完全子法人株式の判定について

《質問》

 今回、会社分割で2社に分離した会社のうち分割法人株式を取得し、残余財産の分配を受取るという取り引きが予定されています。
 その中で受取配当益金不算入における完全子法人株式の判定について、また前段の会社分割における適格要件についてもご教示ください。

【スキーム概要】
① 7月 3日 印刷業を営む法人を不動産部門と印刷部門に分割型分割で分離。
       不動産部門 : 分割法人A社、 印刷部門 : 分割承継法人B社とする。
② 7月31日 資本関係のないC社がA社株式を個人株主より取得。
         A社はC社の100%子会社となる。
③ 8月上旬  A社において、不動産の売買契約、8月下旬決済引き渡し。
④ 8月31日 上記不動産譲渡により会社の事業がなくなるため解散。
⑤ 9月30日 A社からC社に残余財産の分配。

【確認事項】
1.  上記②において株式の譲渡が予定されているため、会社分割は非適格分割という認識でよろしいでしょうか。なお分割承継法人は個人株主によって継続保有される見込みです。
2.  上記⑤で残余財産の分配が予定されていますが、残余財産の分配日の前日において100%完全支配関係がありますので、完全子法人株式として全額益金不算入の対象となると考えますが、間違いないでしょうか。
3.  ちなみに本件はみなし配当に該当するので、配当等の効力が生ずる日の前日において完全支配関係があるかどうかが完全子法人株式の判定基準になるかと思いますが、そもそも8月31日に解散申告を行うため、清算事業年度(9月1日から9月30日)を通じて完全支配関係があるため、「配当等の額の計算期間の初日から計算期間の末日まで継続して完全支配関係がある」とみて完全子法人株式として判断してよろしいでしょうか。

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中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却

《質問》

 個人(Aさん)が、中古で取得し、数年間、自己の居住用として使っていたマンションを貸付の用に供しました。そのマンションの建物部分について、令和5年分の減価償却費を計算しようと思うのですが、下記の算式でよいか確認をお願いします。
<目的のマンションの時系列>
①平成21年6月5日 新築(耐用年数:鉄筋コンクリート住宅用47年)
②令和3年5月25日 Aさん購入・居住開始、建物部分の取得価額23,358,890円
③令和5年3月30日 Aさん居住をやめて、賃貸開始

①~②までの期間は、居住用であったと思われます。
Aさん購入後に、目的のマンションについて、資本的支出は行われていません。

<令和5年分の減価償却費の計算>
1.業務の用に供した日における未償却残高相当額の計算
(1) 耐用年数:47年×1.5=70.5年→70年(1年未満切捨)→償却率0.015
(2) 上記②~③の経過年数:1年10か月→2年(6か月以上切上)
(3) 業務の用に供した日における未償却残高相当額
取得価額23,358,890円-23,358,890円×0.9×0.015×2年=22,728,200円

2.業務の用に供した後の減価償却費の計算
(1) 償却方法:令和3年5月取得のため、(新)定額法
(2) 業務の用に供した後の中古資産の耐用年数および償却率
・法定耐用年数:47年×12=564月
・経過年数:上記①~②の期間は、11年11か月と20日→11年11か月→143月
・耐用年数:(564-143)+143×20/100=449.6月→37.4666年→37年(1年未満切捨)
・償却率:耐用年数37年、定額法の償却率は、0.028
(3) 令和5年分の償却費の計算
取得価額23,358,890×0.028×月割り10/12=545,041円(1円未満切上)

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更正決定等の期間制限(法人税)

《質問》

 法人税の調査において、「純損失等の金額で当該課税期間に生じたものを増加、減少又はあるものとする更正」は、10年間行われることがあると聞きました。
 調査によって、5年、7年、そして10(9)年と処理が区々であり、どのような場合にどのような処理が行われるのか、国税の賦課・徴収に関する期間的な制限を交えたところで、説明してください。

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個人事業者の消費税還付について

《概要》

・喫茶店を経営する青色申告事業者
・課税売上1,000万円以下の免税事業者
・令和5年10月に1階が喫茶店、2階が貸店舗の建物を建築予定。建築資金7,700万円
・建物にかかる消費税の還付を受けたい

《質問》

1. インボイス登録申請について
 原則は令和5年3月までが提出期限であったが、猶予規定により、その年内中に提出も可能になったと理解。5月中に、令和5年10月~適用開始のインボイス申請書は提出可能ですか?

2. インボイス提出により、令和5年10月から課税事業者となり、簡易課税を選択しない場合、建物の仕入税額控除=消費税の還付を受けることは可能ですか?

3. 消費税の還付を受けた場合、建物が高額特定資産に該当することから、3年縛りの適用あり。この場合、令和6年以降の消費税計算は、いわゆる「激変緩和措置」の2割特例計算の適用は可能ですか?

4. 建物ではなく、1,000万円以下の調整対象資産を購入した場合の3年縛りについて、課税時事業者選択届を提出はしておらず、インボイス登録申請により課税事業者になったため、3年縛りの適用は受けませんか?

5. 建物が高額なため、妻(生計一・青色事業専従者ではない・会社勤務の給与所得者)と 1/2 の共有になります。仮に1階と2階が同じ建築費の場合、夫は1階部分 7,000 × 1/2 × 共有割合 1/2  =  1,750万の償却費を事業所得に計上し、2階部分を不動産所得に計上します。また、妻の1階部分1,750万の償却費を、所得税法上の生計一の規定により、家賃の代わりに、夫に計上します。
 消費税の計算では、1,750  +  1,750  =  3,500を仕入税額控除します。
 妻もインボイス登録申請を提出します。
 2階部分1,750万の償却を不動産所得に計上します。
 1階部分は生計-のため、家賃収入を計上しない代わりに、償却も、夫に計上するので、妻には計上しません。
 この場合、妻の消費税の計算で、仕入税額控除できるのは、2階部分のみでしょうか?
 仮に、1階部分について、適正な家賃の収受があった場合、所得税法上は収入・経費を認識しませんが、消費税法上は、1階・2階とも不動産賃貸物件として、仕入税額控除できませんか。

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課税期間の特例の選択について

《前提条件》

・会社員
・R3年から個人事業主(開業届出と青色申告承認申請書提出済み)として足場レンタル事業を開始し、レンタル収入が数百万円入った。
・R4年から業者と音信不通となりレンタル収入が入らなかった。
・R5年に業者より最後のレンタル収入として160万円が入ると連絡があったとのこと。
・現在、消費税免除事業者である。

《質問事項》

① R5年に太陽光発電設備を購入し消費税還付を受け取る場合は、基準期間のR3年度に課税売上(レンタル収入)があるため、短縮申告して「課税事業者選択届出書」を提出する必要があるとの認識でよろしいでしょうか?

② もしR6年に太陽光発電設備を購入し消費税還付を受け取る場合は、基準期間のR4年度に課税売上(レンタル収入)がないため、R6年12月末までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば短縮申告することなく消費税還付を受け取れるとの認識でよろしいでしょうか?

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インボイス登録に関する質問

《質問》

 以前から接骨院(柔道整復師)を個人で経営しております。
 収入は保険適用が約3分の2、他は自由診療分となります。自由診療は年間1,000万円超あるので消費税申告をしております。一般消費者が相手なのでインボイス登録しなくてもよいとの話を聞きましたが大丈夫でしょうか。

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取締役(非同族関係者)への自社株式譲渡価額と、取締役(非同族関係者)からの自社株式譲受価額

《質問》

 社長個人甲が100%の株式を所有している同族会社A社があります。

① 今回新たに取締役乙(同族関係なし)を選任することに伴い、社長甲が保有するA社株式の0.6%を、乙に譲渡することになりました。
 この時の譲渡価額は配当還元価額で問題ないでしょうか。

② 将来乙がA社の取締役を退任する際には①のA社株式を甲が乙から買い戻すことになっていますが、その際の譲受価額は相続税評価額(原則的評価方法)によらなければならないのでしょうか。

③ ②の事例で買い戻す当事者が甲個人ではなく、A社の場合(自己株式となる場合)、この場合も相続税評価額(原則的評価方法)によらなければならないのでしょうか。

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確定申告を要しない方から提出された確定申告書の撤回

《質問》

 個人Aはサラリーマンで、給与収入以外の所得は無く例年年末調整で課税関係が終了しています。今年は友人からの依頼により講演した報酬を20万円受領しましたので給与所得とともに確定申告をしました。納税額は6万円程ですが、申告した後、友人からの話によれば、確定申告書は提出する必要はなかったのではないかと指摘を受けました。この場合、更正の請求により税金を戻してもらうことはできませんか。

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同族会社が同族株主から自己株として買取る場合の株の評価

《前提条件》

① 甲(数年前までA株式会社の代表取締役。現在は退職。120株を所有、発行済株式200株 の 60%を所有)の所有株式120株すべてを、3,000万円で売却したい。
② A株式会社の純資産価額 1,700,000円 相続税評価上の純資産価額。
含み益なし → 法人税等の控除なし。3年以内の時価評価資産なし。
③ A株式会社の相続税評価額 700,000円 類似業種比準価額を考慮
甲が,発行会社であるA株式会社に,120株を売却 = 自己株式(金庫株)する場合において

質問1
 売却価額と取得価額(=発行価額50,000円)との差額=売却益は、配当所得に該当するでしようか?(相続による売却でない)

質問2
 売却する場合の適正な売却価額は、法人税及び所得税法上の純資産価額1,700,000円となりますか?

質問3
 この場合は、1株当たり1,700,000円 - 50,000円 = 1,650,000円の配当所得が発生し、総合課税される配当所得は、1,650,000 円× 120株 = 198,000,000円となりますか?

質問4
 純資産価額1,700,000円が適正な時価とした場合、相続税評価700,000円で売却した場合、時価の1/2以下になるため、みなし譲渡の規定の適用を受けられますか?
 みなし「譲渡」とありますが、配当所得にもみなし譲渡の規定が適用されますか?

質問5
 純資産価額1,700,000円が適正な時価とした場合、A株式会社には、1株当たり1,700,000円 - 700,000円 = 1,000,000円の受贈益が発生しますが、自己株式の取得は「資本等取引」に該当するため、損益には影響せず、A株式会社に対し受贈益課税は適用されないでしようか?

質問6
 純資産価額1,700,000円が適正な時価とした場合、株主から時価より著しく低い価額で資産を購入した場合、株価評価の増加額相当分の、当該株主から他の株主への贈与があったものとみなす「みなし贈与」の規定の適用を受けられますか?

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