所得拡大促進税制の更正の請求について 

  ~ 法律の「二つの確定申告書等」に注意! ~

《質問》

 法人税確定申告書で所得拡大促進税制による税額控除を適用しましたが、「雇用者給与等支給額」の拾い漏れがありました。法律を読む限り更正の請求ができそうですが大丈夫でしょうか?

《答え》

 残念ながら、法令上の当初申告要件を満たさないため更正の請求はできません。

 根拠法令は租税特別措置法第42条の12の5(*1)ですね。雇用者給与等がアップしていれば税額控除を使えるので、適用している法人も多いかと思います。しかしながら、この条文は理解しづらく勘違いしてしまうケースも多いと聞きます。
 それでは説明していきます。

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生命保険契約に関して

《質問》

① 当初生保契約 平成12年
  契約者  A(実質保険料全額負担者)
  被保険者 義理息子B
  受取人  Bの妻C(Aの長女)
② 上記契約 平成20年に変更
  契約者  B
  被保険者 B
  受取人  C
③ 上記②契約平成29年7月実質負担者Aに相続発生
 実質保険料負担者がA、保険契約者がBなので、相続税法の規定でBが生命保険契約に関する権利を遺贈により取得したものとみなされ、生命保険契約の解約返戻金相当の金額をみなし相続財産として算入し、Bは相続税額の2割加算をして昨年相続税の申告をしました。
〔被相続人以外の者がその生命保険契約の契約者である場合における「生命保険契約に関する権利」のうち被相続人が負担した保険料に対応する部分は、相続又は遺贈により取得したものとみなす(相法3①三)〕

 相続申告後平成30年6月に契約者BからCに変更してしまいましたが、(この時点で契約者C、被保険者B、受取人C)生命保険契約における契約者の変更については、生命保険制度を踏まえて、その契約者の変更時点では、生命保険に関する権利を個人間の贈与として課税関係が発生させない考えでいいと思いますが、この度契約者をやはり相続で実質負担者の地位を引継ぎ相続税申告をしたBにCから変更しようと予定しています。(相続でBが保険料を全額負担したとみなされたので現在の実質負担者は契約者が平成30年6月の変更により契約者がCであったとしてもBという考えでいいと思いますが)この変更(C→B)についても変更時点では当然贈与の課税関係はないと思います。
 今回予定のC→B変更後、将来Bが死亡した時は「実質負担者B、保険契約者B、被保険者B、受取人C」でCの受取保険金は契約者の変更を重ねていきますが、相続税の課税対象ということでよろしいでしょうか?

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税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(3)

《質問》

 ここ数年の税務調査は、以前に比べて長期化しているような気がしますが通則法改正と関係あるのでしょうか。

 御存知のように税務署の定期異動は7月10日付けで全国一斉に行われます。そして、お盆休み明けから、9月、10月、概ね11月一杯くらいは税務調査の最盛期と言われています。
 現在の税務調査は9割以上が「事前通知」という国税通則法上の手続きを経て始まります。今回は以前に比べて長期化している税務調査について、法的観点及び傾向等を検証していきたいと思います。

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貸家建付地の評価単位について

《質問》

 下図のとおり、土地Aに建物B,C,Dがあり、それらの建物を甲法人(又は同一の個人)が一括して賃借し、それを更にそれぞれ第三者に賃貸(また貸し)している場合の土地の評価について

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税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(2)

《質問》

 税務署職員が法人事務所等へ事前通知もなく来る税務調査がありますが、違法ではないのでしょうか。

 御存知のように税務署の定期異動は7月10日付けで全国一斉に行われます。そして、お盆休み明けから、9月、10月、概ね11月一杯くらいは税務調査の最盛期と言われています。
 現在の税務調査は9割以上が「事前通知」という国税通則法上の手続きを経て始まります。今回は当局が行う「調査選定」等について、法的観点及び傾向等を検証していきたいと思います。

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租税特別措置法70条について

《質問》

 被相続人A 相続人Bがいました。
 相続開始平成31年4月4日
 (相続人はB一人です)
 相続財産約3億円

 その後Bが平成31年4月19日死亡しました。
 被相続人Bの相続人C、D、Eら3名が被相続人Aの財産をAの財産名義のまま、Aの相続税申告期限までに公益法人等に寄附をしました。
 この場合、寄附された財産は
① 被相続人Aの相続税の課税価格に算入しない
② 被相続人Bの相続税の課税価格に算入しない
③ 被相続人A、被相続人Bの相続財産に影響はない
のいずれでしょうか。
 寄附されたのはB死亡後なので、Aから相続を受けたBの相続財産から寄附がなされたものとして②と考えますが、正しいでしょうか。

2 上記の場合に、被相続人Aの相続税(約1億円です)を被相続人Bの相続税申告(算出相続税額約4千万円です)において債務控除できると考えますが、正しいでしょうか。
 (申告期限までに債務が確定しており、確実な債務。相次相続控除がありますが、相次相続控除は強制適用なので、債務控除とは条文上も別枠で関係がないので)

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税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(1)

《質問》

 税務署から顧客に対する税務調査連絡が、いきなり入りました。改めて注意すべきこと等を教えてください。

 御存知のように税務署の定期異動は7月10日付けで全国一斉に行われます。そして、お盆休み明けから、9月、10月、概ね11月一杯くらいは税務調査の最盛期と言われています。
 現在の税務調査は9割以上が「事前通知」という国税通則法上の手続きを経て始まります。そこで今回は「調査着手」について、法的観点から現実的な対応等を考えていきたいと思います。

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外注費と給与の区別

《質問》

最近、外注費と給与の区別についての質問がいくつか寄せられています。
消費税基本通達1-1-1の「個人事業者と給与所得者の区分」が基本となりますが、それ以外の判断基準も含めてまとめてみましたので参考にしてください。

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役員退職慰労金支給額の算定について

《前提》

 平成29年5月期以降、事前確定届出給与を支給することに伴い、役員給与の月額は従前の1,750,000円から200,000円と大幅に減額となっています。
 定期同額給与(年間2,400,000円)と事前確定届出給与(年間18,600,000円)を合算すれば、報酬額に変更はありません。

《質問》

(1)役員退職慰労金支給規定に明記すれば、在職期間における報酬月額の平均を最終報酬月額のかわりに使用しても問題はないですか。

(2)事前確定届出給与を、報酬月額に含めることは可能ですか。
各事業年度の定期同額給与と事前確定届出給与を合算し、12で割った金額を最終報酬月額とする事は認められるでしょうか。

定期同額給与200,000円×12ヶ月+事前確定給与18,600,000円=21,000,000円
年間役員給与21,000,000円/12ヶ月=1,750,000円

よって、1,750,000円をベースに勤続年数と功績倍率を加味して算定。

(3)退職直前の3年間について、役員給与を大幅に下げた場合(200,000円)、それまで233ヶ月の間報酬月額1,750,000円であること、退職直前に大幅に引き下げたという特段の事情を総合勘案して、下げる直前の報酬月額(1,750,000円)を最終報酬月額として算定することは可能でしょうか。

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相続登記と贈与税

《質問》

 父が亡くなりました。父の相続人は私たち兄弟3人です。遺産分割協議はまだ行っていませんが、土地建物については、法定相続分どおりの共同相続登記の申請を私が行い、このたび登記が完了しました。
 今後、遺産分割協議が整い、私たち3人が1/3づつ共同相続している土地建物の持分が変更になった場合は、遺産分割のやり直しとして、贈与税が課税されるのでしょうか。
 なお、父の遺産額は相続税の基礎控除以下であったので、相続税の申告は行っていません。

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