適用できますか。

“相続の申告に伴う特例の適用について” の続きを読む