適格合併と清算結了

《前提》

運送業を営むA会社が、下記3社をM&Aにより3社の株式をすべて100%収得しました。
3社はこれまでも相互に関連する業務を行うグループ会牡でした。
A社は、この3社のうちB社のみを残したいと思っており、
①B社を存続会社とする合併を行うか
②営業譲渡により、外部に対する営業をB社に集中させ、C社、D社を清算結了することを考えています。
                         単位:千円

 B社  C社  D社  備考
直近期年商  636,052 238,623   68,612 
直近期経常利益   -2,291   7,848   1,006
資本金   10,000   3,000   3,000
従業員数   13人   8人   3人
M&Aの際の株式取得価格   80,000   40,000   20,000
M&Aの際の退職金  120,000           0 10,000
直近試算表 BS 資産  208,922    95,160   23,530   M&Aの際の全役員に対する退職金を経費計上した後の進行期直近試算表の金額
負債  253,635  53,910  7,328
純資産  ‐44,713  41,250  16,202
PL 税引前利益  ‐95,000  5,000  ‐5,000

《事業目的及び事業内容》

・A社   一般貨物運送業                   100%
・B社   一般貨物運送業(すべて外部顧客に対するもの)   全体の 60%
     A社に対するドライバーの特定派遺業務        全体の 40%
・C社       A社に対するドライバーの特定派遣業務          100%

《質問1》
B社を存続会社とする適格合併を行う場合、B社は現状退職金の支給により債務超過ですが認められるでしょうか。

《質問2》
B社を存続会社としてC社とD社を適格合併をしようと考えていますが、現状の内容から適格合併の要件である「事業関連性は認められるでしょうか」

《質問3》
合併ではなく、営業譲渡により外部に対する営業をB社に集中させ、C社、D社を清算結了する場合、例えばC社は現状の税引き前利益5,000千円×25%=1,250千円の法人税等を支払う。
(繰越欠損金はありませんし、不動産等含み益のある資産もありません)
清算結了にあたり、純資産40,000千円(41,250千円-1,250千円)から資本金3,000千円を控除した37,000千円が100%株主であるA社に対するみなし配当となる。
A社は37,000千円全額益金不算入扱いと考えてよいでしょうか。

《質問4》
合併ではなく、営業譲渡により、外部に対する営業をB社に集中させ、C社、D社を清算結了する場合D社において発生している進行期の欠損金-5,000千円は、100%子会社の未処理欠損金としてA社において引き継ぐことができると考えてよろしいでしょうか。

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個人と法人間の借地権設定に係る課税について

《質問》

次の事例の場合の課税関係についてご教示願います。
個人Aは、法人甲(Aが株式の100%を所有する不動産賃貸を業とする法人)に土地を貸付けています。法人甲はその土地に昭和43年と昭和44年に2棟の倉庫を建設したうえで、同族関係のない運送業者乙法人へ賃貸し、現在にいたっております。
Aと甲法人は建物建設時から継続して、固定資産税程度の地代年110万円(現在年220万円)だけの授受にとどめ、権利金のやりとりもなく、無償返還届の提出もしていませんが、建物建築時において、甲法人への借地権の認定課税は行われていません。賃貸借契約書は作成していませんでしたが、平成26年1月になり、20年間の賃貸借契約書を取り交わし、地代年額を360万円に改定しました。
なお、土地面積 2770㎡ 路線価 84,000円  借地権割合D60%です。

⑴当該土地について、Aと甲法人間の借地権関係をどのように捉えればよいのでしょうか。

⑵最近になり、乙法人の経営状況が悪くなり、丙法人(小売店)に転貸することになりました。貸付に当たっては老朽化した建物を取り壊し、丙法人仕様の建物に甲法人が建設する予定にしています。この場合、更地の建設期間中を含め、当然に借地権はそのまま現存するのでしょうか。

⑶借地権が存続しているならば、その評価額(相続税の算出する場合または売買する場合)はどのように算出するのでしょうか。

⑷平成26年から地代を改定したことに対して課税上の問題はありますか。

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事前確定給与に関する届け出について

《質問》

事前確定届出給与に関する届出についてお教え下さい。
3月期決算企業において、役員賞与を7/31、12/25に各々1,000千円ずつ事前確定届出給与に関する事項について提出をしています。
7/31分は、予定通り支給できましたが、12/25は業況悪化に伴い支給を見送りました。
この場合、7/31支給分についても経費として認められなくなってしまう事は理解しております。
12/25に年1回のみの役員賞与を4,000千円支給する事前確定届出給与に関する事項について提出している場合、支給できなかった事に対し、何か不都合等は発生するのでしょうか?
最近の風潮として、事業年度の後半、収益状況がある程度判断できる時期に「儲かっていれば支給する」という年一回の役員賞与支給が横行していると聞いています。
ご意見等をお聞かせください。

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不動産業に係る営業職員の歩合給の所得区分

《質問》

不動産業を営む法人です。完全給与制を採用していますが、従業員に対する社会保険料の負担が重いため、基本給部分を給与とし、歩合給部分を報酬とすることを検討しています。
○業種 不動産業(仲介主体)
○営業社員の歩合は、四半期ごとの売上成績により、職給並びに歩合率が自動的に決定します。
○現状 基本給 営業社員 入社時 25万円
その後歩合給同様、四半期ごとの成績により変動有り
営業経費は法人負担 (ガソリン代、パーキング代、広告代、打合せ時お茶代等)

Q1 歩合給部分を報酬(事業所得)とすることに問題はないのでしょうか。
Q2 基本給を現状の25万円程度とした場合でも、歩合給を報酬とすることに問題はないでしょうか。基本給の金額によって違いがあるのですか。
Q3 営業社員の中に完全給与制の者と、報酬型の者が混在しても問題はないのでしょうか(その場合、基本給及び歩合給割合に差を設けます。)。
Q4 報酬部分は、消費税の課税仕入において、否認の可能性はありますか。
Q5 次のことを条件とすることと考えていますが、他に気をつけるべき点がありましたら、ご教示お願いします。
・ 営業経費は全て外交員負担とする
・ 報酬部分については、「委任契約(業務委任契約)」を交わす
(確定申告を契約条件に含める)
・ 報酬部分については、外交員報酬として支払時、源泉徴収する
・ 歩合給計算基準は、現状通り
(状況により、決算後改定の場合あり)

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貸倒損失について

《質問》

当社は得意先であるA社に対する売掛金が滞留している状況下で、先般A社が破産手続きの開始決定を受けたことが判明しました。
これについて売掛金の50%を貸倒損失として計上したいと考えておりますが、問題ないでしょうか?

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入院給付金付き定期保険の保険料支払いと給付金受取に係る課税関係

《質問》

次の保険契約に係る保険料を法人が支払った際の取扱いと、入院給付金を受け取った際の課税関係についてどのように考えればよいかご教示お願いいたします。

契約者:法人
被保険者:個人A(法人役員)
*契約書上、死亡保険金は法人の受取りになりますが、入院給付金は個人に支払われます。
*本来、入院給付金は個人Aが受取者となっていますが、個人Aの死亡により個人Aの配偶者(法人役員)が入院給付金1,200千円受け取りました。

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社会保険料未払計上の場合の更正の請求について

《質問》

当会社(以下A社)は、9月決算法人ですが、平成27年9月決算期において、下記の社会保険料を未払計上洩れしておりましたので、更正の請求書を所轄税務署へ提出しようと考えています。

(社会保険料)
1. 納付目的年月     平成27年9月分
2. 納付期限       平成27年11月2日
3. 納付日        平成27年11月27日
4. 納付金額
  ①健康保険料       ¥  926,399
  ②厚生年金保険料     ¥ 1,360,989
  ③児童手当拠出金     ¥   11,451
  ④合計 ①+②+③=   ¥ 2,298,839

 *従業員負担額は経理上「預り金」で処理せず、「法定福利費」勘定で処理しています。

上記のように当初の決算では損金経理(未払処理)していなかったが、債務確定していると考え、損金算入できる規定を考慮し、更正の請求を提出しようと考えていますが可能でしょうか?
損金経理はしていませんが、損金算入可能でしょうか?
また、そもそも債務確定していると考えてよいのでしょうか?

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短期前払費用(建設業退職金共済、支払保険料、支払家賃、借上社宅)の取扱いについて

《質問》

①5月決算法人で電気工事業を営む法人で建設業退職金共済制度に加入している法人が、平成28年5月に平成29年4月までの1年分で、かつ、6名分の退職金の共済証紙合計558,000円を金融機関から購入しました。
通達の規定によりますと、1年以内に費用化するものについては支出時の損金に計上することができるとあったと思うのですが、この場合の建退協の共済証紙558,000円は全額損金に計上することができるのでしょうか?

②5月決算法人ですが平成28年5月に平成29年4月までの1年分の保険料と、本社家賃、借上社宅(従業員と役員に貸与)を支払いました。契約書は月払いになっていたのですべて年払いに変更しました。全額損金に計上できると思いますがいかがでしょうか?

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分掌変更に伴う退職金の支払いについて

《質問》

当社は、企業再編の一環として、昭和50年の創業当初から経営に携わってきた役員(代表取締役)が、非常勤役員(相談役)に退くことになりました。同役員に対し、1億円(月額報酬 400万円)の退職慰労金の支給を予定していますが、資金繰りの関係もあり、今期と来期に分け支払う予定です。平成27年2月26日の東京地裁判決から特に問題なく損金として認められると考えますがいかがでしょうか。

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賞味期限切れが近づいた棚卸資産の評価について

《質問》

① 当社は食品メーカーです。賞味期限が6か月の製品が売れ残り、賞味期限まであと1か月になりました。何もせず賞味期限まで於いても売れないので、賞味期限が残り1か月になった時点で従業員に原価の50%の価格で売っています。
決算は4月ですがその時点で5月31日までの賞味期限の製品についての評価は原価の50%で計上しても良いでしょうか?
ちなみに、従業員に原価の50%の価格で売った事績は記録してあります。

② 尚、従業員に販売しても売り切れず、期末時点で残った賞味期限切れ製品でいまだ廃棄未了の製品の評価について国税局に照会したところ除却処理してよいという回答を得ましたがその通りでよいでしょうか?

③ 又、これら賞味期限間近及び賞味期限切れ製品について低価法の適用は可能でしょうか?

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