土地等の評価・計6回《第3回》

【土地等の評価】《第3回》

Ⅲ 宅地の評価における評価方式

1 評価方式(評価通達11)
宅地の評価は、原則として、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる方式によって行います。
(1)市街地的形態を形成する地域にある宅地
路線価方式

路線価 × 画地調整率 × 地積 = 評価額

 ※「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を使用して評価します。

(2)(1)以外の宅地
倍率方式

固定資産税評価額 × 倍率 = 評価額
評価しようとする宅地が「路線価方式」と「倍率方式」とのどちらの方式により評価するかは、国税庁ホームページに掲載されている「評価倍率表」に示されています。
 具体的には、「評価倍率表」の「適用地域名」の「宅地」の欄が「路線」と表示されている地域は「路線価方式」により評価し、「0.0倍」と表示されている地域は、「倍率方式」により評価します。

〇路線価図・評価倍率表の閲覧(国税庁ホームページの使い方)
〇路線価図の説明
〇評価倍率表の説明

2 路線価方式等(評価通達13ほか)
(1)路線価方式
 路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、奥行価格補正、側方路線影響加算、不整形地補正などの画地調整を行って評価額を算出する方式をいいます(評価通達13)。

画地調整
 路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいいます。)ごとに設定されており、その路線に面する標準的な画地の1㎡当たりの標準価額です。
 したがって、路線価方式においては、実際に評価する宅地の状況、形状等が標準的なものでない場合には、路線価を基として一定の加算又は減算(これを画地調整といいます。)を行う必要があります。

(2)路線価
 路線価は、路線に接する宅地で次に掲げる全ての事項に該当するものについて、売買実例価額、地価公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として評定しています(評価通達14)
① その路線のほぼ中央部にあること
② その一連の宅地に共通している地勢にあること
③ その路線だけに接していること
④ 標準的な間口距離及び奥行距離を有するく形又は正方形のものであるこ

(3)地区区分(評価通達14-2)と画地調整率
イ 路線価地域については、宅地の利用状況がおおむね同一と認められる一定の地域ごとに、①ビル街地区、②高度商業地区、⑤繁華街地区、④普通商業・併用住宅地区、⑤普通住宅地区、⑥中小工場地区及び⑦大工場地区の7地区を定めています。
 なお、路線価方式により宅地を評価する場合の画地調整率は、宅地の利用状況によって、当該宅地の形状が価格形成に影響する度合いが異なることから、これら7地区に区分して定められています。
ロ 画地調整率には、①奥行価格補正率、②側方路線影響加算率、③二方路線影響加算率、④不整形地補正率、⑤間口狭小補正率、⑥奥行長大補正率、⑦がけ地補正率及び⑧規模格差補正率があります。
※平成30年1月1日以降に相続、遺贈又は贈与により取得する宅地で一定の要件を満たすものは、「地積規模の大きな宅地の評価」の定めを適用して評価します。この改正に伴い、広大地の評価は廃止されました。具体的な補正率は、「土地及び土地の上に存する権利の調整率表」を参照してください。

(4)奥行価格補正(評価通達15)
 一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価格にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。

正面路線価 × 奥行価格補正率 × 地積 = 評価額
奥行距離の求め方
 奥行距離は、原則として正面路線に対し垂線的な奥行距離によります。
 また、奥行が一定でない不整形地の奥行距離については、当該不整形地の面積を間口距離で除して求めます(ただし、想定整形地の奥行距離を限度とします。)。

○質疑応答事例【不正形地の奥行距離の求め方】
○質疑応答事例【間口距離の求め方】
○質疑応答事例【屈折路に面する宅地の間口距離の求め方】

(5)側方路線影響加算(評価通達16)
 一般的に、正面と側方に道路がある宅地(以下「角地(かどち)」といいます。)は、利用間口が大きくなって、出入りの便が良くなるほか、採光、通風にも有利になるため、側方道路の影響を受け、正面道路だけに接する宅地よりも価額が高くなります。
 このような考え方に基づいて、正面と側方に道路がある場合においては、「側方路線影響加算率」を用いた評価方法を定めており、角地は、次の①及び②に掲げる価額の合計額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
これを算式で示せば次のとおりとなります。

①正面路線価 × 正面路線の奥行価格補正率
②側方路線価 × 側方路線の奥行価格補正率 × 側方路線影響加算率
 (①十②)× 地積 = 角地の評価額

○質疑応答事例【正面路線価の判定(1)】
          路線価      奥行価格補正率
 a路線 4, 000, 000 × 0. 96 = 3, 840, 000円
          路線価     奥行価格補正率
 b路線 3, 900, 000 × 1.00 = 3, 900, 000円

 a < b よってb路線が正面路線として評価する。

《評価額の計算》
    正面路線価    奥行補正率    側方路線価     奥行補正率  側方影響加算    地積
 (3,900,000 × 1.00 十 4,000,000 × 0.96 × 0.10 ) × 1, 800㎡
    評価額
= 7,711,200, 000円

(6)二方路線影響加算(評価通達17)
 一般的に、正面と裏面に道路かおる宅地(以下「二方(にほう)路線地」といいます。)は、出入りの便が良くなるほか、採光、通風にも有利になるため、正面道路だけに接する宅地よりも価額が高くなります。
 このような考え方に基づいて、正面と裏面に道路がある場合においては、「二方路線影響加算率」を用いた評価方法を定めており、二方路線地の価額は、次の①及び②に掲げる価額の合計額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
 これを算式で示せば次のとおりとなります。

正面路線価 × 正面路線の奥行価格補正率・・・①
裏面路線価 × 裏面路線の奥行価格補正率 × 二方路線影響加算率・・・②
 (①十②)× 地積 = 二方路線地の評価額

○タックスアンサー【NO.4604路線価方式による宅地の評価】

(7)三方又は四方路線影響加算(評価通達18)
 三方又は四方に道路がある宅地の価額は、上記(5)の「側方路線影響加算」及び上記(6)の「二方路線影響加算」を併用して計算します。

(8)不整形地補正(評価通達20)
イ 不整形地の評価方法(概要)
 一般的に、不整形地は、その利用価値が、画地の全部が宅地としての機能を十分に発揮できないため、整形地に比しその価額が低くなります。
 このような考え方に基づいて、標準的な整形地としての価額である路線価を、不整形の程度に応じて補正した上で不整形地の価額を評価することとしています(この補正を「不整形地補正」といいます。)。
 評価通達20では、次の(イ)から(ニ)までのいずれかの方法により評価通達15 ((奥行価格補正))から18((三方又は四方路線影響加算))までの定めによって評価した価額に、不整形地の程度、位置及び地積の大小に応じた「不整形地補正率」を乗じて評価することとしています。また、(ホ)のように、不整形地としての評価を行わない場合もあります。
(イ)不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法
(ロ)不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法
(ハ)不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」といいます。)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法
(ニ)近似整形地を求め、隣接する整形地と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから隣接する整形地の価額を差し引いた価額を基として計算する方法
(ホ)不整形地としての評価を行わない場合
 不整形地補正は、上記のように画地の形状が悪いことによって画地の全部が宅地としての機能を十分に発揮できないための補正であるから、画地の形状が完全な正方形又はく形でないとしても、画地の面積がおおむね適正規模か若しくはそれ以上の広さがあり、かつ、不整形の程度が小さい場合など、宅地としての利用に当たり特に支障がないものは補正は行いません。

ロ 想定整形地の取り方の具体例
 「想定整形地」とは、原則評価する不整形地の画地全体を囲む、正面路線に面するく形又は正方形の土地をいいます。

想定整形地の取り方の具体例は、次のとおりです。

キャプチャ

○質疑応答事例【屈折路に面する不整形地の想定整形地のとり方】

ハ 不整形地の評価方法(具体例)
 不整形地の評価方法は上記イ(イ)から(ニ)までのいずれかの方法により「不整形地補正率」を乗じて評価することとしています。
○質疑応答事例【不正形地の評価】

(9)地積規模の大きな宅地の評価(評価通達20-2)
 平成30年1月1日以降に相続、遺贈又は贈与により取得する宅地で一定の要件を満たすものは、「地積規模の大きな宅地の評価」の定めを適用して評価します。
この改正に伴い、広大地の評価は廃止されました。
イ 地積規模の大きな宅地の評価の趣
 地積規模の大きな宅地の評価では、新たに「規模格差補正率」を設け、「地積規模の大きな宅地」を戸建住宅用地として分割分譲する場合に発生する減価のうち、主に地積に依拠する次の①から③の減価を反映させています。
① 戸建住宅用地としての分割分譲に伴う潰れ地の負担による減価
② 戸建住宅用地としての分割分譲に伴う工事・整備費用等の負担による減価
③ 開発分譲業者の事業収益・事業リスク等の負担による減価

ロ 地積規模の大きな宅地の評価の適用対象
 上記イのとおり、「地積規模の大きな宅地の評価」は、戸建住宅用地として分割分譲する場合に発生する減価を反映させることを趣旨とするものですので、戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地が対象となります。
 したがって、三大都市圈では500㎡以上の地積の宅地、それ以外の地域では1,000㎡以上の地積の宅地であって、次の①から④に該当するもの以外のものが「地積規模の大きな宅地」となります。
① 市街化調整区域(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除きます。)に所在する宅地
② 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
③ 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
④ 倍率地域に所在する評価通達22-2 ((大規模工場用地))に定める大規模工場用地
 そして、「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象となる宅地は、路線価地域においては、「地積規模の大きな宅地」に該当する宅地であって、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものとなり、倍率地域においては、「地積規模の大きな宅地」に該当する宅地となります。

※ 三大都市圈の具体的範囲
 「地積規模の大きな宅地の評価」は、三大都市圏では500㎡以上、それ以外の地域では1,000㎡以上の宅地という地積規模を満たすことを前提としており、次の①から③の地域をいいます。
① 首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
② 近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域
③ 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

《参考》平成28年4月1日現在において三大都市圈に該当する市区町村

圈 名 都道府県名         都  市  名
首都圏 東京都 全域 特別区、武蔵野市、八王子市、立川市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市.武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市、瑞穂町、日の出町
埼玉県 全域 さいたま市、川越市、川口市、行田市、所沢市、加須市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、日高市、吉川市、ふじみ野市、白岡市、伊奈町、三芳町、毛呂山町、越生町、滑川町、嵐山町、川島町、吉見町、鳩山町、宮代町、杉戸町、松伏町
一部 熊谷市、飯能市
千葉県 全域 千葉市、市川市、船橋市、松戸市、野田市、佐倉市、習志野市、柏市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ヶ谷市、浦安市、四街道市、印西市、白井市、富里市、酒々井町、栄町
一部 木更津市、成田市、市原市、君津市、富津市、袖ヶ浦市
神奈川県 全域 横浜市、川崎市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、綾瀬市、葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、開成町、愛川町
一部 相模原市
茨城県 全域 龍ケ綺市、取手市、牛久市、守谷市、坂東市、つくぼみらい市、五霞町、境町、利根町
一部 常総市
近畿圏 京都府 全域 亀岡市、向日市、八幡市、京田辺市、木津川市、久御山町、井手町、精華町
一部 京都市、宇治市、城陽市、長岡京市、南丹市、大山崎町
大阪府 全域 大阪市、堺市、豊中市、吹田市、泉大津市、守口市、富田林市、寝屋川市、松原市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、大阪狭山市、忠岡町、田尻町
一部 岸和田市、池田市、高槻市、貝塚市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、河内長野市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、東大阪市、泉南市、四條畷市、交野市、阪南市、島本町、豊能町、能勢町、熊取町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村
兵庫県 全域 尼崎市、伊丹市
一部 神戸市、西宮市、芦屋市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町
奈良県 全域 大和高田市、安堵町、川西町、三宅町、田原本町、上牧町、王寺町、広陵町、河合町、大淀町
一部 奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五條市、御所市、生駒市、香芝燉、葛城市、宇陀市、平群町、三郷町、斑鳩町、高取町、明日香村、吉野町、下市町
愛知県 全域 名古屋市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、津島市、碧南市、刈谷市、安城市、西尾市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、みよし市、あま市、長久手市、東郷町、豊山町、大口町、扶桑町、大治町、蟹江町、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武匐叮、幸田町、飛島村
一部 岡崎市、豊田市
三重県 全域 四日市市、桑名市、木曽岬町、東員町、朝日町、川越町
一部 いなべ市

(注)「一部」の欄に表示されている市町村は、その行政区域の一部が区域指定されているものです(市町村合併による行政区画の変更以外の軽微な変更については考慮していません。)。

「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象の判定のためのフローチャート
キャプチャ2

ハ 評価方法
(イ)路線価地域の場合
 「地積規模の大きな宅地の評価」に係る評価方法は、「地積規模の大きな宅地」に固有の補正率である「規模格差補正率」を乗じて評価するほかは、通常の宅地の場合と同様です。
 具体的には、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在する「地積規模の大きな宅地」については、正面路線価を基に、その形状・奥行距離に応じて評価通達15 ((奥行価格補正))から20((不整形地の評価))までの定めにより計算した価額に、その宅地の地積に応じた「規模格差補正率」を乗じて計算した価額によって評価します。
これを具体的な算式で表すと、次のとおりとなります。

キャプチャ3

(ロ)倍率地域の場合
 倍率地域に所在する「地積規模の大きな宅地」については、評価通達21-2((倍率方式による評価))本文の定めにより評価した価額が、その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額(注)を評価通達14 ((路線価))に定める路線価とし、かつ、その宅地が評価通達14- 2 ((地区))に定める普通住宅地区に所在するものとして「地積規模の大きな宅地の評価」(評価通達20- 2)の定めに準じて計算した価額を上回る場合には、「地積規模の大きな宅地の評価」(評価通達20- 2)の定めに準じて計算した価額により評価します。
 すなわち、倍率地域に所在する「地積規模の大きな宅地」の価額は、原則として、その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した金額によって評価することになりますが、その金額が「地積規模の大きな宅地の評価」(評価通達20-2)の定めに準じて計算した金額を上回る場合には、「地積規模の大きな宅地の評価」(評価通達20- 2)の定めに準じて計算した価額により評価します。
(注)「その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額」は、付近にある標準的な画地規模を有する宅地の価額との均衡を考慮して算定する必要があります。具体的には、評価対象となる宅地の近傍の固定資産税評価に係る標準宅地の1平方メートル当たりの価額を基に計算することが考えられますが、当該標準宅地が固定資産税評価に係る各種補正の適用を受ける場合には、その適用がないものとしたときの1平方メートル当たりの価額に基づき計算することに留意してください。
○質疑応答事例【地積規模の大きな宅地の評価計算例①~⑤】

(10)無道路地の評価(評価通達20-3)
 一般的に、無道路地(注)は、道路に接している宅地に比べると、その利用価値は低くなります。
 無道路地の価額は、実際に利用している道路の路線価に基づき評価通達20((不整形地の評価))又は20-2 ((地積規模の大きな宅地の評価))の定めによって評価した価額から、その価額の40%の範囲内において相当と認める金額を控除して評価することとしています。
 また、この「40%の範囲内において相当と認める金額」は、評価する無道路地について、接道義務に基づき最小限度の通路を開設する場合の、その通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)としています。
 これを算式で示せば、次のとおりとなります。

キャプチャ4

(注)無道路地とは、道路に接しない宅地をいい、建築基準法その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(「接道義務」)を満たしていない宅地を含みます。
○質疑応答事例【無道路地の評価】

(11)間口が狭小な宅地の評価(評価通達20-4)
 一般的に、宅地の価値は、道路に接する部分、すなわち、間口の広狭に影響されます。
 正面のほかに側方でも道路に接している角地や、裏側等でも道路に接している二方路線地、三方路線地、四方路線地などは、道路に接する間口が広く、宅地としての利用効率が大きいことから、側方路線影響加算や二方路線影響加算などを行って評価しています。
 一方、間口が狭小な宅地は、宅地としての利用効率が低下しているので、通常の規獏の間口を有する宅地を前提として定められている路線価を、その利用効率の低下している程度に応じて減額をする必要があります。
 このような考え方に基づいて、間口が狭小であることによる利用効率の低下の程度に応じ、間口が狭小な宅地(不整形地及び無道路地を除きます。)の価額を評価することとしています(この補正を「間口狭小補正」といいます。)。
評価通達20- 4では、間口が狭小な宅地の価額は、評価通達15 ((奥行価格補正))から評価通達18 ((三方又は四方路線影響加算))までの定めにより計算した1㎡当たりの価額に、間口狭小補正率及び地積を乗じて計算した価額によって評価すると定められています。
 これを算式で示せば、次のとおりとなります。

路線価 × 奥行価格補正率 × 間口拱小補正率 × 地積
 = 間口が狭小な宅地(不整形地及び無道路地を除く)の評価額

 なお、その宅地が評価通達20- 2((地積規模の大きな宅地の評価))に定める用件を満たす場合には、その宅地の価額は、間口狭小補正をした後の価額に同通達に定める規模格差補正率を乗じて計算した価額により評価します。

(12)奥行が長大な宅地の評価(評価通達20-4)
 例えば、道路に対して細長い宅地(奥行が長大な宅地)など、間口と奥行との均衡が取れていない宅地は、宅地としての利川効率が低下します。
 一方で、路線価は、間口と奥行とが均衡のとれたた宅地における価格として付されているものであり、奥行価格補正率も間口と奥行とが均衡のとれた宅地を前提として定められています。
 そのため、奥行が長大な宅地を評価する場合には、奥行価格補正率を乗じた後の価額に、更に、奥行長大補正率を乗じて評価することとしています。
 これを算式で示せば、次のとおりとなります。

路線価 × 奥行価格補正率 × 奥行長大柿正率 × 地積
 = 奥行が長大な宅地(不整形地及び無道路地を除く)の評価額

 なお、その宅地が評価通達20- 2((地積規模の大きな宅地の評価))に定める用件を満たす場合には、その宅地の価額は、奥行長大補正をした後の価額に同通達に定める規模格差補正率を乗じて計算した価額により評価します。

(13)がけ地等を有する宅地の評価(評価通達20-5)
 宅地の一部にがけ地など通常の用途に供することができないものと認められる部分かある宅地にあっては、相応の減額を行って評価する必要があります。
 そのため、がけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地の価額は、がけ地等の部分ががけ地等でないとした場合の価額に、その宅地の総面積に対するがけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分の地積の割合に応じた「がけ地補正率」を乗じて評価することとしています。
これを算式で示せば、次のとおりとなります。

キャプチャ5

(注)がけ地の方位は、次により判定します。
1 がけ地の方位は、斜面の向きによります。
2 2方位以上のがけ地がある場合は、次の算式により計算した割合をがけ地補正率とします。

キャプチャ6

3この表に定められた方位に該当しない「東南斜面」などについては、がけ地の方位の東と南に応ずるがけ地補正率を平均して求めることとして差し支えありません。

3 倍率方式(評価通達21-2)
 倍率方式とは、その宅地の固定資産税評価額に「倍率」を乗じて評価額を算出する方式(評価通達21)をいい、倍率は、地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある宅地の売買実例価額、地価公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として評定しています(評価通達21- 2)。

4 特定路線価(評価通達14-3)
 「特定路線価」とは、相続税又は贈与税の課税上、路線価地域内において、路線価が設定されていない道路のみに面している土地を評価する必要がある場合に、納税者からの申出に基づき設定された路線価です。
 特定路線価は、原則として「建築基準法上の道路等」に設定しています。
 なお、「建築基準法上の道路等」とは、建築物の建築に必要とされる道路等であり、次のものをいいます。
 「建築基準法第42条第1項1号~5号又は第2項」に規定する道路
 「建築基準法第43条第1項ただし書き」に規定する道路

(1)特定路線価による評価
 特定路線価が設定された場合、当該特定路線価を基にして、奥行価格補正、不整形地補正などの画地調整を行って評価額を算出します。

特定路線価 × 画地調整率 × 地積 = 評価額

(2)特定路線価に係る申出
 「特定路線価設定申出書」に「別紙 特定路線価により評価する土地等及び特定路線価を設定する道路の所在地、状況等の明細書」、「特定路線価設定申出書の提出チェックシート」及び物件案内図、地形図、道路の状況がわかる写真等の資料を添付して、提出してください。
※「特定路線価設定申出書」等の様式は、国税庁ホームページに掲載されています。

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