インボイス制度について

《前提条件》

8月決算の会社(不動産貸付業、トランクルーム貸付業)
・もともと課税事業者で、インボイスの登録済です。
・令和4年8月期・・・課税売上高1,000万円超
・令和5年8月期・・・課税売上高1,000万円以下
・それ以降も課税売上は1,000万円以下の見込み

《質問》

 令和6年8月期が始まるにあたり、今月中に簡易課税を選択するか検討中です。
 令和6年8月期は、インボイスに関係なく課税事業者であるため簡易課税を選択すれば簡易課税になるかと思います。
 令和7年8月期は、課税売上高が1,000万円以下のため2割特例の適用が可能でしょうか?
 簡易課税を選択していれば、2割特例か簡易課税のどちらかになる、という考えで合っていますか?

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適格請求書発行事業者の登録の取り消しを求める旨の届出書について

《前提》

 まだ、適格請求書発行事業者の申請をしておりません。翌期に免税事業者に出来るのであれば届出書を提出してR5.10.1から適格請求書発行事業者になる事を考えています。
 基準期間の課税売上だけで考えますと
 当期:R5.6.1~R6.5.31 課税事業者
 翌期:R6.6.1~R7.5.31 免税事業者
となります。

《質問》

 もともと当期が免税事業者であり、R5.10.1から適格請求書発行事業者になって課税事業者になる場合は、R6.6.1の初日から起算して15日前の日までのR6.5.17までに取消しの届出書を出せば 翌期(R6.6.1~R7.5.31)は免税事業者になれると思います。
 R5.10.1の属する課税期間が基準期間の課税売上が1,000万円超であるので、そもそも当期が課税事業者の場合でもR6.5.17までに適格請求書発行事業者の登録の取り消しを求める旨の届出書を提出すれば翌期(R6.6.1~R7.5.31)から免税事業者になれるのでしょうか。

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インボイス制度と高額特定資産

《前提条件》

令和5年10月1日の属する課税期間から適格請求書発行事業者登録を受け消費税の課税事業者となる。
令和5年10月中に太陽光発電投資2,000万円を行う。

《質問》

 前提条件の場合は、高額特定資産を購入しているため消費税の課税事業者として3年間の縛りがあるかと存じますが、その場合の課税事業者から免税事業者に戻るタイミングは①ではなく②という認識でよろしいでしょうか?

tempsnip

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インボイス登録済事業者が、死亡した場合の手続・課税関係等

《質問》

 課税事業者でインボイス発行事業者として登録申請を済ませていた不動産賃貸業(貸駐車場)を営む個人Aが、令和5年3月30日に死亡しました。これまでのAの課税売上額は各年1,200万円程で全て簡易課税で申告をしていました。相続人は、妻B(専業主婦)、子C・D(いずれも会社員)の3人で、課税売上額は無くインボイスの登録はしていません。また、5年末までには遺産分割協議が完了しないと思われます。
 被相続人Aと相続人B・C・Dそれぞれの消費税の課税関係、インボイスの効力、2割特例の適用はどのようになりますか。
 また、令和5年10月1日後死亡した場合にはどのようになりますか。

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個人事業者の消費税還付について

《概要》

・喫茶店を経営する青色申告事業者
・課税売上1,000万円以下の免税事業者
・令和5年10月に1階が喫茶店、2階が貸店舗の建物を建築予定。建築資金7,700万円
・建物にかかる消費税の還付を受けたい

《質問》

1. インボイス登録申請について
 原則は令和5年3月までが提出期限であったが、猶予規定により、その年内中に提出も可能になったと理解。5月中に、令和5年10月~適用開始のインボイス申請書は提出可能ですか?

2. インボイス提出により、令和5年10月から課税事業者となり、簡易課税を選択しない場合、建物の仕入税額控除=消費税の還付を受けることは可能ですか?

3. 消費税の還付を受けた場合、建物が高額特定資産に該当することから、3年縛りの適用あり。この場合、令和6年以降の消費税計算は、いわゆる「激変緩和措置」の2割特例計算の適用は可能ですか?

4. 建物ではなく、1,000万円以下の調整対象資産を購入した場合の3年縛りについて、課税時事業者選択届を提出はしておらず、インボイス登録申請により課税事業者になったため、3年縛りの適用は受けませんか?

5. 建物が高額なため、妻(生計一・青色事業専従者ではない・会社勤務の給与所得者)と 1/2 の共有になります。仮に1階と2階が同じ建築費の場合、夫は1階部分 7,000 × 1/2 × 共有割合 1/2  =  1,750万の償却費を事業所得に計上し、2階部分を不動産所得に計上します。また、妻の1階部分1,750万の償却費を、所得税法上の生計一の規定により、家賃の代わりに、夫に計上します。
 消費税の計算では、1,750  +  1,750  =  3,500を仕入税額控除します。
 妻もインボイス登録申請を提出します。
 2階部分1,750万の償却を不動産所得に計上します。
 1階部分は生計-のため、家賃収入を計上しない代わりに、償却も、夫に計上するので、妻には計上しません。
 この場合、妻の消費税の計算で、仕入税額控除できるのは、2階部分のみでしょうか?
 仮に、1階部分について、適正な家賃の収受があった場合、所得税法上は収入・経費を認識しませんが、消費税法上は、1階・2階とも不動産賃貸物件として、仕入税額控除できませんか。

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課税期間の特例の選択について

《前提条件》

・会社員
・R3年から個人事業主(開業届出と青色申告承認申請書提出済み)として足場レンタル事業を開始し、レンタル収入が数百万円入った。
・R4年から業者と音信不通となりレンタル収入が入らなかった。
・R5年に業者より最後のレンタル収入として160万円が入ると連絡があったとのこと。
・現在、消費税免除事業者である。

《質問事項》

① R5年に太陽光発電設備を購入し消費税還付を受け取る場合は、基準期間のR3年度に課税売上(レンタル収入)があるため、短縮申告して「課税事業者選択届出書」を提出する必要があるとの認識でよろしいでしょうか?

② もしR6年に太陽光発電設備を購入し消費税還付を受け取る場合は、基準期間のR4年度に課税売上(レンタル収入)がないため、R6年12月末までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば短縮申告することなく消費税還付を受け取れるとの認識でよろしいでしょうか?

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インボイス登録に関する質問

《質問》

 以前から接骨院(柔道整復師)を個人で経営しております。
 収入は保険適用が約3分の2、他は自由診療分となります。自由診療は年間1,000万円超あるので消費税申告をしております。一般消費者が相手なのでインボイス登録しなくてもよいとの話を聞きましたが大丈夫でしょうか。

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相続があった場合の所得税・消費税の取扱いについて

《質問》

 不動産賃貸業を行っている個人甲が令和3年6月末に死亡しました。
 賃貸不動産収入はA物件とB物件から生じ、いずれも消費税の課税対象です。
 相続人は長男と次男だけで、令和4年3月末の遺産分割協議でA物件は長男が、B物件は次男が相続することになりました。
 賃貸収入(課税売上)は、毎年同額で、不動産Aが年額1200万円(100万円/月)、不動産Bが600万円(50万円/月)です。
 令和3年分~5年分までの所得税の申告、消費税の納税義務の判定は具体的にどのようになりますか。
 なお、長男、次男はサラリーマンで課税売上になる収入はありません。

《さくら税研からのアドバイス》

【所得税関係】
⑴ 令和3年1月から6月までの収入
 被相続人甲帰属の収入として準確定申告を行います。

⑵令和3年7月以降の収入
 遺産分割が確定していない間は、相続財産は相続人である長男と次男の共有に属するものとされ、各相続人が法定相続分に応じて申告することになります。
 遺産分割協議が整い分割が確定すれば、それ以後の申告は確定したとおりに申告することになります。
 なお、分割が確定しても、未分割の期間の所得の帰属に影響を及ぼすものではありません。したがって、分割が確定したことを理由とする更正の請求や修正申告をすることはできません(最高裁判決17年9月8日参照)。

相続前と相続後の所得税(不動産分)の申告は次表のとおりとなります。
                              (単位:万円)

元年分 2年分 3年分 4年分 5年分
被相続人 甲 1800 1800 900
相続人 長男 450(注1) 1125(注2) 1200
相続人 次男 450(注1) 675(注2) 600

注1 (100万円+50万円)×6月×1/2=450万円
注2 (100万円+50万円)×3月×1/2=225万円
   長男100万円×9月+225万円=1125万円
   次男50万円×9月+225万円=675万円

【消費税関係】
1 相続があった年(令和3年分)の相続人の納税義務の判定について
⑴ 1月1日~相続のあった日
 相続人自身の基準期間における課税売上高⇒1000万円以下免税、1000万円超課税
 ご質問の場合、長男と次男はいずれもサラリーマンで課税売上高は「0」ですのでこの間は免税となります。なお、被相続人は基準期間(元年分)の課税売上高が1000万円超ですので課税事業者として申告が必要です。

⑵ 相続のあった日の翌日~12月31日
 ①相続人の基準期間における課税売上高
 ②被相続人の基準期間における課税売上高
 ①と②いずれも1000万円以下 免税  ①と②いずれかが1000万円超 課税
 ご質問の場合、「被相続人の基準期間における課税売上高」は、遺産分割が済んでいませんので、法定相続分を乗じた金額となります(消基通1-5-5)。
 ①は「0」です。
②=1800万円×1/2=900万円≦1000万円
 したがって、①と②いずれも1000万円以下ですので相続人は免税となります。

2 相続があった年の翌年分(4年分)、翌々年分(5年分)の相続人の納税義務
次の金額が1000万円以下⇒免税 1000万円超⇒課税
 ○ 事業の全てを相続した場合
 (相続人の基準期間における課税売上高)
       
 (被相続人の基準期間における課税売上高)

 ○ 事業の一部を相続した場合
 (相続人の基準期間における課税売上高)
       
 (相続した事業に係る部分の被相続人の基準期間における課税売上高)
⑴ 令和4年分の納税義務の判定について
 分割のあった年の納税義務の判定は、課税期間の開始する前に判明していなければならないという考え方のもと、4年分は3年12月31日の状況で判定します。
すなわち、
0+1800万円×1/2=900万円≦1000万円
となり長男、次いづれも免税事業者となります。

⑵ 令和5年分の納税義務の判定について
 納税義務の判定時期(令和4年12月31日)には、遺産分割協議が済んでいるので、長男・次男の納税義務(基準期間3年分)は次のアとイの合計額で判定します。
ア 各相続人が事業所ごとに分割して承継した場合、「被相続人の基準期間における課税売上高」は、各相続人が承継した事業場に係る部分の課税売上高となりますので、A不動産を相続した長男が600万円、B不動産を相続した次男が300万円となります。
イ 各相続人の基準期間における課税売上高 450万円

相続人長男の判定 600万円+450万円=1050万円>1000万円(課税事業者)
相続人次男の判定 300万円+450万円=750万円≦1000万円(免税事業者)

《参考資料》

【国税庁H.Pより】

別紙 前年に相続があった場合の共同相続人の消費税の納税義務の判定について

別紙 相続があった年に遺産分割協議が行われた場合における共同相続人の消費税の納税義務の判定について

【消費税基本通達】
(共同相続の場合の納税義務)

1-5-5 法第10条第1項又は第2項《相続があった場合の納税義務の免除の特例》の規定を適用する場合において、2以上の相続人があるときには、相続財産の分割が実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱う。この場合において、各相続人のその課税期間に係る基準期間における課税売上高は、当該被相続人の基準期間における課税売上高に各相続人の民法第900条各号《法定相続分》(同法第901条《代襲相続人の相続分》から第903条《特別受益者の相続分》までの規定の適用を受ける場合には、これらの各条)に規定する相続分に応じた割合を乗じた金額とする。(平17課消1-22により改正)

 

 

事務所家賃が口座振替の時のインボイス制度

《質問》

適格請求書の記載事項として
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、その旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の名称又は氏名

 事務所家賃が口座振替の時のインボイス制度
 事務所などを借りている場合は、家賃の支払いは口座振替の場合が多いと思います。
 事務所の家賃などは、毎月請求書は発行しません。
 インボイス制度は、支払った家賃を仕入税額控除する場合は、原則として適格請求書の保存が必要となりますとありますが、インボイス制度で、事務所家賃を仕入税額控除する場合は、次の3つの方法が考えられるみたいですが、実務的にはどの方法になりそうでしょうか。
① 毎月発行された適格請求書を保存する
② まとめて発行された適格請求書を保存する
③ 契約書に登録番号など必要な事項を書いて、通帳を保存する

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居住用賃貸住宅に係る仕入税額控除について

 不動産を取得した際の消費税の処理要領について一覧表を作成しましたので執務のご参考にしてください。

1 土地・建物(棚卸資産)の取得時において、仕入税額控除適用の有無について状況別に一覧表としたものです。
  土地・建物の消費税 (棚卸資産)

2 土地・建物(固定資産)の取得時において、仕入税額控除適用の有無について用途別に一覧表としたものです。
  土地・建物の消費税 (1,000万円以上の固定資産)

3 高額特定資産・調整対象資産を取得した場合の年度ごとに免税点制度、簡易課税制度適用の有無について一覧表としたものです。
  高額特定資産・三年縛り

4 高額特定資産・調整対象固定資産のイメージ図
  高額特定資産と調整対象固定資産