居住者が海外の不動産を売却した場合の課税(所得金額の計算)

《質問》

 日本の居住者Aは、2018年(平成30年)カナダにある不動産を売却しました。国内での課税関係(譲渡所得の金額)はどうなるのか教えてください。同者は、日本国内に不動産貸付に係る所得が毎年1500万円程度あります。
 不動産売却収入 1,000,000 カナダ$
  内訳
○契約  2017年10月 前受金 650,000カナダ$ 受取
     T.T.M 90円(直後に88円【TTB】で日本円とした)
○引渡  2018年3月 決済金 350,000カナダ$ 受取
     T.T.M 80円(直後に77円【TTB】で日本円とした)
○取得価額 2011年2月 750,000カナダ$
     T.T.M 88円(直後に90円【TTS】でカナダ$とし、カナダへ送金)
○源泉徴収 2018年3月 70,000カナダ$

“居住者が海外の不動産を売却した場合の課税(所得金額の計算)” の続きを読む

生活障害年金の受取人変更にかかる税務について

《質問》

 別添のパンフレットのような保険商品を関与先に提案する保険会社の担当者がおり特徴①、②、③等をセールスポイントとして売りに来ております。

 別添   エクシードU

 現行税法上、この受取人変更について課税する根拠規定はないのでこのような売り方ができるのでしょうが、個人(被保険者)が何ら保険料を負担することなく、(障害を起因とするとは言え)多額の年金受給権を無税で取得できるこのスキームを国税が放置するとは考えにくいのではないかと個人的には思います。
 また、同じ障害を負ったことに対する保険金であっても、このような年金形式ではなく、一時金として法人に支払われた場合、その保険金を全額被保険者個人へ支払おうとする(例えば見舞金として)と、見舞金としての範疇を超え、給与課税されることになります。このことと平衡を取ろうとすると、やはり年金受取人の変更については課税するのが正しい、と国税は考えるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

◎ ご指導いただいた件につきまして、先日生命保険担当者と電話で話す機会がありましたので、その後の顛末をご報告いたします。
パンフレットの商品ですが、第1回の年金が支払われた後においても(受取人変更ではなく)保険契約者の変更が可能だそうです。
 よって、第1回の年金支払い後に行われる法人から個人への保険契約者変更(同時に年金受取人変更)についての課税関係は通常の保険事故発生前の契約者変更と同様に、解約返戻金相当額による評価によるべきである、との説明でした。本件保険証券については第1回支払い後の解約返戻金は0円であるので、課税は生じないとのことです。

《関連質問》

 保険の税務処理について

 契約者が法人、被保険者がその法人の社長、保険一時金、年金の受取人が法人となっている。
 特定状態収入保障保険について、前年度に社長が重大な疾病に至り、一時金、年金の給付を受けましたが、この度年金部分の受取人を社長に変更しました。
 この際の法人税、社長個人の所得税の扱いについて保険会社に問い合わせたところ、保険会社より以下の見解を得ることができました。
 法人税については、年金部分を社長個人に無償で変更した場合、保険契約の譲渡となり、時価部分を役員賞与として取扱うところ、当該保険は年金部分の契約について解約返戻金がゼロ円で設定されているため、時価相当額が存在せず役員賞与が発生しない。従って特段の税務処理は必要ない。
 一方、社長個人が今後受け取る年金部分については、年金の契約が特定収入状態保障保険に該当するため非課税となり、本年度を含め今後も所得税法上の申告等の必要はない。
 なお、現時点において社長は月に80万円の役員報酬を得ており、年金が所得保障である側面を鑑みるに、年金部分の申告が必要ないという保険会社の見解に若干の疑念も生じております。
 保険会社の法人税、所得税のそれぞれの扱いについて、どのような所見をお持ちになるか、お聞かせ願いたく存じます。

《当該保険パンフレットより一部掲載》

特定状態収入保障保険の第1回目の年金支払い日以降に受取人を変更した場合
(該当する保険種類:特定状態収入保障保険(無解約返還金)、介護年金保険(無解約返還金)、生活障害年金定期保険「エクシード」)

 特定状態収入保障保険(無解約返還金)の第1回の年金支払日以降に、年金受取人を法人から被保険者個人に変更した場合、年金を受け取る権利に対して所得税の課税は生じません。また、法人での経理処理も生じないと考えられます。
 介護年金保険(無解約返還金)および生活障害年金定期保険「エクシード」の第1回の年金支払日以降に、年金受取人を法人から被保険者個人に変更した場合の税務取り扱いも同様と考えられます。
(注)個別の税務取り扱いについては、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。

“生活障害年金の受取人変更にかかる税務について” の続きを読む

不動産賃貸契約の中途解約に伴い建設協力金の返還を要しなくなった場合

《質問》

 個人Aは建設協力金方式によりスーパーを建設し、法人Bに賃貸しています。スーパーの営業状態が悪く、この度店舗を閉じ賃貸借契約を解除することとなりました。解約理由が賃借人の都合のため、契約書に従い建設協力金は返還不要となります。このような場合賃貸人の課税関係はどのようになるのでしょうか。建設協力金の現在残高は1億円です。債務免除を受けるだけで現金収入はなく、一度に課税された場合納税資金に困窮することになります。

“不動産賃貸契約の中途解約に伴い建設協力金の返還を要しなくなった場合” の続きを読む

死亡した事業者に係る消費税の還付金を相続人が受け取った場合

《質問》

 不動産賃貸業を営んでいた父が本年8月に死亡しました。父が本年3月に完成させた賃貸物件については、税込経理処理となっているため、被相続人に係る消費税の申告(準確定申告)により、相続人が還付金を受け取ることになります。この還付金についての所得税の課税関係はどのようになるのかご教示下さい。
 なお、遺言があり長男には当該賃貸物件を、その他一切の財産を配偶者に相続させる旨の内容となっています。

“死亡した事業者に係る消費税の還付金を相続人が受け取った場合” の続きを読む

租税条約に債務者主義の定めがある場合における課税関係

《質問》

 内国法人A社は、中近東のS国でのプラント建設を請け負っており、その建設に必要な技術をイタリアの法人から導入する予定です。
 その技術については中近東のS国のみで使用することとしており、国内で行う業務の用に供されることはありませんので、その対価について、我が国では課税されないと理解してよいでしょうか。

“租税条約に債務者主義の定めがある場合における課税関係” の続きを読む

空き家を譲渡した場合の特例(耐震基準を満たされたことの証明書類について)

《質問》

 被相続人の居住用に供されていた家屋と土地を売却した際の特例(措置法35③)の適用にあたり、「耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し」の添付が条件となっています。従前市役所から住宅耐震改修証明書を受領していますが、代替書類として認められますか。

“空き家を譲渡した場合の特例(耐震基準を満たされたことの証明書類について)” の続きを読む

選挙に立候補する予定者個人に寄附をした場合の寄附金控除について

《質問》

 選挙に立候補する予定者個人に寄附をした場合、寄附金控除の対象になりますか。また、公示前の寄付は控除の対象となりますか。

 

“選挙に立候補する予定者個人に寄附をした場合の寄附金控除について” の続きを読む

土地の売買契約中に売主又は買主に相続等があった場合の評価の実務

《前提》

① Aさんは所有土地甲をBさんへ売却し、売買契約を結びました。
② AさんはBさんより売買代金の一部を受領しました。
③ 土地甲の登記は未了のまま、Aさんは死亡しました。

《質問》

 上記、土地甲の売買は成立していますか。
・成立したものとして、Aさんは土地甲の準確定申告をして、残金を未収金として相続財産とするのでしょうか。
・成立しないものとして、土地甲を相続財産として代金の一部受領を仮受金とするのでしょうか。(相続人がその後売却することになります。)

“土地の売買契約中に売主又は買主に相続等があった場合の評価の実務” の続きを読む

業務委託契約による所得の課税関係

《質問》

 個人の方が、次にような契約で報酬を受け取っています。
 課税関係等について御教示ください。
① 平成30年3月にA社と経営コンサルタント業務委託契約締結を締結しました。
② 契約期間は30年10月1日から31年3月31日
③ その後更新するかは未定です。
④ 事務所は設けず、従業員はいません。
⑤ 業務委託収入は2000万円
⑥ 他に年金収入(500万円)があります。
 このような状況の場合、事業所得となるのでしょうか。それとも雑所得になるのでしょうか。
事業所得とした場合の開業の日は契約締結日(9月20日)でしょうか。それとも10月1日でしょうか。
 また、個人事業税は、事業所得が対象になりますが、雑所得にもかかる場合があるそうですが、具体的にはどのような場合に雑所得が対象となるのでしょうか。

“業務委託契約による所得の課税関係” の続きを読む

国内に居住する不動産所得者が非居住者となった場合の課税関係

《質問》

 日本国内に居住する不動産所得者が、年の中途で海外に移住することになりました。納税管理人を定めていますが、申告はどのようになりますか。
① 申告書はどのように作成するのですか(例えば居住者期間と非居住者期間別々に記載するのですか。)。
② 扶養控除や配偶者控除の合計所得要件はどのようになりますか。国外転出時課税の適用を受ける場合、合計所得はどのように判定されますか。
③ 国外転出時課税の適用を受けたものは、財産債務調書を提出する際の判定から除外するのですか。

“国内に居住する不動産所得者が非居住者となった場合の課税関係” の続きを読む