数次相続について

《質問》

 父、母、子1人。
 父は数十年前に死亡(一次相続)、相続税の申告はしていない。遺産分割協議書は未作成。相続税の申告義務があったかどうかは不明ですが、あったにせよ相続税の除斥期間はすでに経過と認識しております。
 母がこの度死亡(二次相続)。この二次相続にあたり、一次相続の分割をどのようにして申告するのが正しいかという相談です。
 ・子が一次相続の相続人、及び一次相続の相続人である母の相続人という二重の立場で一次相続の分割を決め、それに基づく母の財産により二次相続の申告をしてもいいのでしょうか。
 ・あるいは一次相続は法定相続分で母が相続したという前提で二次相続の申告をすべきでしょうか。

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法人から個人に対する家賃を相場より低額に設定した場合の課税関係について

《前提》

個人(役員)所有の建物を同族会社に賃貸し、同族会社が自社の事務所として使用している。
・不動産経費計 35万円
・相場の家賃  60万円
・実際の家賃  40万円

《質問》

① 法人の経理 時価との差額 60万円-40万円=20万円について
 地代家賃 / 受贈益 20万円となり損益に影響なし。

② 個人の不動産所得の収入について
 所得税には時価の概念はないため、収入40万円の申告で問題なし。

③ 個人の財産評価において貸家建付地の適用について
 固定資産税のみでなく、経費を賄った後で利益もあるため適用できる。

④ 相続時の特定同族会社事業用宅地の小規模宅地特例に適用について
 相場よりも低い家賃のため適用できない。
 ※相場の許容範囲はどのくらいでしょうか?

⑤ 〔貸主〕個人側の低額分20万円について、相続逃れのような気がします。
相手が個人ならば贈与税が発生することも考えられますが、相手が法人のため①の処理だけで税法上の問題は発生しない。

 以上の見解について問題がありますでしょうか。また、上記以外に気を付けることがありますでしょうか。

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生命保険の契約者変更と遺留分減殺請求があった場合の申告

《質問》

① 生命保険について
 登場人物 祖父 A
      子  B
      孫  C

Aが当初、以下の生命保険の契約(一時払)を結んでいました。
契約者=保険料負担者  祖父 A
被保険者        孫 C
受取人         祖父 A

一時払の保険料を払い込んだ後、契約を変更し以下の様になりました。
契約者         孫 C
被保険者        孫 C で変わらず
受取人         子 B

今回、祖父Aが死亡し、相続人Bから相続税の申告を依頼されました。この時の課税関係ですが、
(解釈1)
・名義変更の段階では贈与税の税はかからない
・孫Cが死亡した時点で、子Bに対して祖父Aからの贈与があったものとして贈与税が発生
(解釈2)
・契約変更がなければ、生命保険の権利の評価として、相続税の課税対象となるかと思います。しかし、契約変更後に受取人がAではなくなっていますので、Aはただ保険料を負担しただけで、どんな事をしてもお金は受け取れません。
 従って、名義変更した段階で、祖父Aから子Bへの贈与(金額は一時払したものに対する、今解約した場合の解約返戻金)があったと認定
・3年以内の贈与ですので、相続税申告で、3年以内の贈与として相続財産に含める。(ただこの場合、贈与税は無申告ですので、財産には含めるが、実際払うべきこととなる贈与税の控除もなし)

上記どちらになるでしょうか?
またそれ以外の解釈があるでしょうか?

② A(被相続人)が亡くなりました。相続人はAの子BとCです。また、Bの遺留分を大幅に超える遺言があります。Bは遺留分減殺請求をする予定ですが申告期限までに判決は出ないと思います。

イ 遺言通り、期限内申告=減殺請求の判決が確定⇒Bは更正の請求、Cは修正申告(延滞税と加算税は避けられない)というのが本来の流れで宜しいでしょうか?(延滞税と加算税の税率もご教示いただければと思います。)
 また、更正の請求の期限は何年でしょうか?

ロ Cが延滞税と加算税を払うことを嫌がると思いますので、最初から、遺留分減殺請求どおりの申告をする事は可能でしょうか?遺言も添付しますので、遺言通り修正申告するように言われる可能性は高いでしょうか?

ハ 例えば、財産に賃貸不動産があり、Cのものとする遺言があり、貸付事業用宅地に該当するものとします。遺留分減殺請求の判決後、その土地はBのものになったとします。小規模宅地の要件は全員の同意が必要になると思いますが、当初適用した小規模宅地は、そのままで認められるのでしょうか?もし認められないとすると、判決が確定した段階で、小規模宅地の適用のやり直しは可能でしょうか?
 更に、居住用宅地と貸付事業用宅地もあった場合、減殺請求の判決後に、適用する小規模宅地の優先順位を変えることは可能でしょうか?

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相続の申告に伴う特例の適用について

《質問》

① 955㎡程の自宅及び敷地に父・母・二男が同居しており今年5月2日にお父様が亡くなられました。
 相続開始時に4-7、4-16、4-17の3筆であった土地を、遺産分割前に5筆に分筆しました。
 2筆は母が相続、残りの3筆は母と二男が共有で相続し、居住用家屋も母と二男が共有で相続しました。
 来年3月2日まで居住し続けた場合、二男は相続税の申告において小規模宅地の特例を適用できますか。

② 3月2日以降、居住用家屋を取り壊して母が相続した2筆の土地に母と二男がそれぞれ家を新築する予定です。
 また、残りの3筆は譲渡する計画ですが、この場合母と二男は居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除の特例(措法35条)及び軽減税率の特例(措法31条の3)をそれぞれ適用することは可能でしょうか。

※譲渡される3筆部分は、庭と居住用家屋の玄関部分であり水まわり設備のものはございません。
 庭先譲渡として3,000万円控除及び軽減税率の特例の適用はできませんか。
 それとも居住用家屋を全て取り壊すため3,000万円控除及び軽減税率の特例は適用できますか。

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「地位譲渡契約」による土地売買を行った場合の消費税の課否判定

《質問》

不動産の売買におけるいわゆる「地位譲渡契約」をした場合の消費税の課税関係についてお尋ねいたします。
・A(個人)は保有土地の売買契約をB社(不動産会社)と締結
・B社はAに対して契約時に売買代金2.6億の手付金として5%相当の1,300万円を支払う
・B社は不動産の買主の権利をC社(不動産会社)に譲渡する。(※)
・C社は契約時に手付金相当額1,300万円をB社に支払う
・残金247,000,000はCよりAへ支払う。
・登記手続きはA⇒Cへの移転登記になる。
※ BC間の「買主の地位の譲渡契約書」
前文は「B(買主の地位譲渡人)とC(買主の地位譲受人)とは、AとBの間の平成○年
○月○日付け不動産売買契約書における買主の地位を以下の条項に従い譲渡する。」
とし本文は通常の取引同様の内容とする。

このBが譲渡した買主の譲渡の権利について、消費税は課税売上となるのでしょうか?

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国外財産調書の提出義務について

《質問》

 国外財産調書の提出制度が、平成26年1月から施行されているとのことですが、制度の概要や国外財産調書の対象となる「国外財産」であるかどうかの判定基準等について具体的に教えてください。

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業者へ融通した収入印紙の課否判定

《質問》

 手持ちの印紙の売上についてご教示お願い致します。
 建設業を営むA社は一部の外注先さんへは取りに来ていただきお支払いしています。
 その際、領収書に添付する印紙をA社から購入し添付しています。
 購入額をそのままお渡ししており手数料は請求していません。
 A社の処理ですが、購入時は租税公課、不課税(対象外)で処理していますので
外注先への売却はその利便のために実費で印紙を融通する行為として、単なる立替えということになり、そのため不課税(非課税)取引ということでよろしいでしょうか?
 それとも、その購入した印紙の売上は雑収入(課税売上)となるのでしょうか?

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平成31年 誤りやすい事例集(資産税)

《目次》
Ⅰ 譲渡所得関係
 1 取得費について
 2 収用補償金の所得区分について
 3 重複適用できない特例関係について
 4 被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除の特例について
 5 特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除について
 6 特例適用期限の延長
 7 相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例について
 8 株式の譲渡について
Ⅱ 贈与税関係
 1 直系尊属(父母又は祖父母等)からの贈与について
 2 相続時精算課税の特例について
 3 チェックリストの活用について

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平成31年 誤りやすい事例集(所得税)第4回

《目次》
十七 変動所得の平均課税
十八 税額控除
 1 配当控除
 2 外国税額控除
 3 住宅借入金等特別控除
 4 住宅耐震改修特別控除
十九 確定申告
 1 確定申告書の撤回
 2 給与所得者が20万円以下の給与を受け取った場合
 3 源泉徴収されない公的年金が400万円以下の者の確定申告義務

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平成31年 誤りやすい事例集(所得税)第3回

第三回目

《目次》
十六  所得控除
1 医療費控除(添付書類)
2 医療費控除(補てん金)
3 医療費控除(セルフメディケーション)
4 社会保険料控除
5 寄付金控除
6 障碍者控除
7 寡婦控除
8 配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除
9 所得控除の計算順序

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