受取配当金の益金不算入について

《前提条件》

・法人YはA社が株主の法人です。
・今期法人Xは、法人Yの株式をA社から100%取得しました。
・X社とA社は同族等の関係はありません。
・Yの決算は2月末です。
・株式の取得日は令和6年8月5日です。
・令和7年2月決算後の株主総会で、Xに対する配当を決議する予定です。
 なお、令和6年2月決算後においても配当の決議がされ、配当が実施されました。

《質問》

Xが受け取った配当金は、全額益金不算入が適用されるでしょうか。

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グループ法人税制について

《質問》

次の見解が正しいかどうかご判断お願いします。

① 株主の一人が配偶者の場合も完全支配関係となるか。
 A社 (株主: a(個人)+ b(個人)+ c(個人))
 B社 (株主:d(個人))
関係性  aはbとcの実父
    dはcの配偶者
    aとbとcは6親等内の血族
    dはcの配偶者のため3親等内の姻族
よって、完全支配関係を考えた際には1つの個人として考え、それがA社とB社を100%所有しているからA社とB社は完全支配関係があると考えます。

② 寄付金などの規定は適用されるか。
 寄付金損金不算入や受贈益益金不算入の規定は法人による完全支配関係がなければ適用がないため、A社とB社については適用はないと考えます。

③ 法人間取引の譲渡損益の繰り延べは適用されるか。
 上記と違い、法人による完全支配関係のみならず、個人による完全支配関係においても適用があると考えます。

④ 次の場合、法人間取引の譲渡損益の繰延べが適用されるか。
上記A社とB社の取引について
 A社・・・1月決算
 B社・・・9月決算
 A社は、R6.1.31時点では(株主:a(個人)+ b(個人)+ c(個人))の他に e(個人:親族外) がいた。よって、R6.1.31時点ではA社とB社に完全支配関係はなかった。
 ただ、R6.2.28において、株主総会等の承認を経て e(個人:親族外)の株を、a(個人)が買い取ることとなり、実際引き渡しも行われた(売買代金の授受)。よって、R6.2.28より、A社とB社は完全支配関係がある法人間となった。
 また、R6.4.25においてA社の不動産(簿価10,000千円超、賃貸用として収益を上げていたもの、譲渡損益調整資産である)をB社へ売却をした場合には法人間取引の譲渡損益の繰り延べの規定は適用されると考えます。

⑤ 期中から完全支配関係となった場合
 A社の期中(期首からではない)に完全支配関係となり、その完全支配関係となったあとに、法人間取引等あった場合には完全支配関係が期首からでなくても、完全支配関係となった日以降の法人間取引があった場合には、譲渡損益の繰り延べの規定が適用されると考えます。

《さくら税研からのアドバイス》


スクリーンショット 2024-12-24 140139  資料5ページの一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係

② そのとおりです。 別添資料(R5年版図解グループ法人課税)の
  93P、94P、107P、108P

③ そのとおりです。 〃   37P、38P

④ そのとおりです。 〃   37P、38P

⑤ そのとおりです。 〃   37P、38P

《参考資料》

【令和5年版 図解グループ法人課税 大蔵財務協会】

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グループ会社の合併における青色繰越欠損金の引継ぎについて

《質問》

 個人AはB社とC社を各々100%直接に保有しています。さらにB社はD社を100%直接に保有しています。D社が赤字で青色繰越欠損金が多額にあるため、この青色繰越欠損金を有効利用するために、所得の多いC社(合併法人)と無対価合併させたいのですが、この場合、非適格合併に該当すると思われます。
 それを回避するために、D社株式をB社から無償(あるいは1円)で個人Aが購入する。そうすると、B社とC社とD社は全て個人Aが直接保有することになります。そして、その後D社とC社を無対価合併(合併法人C社)しようと考えております。
 この場合、適格合併でD社の青色繰越欠損も引き継げるとの認識で間違いないでしょうか。
 なお、個人AはB社とC社の株式を直接100%設立以来所有しています。また、B社はD社株式を設立以来所有しています。
 この場合、行為計算否認を無視して考えると、C社はD社株式の青色欠損金を適格合併において引き継げると考えて宜しいでしょうか。他に要件はありますでしょうか。

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グループ法人税制の離脱について

《質問》

 B社はA社の100%子会社です。
 B社がA社へ資産譲渡をした場合、グループ法人税制によりB社の売却益は繰り延べされA社による当該資産の減価償却に応じて益金計上していく形になると思います。
 資産の譲渡後に、B社の株式が別会社へ100%株式譲渡されグループから抜けた場合、この残りの繰り延べについて一時で益金計上されることになるのでしょうか。

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青色申告承認の取消し(法人税)

《質問》

 法人税法第127条では、青色申告の承認の取消しの事由が規定されていますが、帳簿の不提示、連続した期限後申告書の提出、調査において多額の不正所得が把握された場合など、多岐にわたっております。
 実務的には、どのような場合に青色申告が取り消されるのでしょうか。
 また、「適正申告の申出」という制度があるそうですが、これらも踏まえ、今後の参考になることをご教示ください。

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補助金で購入した資産の税額控除と圧縮記帳について

《質問》

 5月決算法人において、ものづくり補助金を活用して、10,600千円と16,500千円の工作機械を購入しました。
 上記の機械ですが、経営力向上計画の認定を受けているため、今回の決算において、法人税の税額控除を受けようと考えております。
 また、ものづくり補助金の交付予定額が10,000千円のため、補助金についても圧縮記帳しようと考えております。
 ただ、今回のものづくり補助金ですが、交付決定を受けたのが、令和6年3月で、物品の納品があったのが、令和6年5月となっており、補助金の確定通知が決算期内に来ていない形となっております。
 この場合、決算期内において、補助金額は確定しておりませんが、(貸方)未収入金、(借方)国庫補助金収入で、ものづくり補助金を収入として計上したうえで、圧縮記帳を行おうと考えておりますが、この手順で問題はございませんでしょうか。

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種類株式がある場合の使用人兼務役員の判定など

《前提》

 普通株式とA種類株式(内容は配当優先&議決権なし)を発行している会社があります。
・発行済株式数15,000株
<内訳>
・代表取締役社長                普通株式1,000株
・社長の子(取締役営業部長に就任予定)     A種類株式1,000株
・従業員持株会(民法上の組合方式で構成員は赤の他人で5名)
            A種類株式13,000株 (2,600株×5人=13,000株)

① 同族会社の判定1
1. 持ち株で判定
 民法上の組合形式の持株会は構成員5名の合計株数を1人の株主グループとするのか、各構成員を1グループとするのかどちらでしょうか。
 次頁資料を見ると議決権の不統一行使が可能なので単独で判定するとあります。

 単独判定だとすると持ち株会の上位3人×2,600 = 7,800 / 15,000 = 52%
50%超なので同族会社1人の株主と見ると、(第1グループ持株会13,000+第2グループ社長一族2,000) /  15,000=100%
50%超なので同族会社どちらが正しいでしょうか。

2. 議決権で判定1,000 / 1,000 = 100%  50%超なので同族会社

② 同族会社の判定2
 私の理解ですと、持ち株判定と議決権判定のどちらか大きい方で判定するとの理解ですが合っていますか。

③ 社長の子の使用人兼務役員の判定について
 上記判定2が正しいとすると、議決権割合で判定すると社長グループが100%になるので議決権で判定する ⇒ 同族会社 ⇒ 50%基準と10%基準は満たすが5%基準は満たさない(議決権がない)ので、使用人兼務役員になれるとの理解ですが合っていますか。

④ みなし役員の可能性
 仮に社長の子がただの部長に就任した場合みなし役員とされる可能性はありますか。

⑤ 執行役員について
 社長の子が、社内呼称及び名刺に常務執行役員と記載する(会社法の取締役ではないので登記はない)だけにした場合、役員ではないので、定期同額給与でなくてもOK&事前確定届も提出する必要ないので支払う賞与は損金算入OKだと考えますが正しいでしょうか。

〔木本税務会計事務所コラム〕

木本税務会計事務所コラム

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転籍に伴う退職金 その2

《前提》

・下記「出資関係図」のとおり、グループ内でネット通販事業を事業譲渡します。
・譲渡対価は「事業譲渡日の在庫相当額(760 万円)を基準とし、別途協議する」となっています。
・従業員は正社員2 名、パート2 名いますが、全員事業譲受会社に引き継がれます。
・事業譲渡のタイミングでは退職金は支払わず、事業譲受会社を退社時に事業譲渡会社の勤務分も含めて退職金を支給します。
・事業譲渡時点の退職金相当額は合計300 万円ですが、事業譲渡会社では今まで退職給付引当金は計上していません。

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《確認事項》

 この退職給付債務の課税関係について、事業譲渡会社、事業譲受会社、従業員の視点から以下の整理で問題ないでしょうか。

<事業譲渡会社>
(会計税務仕訳)
① 退職金 300 万円  /  未払金 300 万円  ← 退職金300 万円が損金計上
② 商 品 760 万円  /  他勘定振替 760 万円  ← 他勘定振替760 万円が益金計上
③ 未払金 300 万円  /  商品 760 万円(課税売上)
  普通預金 460 万円  /

※  他勘定振替760 万円△退職300 万円 = 460 万円が事業譲渡による所得

<事業譲受会社>
(会計税務仕訳)
商 品 760 万円(課税仕入) /  退職給付引当金 300 万円
             /  普通預金 460 万円
※  退職給付引当金は、引継ぎ従業員の退職の都度取崩し、益金計上

<従業員>
事業譲受会社を退職時に事業譲渡会社の勤務分も含めて退職金を受領し全て退職所得。
退職所得控除は事業譲渡会社、事業譲受会社の2社分の勤務期間を合算し計算。

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転籍に伴う退職金及び賞与の取扱い その1

《質問》

 A社は、自動車部品の加工を行う社長一族が株式を100%保有する同族会社ですが、業態は製品の加工売上高が15%前後で社長一族が株式を100%保有し、社長及び役員がA社と同一のB社への人材の派遣業務を主たる事業として行ってきました。
 この度A社およびB社の賃金の締切日であります、10月20日付でA社の派遣社員全員をB社に転籍させることになりました。よってA社には社員2名と役員が残り、従前の事業を継続していくことになりました。

①A社は就業規則による退職金規定があり、勤続3年を経過した社員は、毎年4月1日に会社指定の委託保険制度に加入し、委託保険制度を利用した積立により社員の退職時には、当該保険の退職社員分を解約して、返戻金全額を退職金として退職社員に支給しています。
 上記の通り、A社の派遣社員全員をB社に転籍させることになりましたが、生命保険会社に積立てありました保険契約をB社に保険契約の移動をしました。保険契約の解約返戻金相当額は、A社の貸借対照表上の保険積立金勘定は、払込保険料の半額を損金に計上してきましたので、解約返戻金相当額と保険積立金と差額が生じております。
 従来社員の退職時には差額金は、退職金と相殺されて収益は生じないのですが、解約返戻金相当額でA社からB社に保険契約を移動させると収益が生じてしまいます。差額金の取り扱いをご教示ください。
 なお、B社の退職金規定はA社と同様のものであり、転籍者がB社を退職する際に、B社がA社からの在職年数を通算して退職給与を支給する定めになっています。

② A社からB社への社員転籍に伴いまして、B社は賞与金を夏期は、7月中旬、冬期は12月中旬に支払っておりますが、今年度の冬期の賞与金を12月中旬に支払いを予定しており、賞与金の査定期間は、A社およびB社とも冬期は3月21日から9月20日が対象期間となっています。
 今年度の冬期の賞与金につきまして、A社からB社への転籍社員の賞与金の対象期間は、A社の勤務期間内のものですので、支払賞与金の金額をA社の損金にしたいと考えております。冬期賞与金の支払いはB社から支払いたいとの会社の要望ですので、A社からB社に賞与金相当額を振り込んで、B社が冬期賞与金を各人に支払うという取り扱いで問題ないでしょうか。

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