消費税「事業廃止届」の効力等

《質問》

 個人の消費税課税事業者としてこれまで簡易課税で申告をしてきましたが、令和元年6月末に事業を廃止したため、消費税の「事業廃止届出書」を提出しました。
  しかし令和2年8月に店舗を取得し、事業を再度開始することを考えています。
 平成30年分の課税売上高は2600万円、令和元年分は6月末までの課税売上高は600万円です。
1)令和2年分は課税事業者でよいのでしょうか。
 この場合、「事業廃止届出書を提出しているので、簡易課税の効力はなく原則課税でよろしいのでしょうか。
2)令和3年は免税事業者となりますか。

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業務供用前の取得費算入について

《質問》

 サラリーマンである居住者が令和元年12月13日に不動産所得を生ずべきアパートを建築した場合、建物取得費と仲介手数料のほか、建物取得にかかる諸経費を建物の取得価額に算入すべきか否かご教示ください。諸経費については全額必要経費に算入できるものと考えています。
 具体的には、①建物請負契約印紙代 ②登録免許税等登記費用 ③銀行借入利子 ④不動産取得税です。
 なお、当該居住者は今回が初めてのアパート取得で、従前よりアパート貸付事業は営んでおりません。
 また、令和元年中の不動産収入は0円です。12月に開業届と青色申告承認申請書を提出して令和元年分の不動産所得は赤字申告して繰越たいと考えています。

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配偶者居住権について

 民法改正に伴い、相続税法第23条の2が規定され、令和2年4月1日以後に開始する相続により取得した財産に係る相続税について配偶者居住権が適用されることとなります。
 そこで、令和2年2月12日付課評2-5ほか3課共同「相続税法基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)により、次のとおり具休的な取扱いが定められました。
 なお、この通達に関するあらましは、令和2年2月21日付「相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし」として、国税庁から情報が発出されています。国税庁ホームページに掲載されていますので、ご覧になってください。
 また、このあらましの中で、新設された「配偶者居住権等の評価明細書」が紹介されています。

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未分割財産の分割と更正の請求

《質問》

 不動産の貸付けを行っていた父が3年前に死亡しました。相続人はA・B・C・Dの4人の子でしたが、遺産分割を巡り争いがあり、昨年やっと賃貸不動産についてAとBが相続することで分割が確定しました。相続開始から分割までの間は、全ての相続財産をA一人で申告をしていました。Aはこの申告を是正してもらうため、更正の請求をしたいと考えていますが如何でしょうか。なお、国税庁ホームページタックスアンサー(№1376)では、分割の確定を理由とする更正の請求が行うことができない旨の記載があります。

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税務調査通知後の修正申告について

《質問》

 顧問先の4月決算の法人(業種:製造業)ですが、税務調査通知後、会社の帳簿に計上していない通帳に売上の入金があることが社長により判明したため、3期分(H29/4月期、H30/4月期、H31/4月期)の修正申告を提出しました。
 調査中、調査官はその売上の漏れについては把握していないようでしたが、調査最終日の午後に修正申告の話をしました。
 その後、調査官により申告漏れについて重加算税の話がありました。
 改正後ですので、加算税については仕方がないと思うのですが、重加算税はどうなのか、アドバイスをお願い致します。

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太陽光発電設備の売買に係る消費税還付について

《前提》

 個人から法人(当該個人が代表者)に太陽光発電設備を負担付贈与する予定です。
 負担は個人が金融機関から借り入れている借入金です。売電収入は名義の変更(個人から法人)に経済産業省の手続きがある関係で、法人の決算月である令和2年5月に間に合いそうにありません。名義の変更ができ次第、借入金の名義を個人から法人に変更することになっています。
 個人は来年(令和2年)から消費税の課税事業者になる予定です。(令和1年中に売却すれば消費税は免税です。)
 法人は消費税の課税事業者です。

《質問》

 年内(R1年)に負担付贈与契約書を作成することで、今年の契約日に個人から法人に所有権が移転したと税務署が認めてくれるでしょうか。また、法人側では、決算期末までに名義変更が間に合わない場合でも令和2年5月期において個別対応方式で課税仕入れのみに要する課税仕入れとして太陽光発電設備に係る消費税還付を受けることはできるでしょうか。

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貸倒損失の計上について

   法基通9-6-3を上手く活用しましょう!

《質問》

 今回製造業の顧問先に税務調査が入り、直近の事業年度で計上していた取引先に対する売掛金の貸倒損失は認められないとの指摘を受けました。法律上の貸倒損失(法基通9 -6-1)に該当せず、また事実上の貸倒損失(法基通9-6-2)の要件である取引先の資産状況等の確認も行っていないのだから、「全額が回収できないことが明らかではない」との指摘です。正直今期は利益が出たので、過去からの不良債権を処理し税金負担を軽減したいとの思惑も多少はありました。修正申告しなくてはならないでしょうか。

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特定口座取引がある場合の申告における注意点

【第3回】

《質問》

[設例1]
 A証券会社の源泉徴収選択口座が下記の特定口座年間取引報告書の場合、どのような申告をするのが有利となるのでしょうか。なお、報告書以外の所得は不動産所得金額 300万円、所得控除の金額は200万円です。

譲渡に係る年間取引損益 等 源泉徴収税額 (所得税) 612,600 株式譲渡所得割額 (住民税) 200,000 外国所得税の額  
譲渡区分 ①譲渡の対価の額 (収入金額) ②取得費及び譲渡に 要した費用の額等 ③差引金額(譲渡所得等の金額) (①-②)
  上場 10,000,000 6,000,000 4,000,000
信用      
合計 10,000,000 6,000,000 4,000,000
配当等の額及び源泉徴収税額等    
種類 配当等の金額 源泉徴収税額 (所得税額) 配当割額 (住民税)
特定上場株式等の配当等 ④株式、出資又は基金 500,000 76,575 25,000
⑤特定株式投資信託      
⑥投資信託等(⑤.⑦及び⑧以外)      
⑦オープン型証券投資信託 100,000 15,315 5,000
⑧国外株式又は国外投資信託等      
⑨合計(④+⑤+⑥+⑦+⑧) 600,000 91,890 30,000
上記以外のもの ⑩公社債 70,000 10,720 3,500
⑪社債的受益権      
⑫投資信託等(⑬及び⑭以外)      
⑬オープン型証券投資信託      
⑭国外公社債等      
⑮合計(⑩+⑪+⑫+⑬+⑭) 70,000 10,720 3,500
       ⑯譲渡損失の金額      
⑰差引金額(⑨∔⑮-⑯) 670,000    
       ⑱納付税額   102,610 33,500
⑲還付税額(⑨∔⑮-⑱)      
金融商品取引業者等 A証券

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利子・配当所得、株式等の譲渡所得等の申告に当たっての注意事項

 金融資産の取扱いについては平成28年分から大幅に改正されていますが、複雑な取扱いとなっています。確定申告に当たり再度確認のため、注意事項等をとりまとめ3回にわたり連載させていただきます。

【第1回】

《質問》

 個人Aさんは、上場株式の配当収入や公社債の利子収入があり、証券会社を通じて上場株式の売買も行っています。申告に当たり注意すべき事項を教えてください。

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