役員社宅取得に係る消費税額控除について

《質問》

 役員から使用料を徴収せずに無償で貸し付ける社宅の取得費は、消費税の仕入税額控除の対象となるのでしょうか?
 役員に無償で社宅を貸与する場合には、賃借料相当額が給与として課税されます。
 従って、契約上無償で貸付を行い、法人は別表で賃借料相当額を加算し、役員には現物給与として賃借料相当額を所得税の課税対象としています。
 この場合には、無償で貸し付ける社宅となり、消費税の仕入税額控除の対象となるのでしょうか。それともこの無償で貸し付ける契約は無効なのでしょうか?

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無対価合併が適格合併に該当するかどうか

《概要》

・合併前  甲氏  乙氏(甲氏の配偶者)  甲氏
      ↓30% ↓70%         ↓100%
         A社            B社

・合併後  甲氏  乙氏(甲氏の配偶者)
      ↓30% ↓70%
         A社

《各種情報》

 B社を被合併法人とする吸収合併を行った(A社が存続する)。
 A社は、株主に対して合併による新株発行は行わない(資本金の増加なし・金銭等の交付もなし)。
 A社・B社とも設立以来、株主の異動はなく、A社は自動車パーツの卸売業・B社は自動車パーツの小売業を行っている。
 乙氏は甲氏の配偶者であることから、A社・B社に法人相互の完全支配関係がある。

《質問》

 本件合併は、適格合併に該当するでしょうか。適格合併に該当しない場合、下記の参考資料の理由から非適格合併(適格合併でない)となるとの認識でよろしいでしょうか。

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非上場株式の買取価額について

《前提》

A社(6月決算)の
(1)株主構成(株、議決権も同じ)
 K氏        40株
 K氏の母    10
 N氏     20
 N氏の子   40
 N氏の子   40
 自己株式   50
 合計     200株
 (注)K氏とN氏は他人です。
自己株式は昨年K氏の兄、死亡時に買い取ったものです。

(2)株式の評価(相続税基本通達)(5月末現在)
 第3表
 ① 類似業種比準価格          10,000千円
 ② 1株あたりの純資産額       15,000千円
 ③ 1株あたりの純資産額の80%相当額   12,000千円
(注)A社の規模は大会社に該当

(3)A社は銀行から融資を受けて、K氏とK氏の母の株式を買い取ろうとしています。

(4)昨年、K氏の兄から買い取った価額は、小会社の評価により1株850万円でした。

《質問》

(1)今回の買い取り価額はいくらが妥当ですか。
また、その根拠を教えて下さい。
(2)所基通23~35共-9(4)により、売買実例のあるものとして、1株850万円で売買は可能ですか。
(3)契約日は、2月が先方の希望のようですが、銀行の融資は、本年6月の決算で計上しておかないと、おかしいでしょうか。

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支払った管理料が過大となっていたため過年分に遡及して返金を受けた場合の処理

《質問》

 個人Aは不動産貸付業(事業的規模)を営み確定申告を行っています。不動産管理会社へ支払う管理料は、当初受け取った収入の5%相当額とし、4年経過後は3%に減額する旨の取り決めとなっていました。しかしながら、Aは支払額を減額することなく5%相当する額を7年にわたり払い続けました。この度、誤りに気が付いて管理会社は払い過ぎとなっていた額をまとめて返還すると連絡してきましたこのような場合、どのように申告をしたらよいかご教示願います。
 参考までに固定資産税の金額が課税誤りにより過大になっていた金額を遡及して還付を受けた場合、受領した時の収入金額として計上すべきだとの裁決事例があります(平30.2.13付)。

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解散決算登記後の処理と株価計算について

以下の法人は、いずれも中小企業に該当する7/31決算法人です。

 オーナー甲とその同族会社である不動産所有会社S社(オーナー一族及び別の同族会社H社が100%出資)が株主であるグループの事業中核会社R社(オーナー甲60%とS社40%が出資)の解散清算を近々予定しており、その清算結了登記後のS社での処理とS社の株価計算についての質問です。私はR社の顧問をしておりますが、S社とH社は別の税理士が担当しております。

《質問1》
 そもそもR社は、オーナー甲とその同族会社S社からすると、その所有形態は、「一の者による直接・間接(みなし直接)の完全支配関係にある」子会社と考えられるでしょうか?

《質問2》
 完全支配関係にあるとした場合、S社のB/S上の①貸付金債権放棄損失(貸倒損失)と②投資有価証券の消滅損とが損金計上可能か否かについてですが
(1) ①については、過去の支援状況からして「子会社の解散等に伴う当該子会社等のための損失負担に「合理的な整理計画」の下で経済的合理性がある場合には寄附金には該当しない」というケースに当たらないとすれば、グループ法人税制の「完全支配関係がある内国法人間の寄附」として、全額損金不算入、全額益金不算入ということになるのでしょうか?

(2) ②の有価証券消滅損は、完全支配関係子会社間損金不算入(資本金の40%相当分)となり、別表4加算と別表5(1)でのⅠ(利益積立金増)とⅡ(資本積立金減)の振替処理とすべきでしょうか?それと解散法人R社の繰越欠損金は、親会社S社への引継ぎが可能となるという理解でよいでしょうか?

《質問3》
 S社の株価計算について、中会社の小に該当する場合、類似業種比準価額の算定上の純資産価額は別表5(1)のⅠ(利益積立金増)とⅡ(資本金等の額減)がベースとなる為変わりませんし、年利益金額でも「引き継いだR社の繰越欠損金」は有ったとしても減額にならず、第5表の純資産価額(相評)での投資有価証券が消えて純資産が減るという点だけが株価下落要因になるだけでしょうか?

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居住用賃貸建物取得等に関連する処理

《質問》

 令和2年10月1日以降、居住用賃貸建物の取得等にかかる消費税等については、仕入税額控除の対象にならないこととなりました。
この改正に関して2点教えて下さい。

①  土地にかかる仲介手数料
 建物4土地6の比率の物件(建物は居住用賃貸物件で貸付けの用に供する予定です。)を購入し、仲介手数料が110万円であった場合には、建物分44万円、土地分66万円と仲介手数料を分けると思います。
 その際の建物分44万円に含まれる消費税等4万円は控除できないと思いますが、一括比例配分式等で計算している場合、土地分66万円に含まれる消費税等6万円は仕入税額控除の対象にしてよろしいのでしょうか。

②  繰延消費税額等の金額
 課税売上割合が40%で、建物にかかる消費税額等が500万円であった場合、従来通り計算すると繰延消費税額等は300万円になると思います。
 しかし、改正により40%分200万円も仕入税額控除をしてないことになりますので、500万円全額が繰延消費税額等に該当するのでしょうか。

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合併に伴い被合併法人の役員に対し退職金を支給することの是非と退職所得控除

《質問》

 A社(合併法人:平成8年1月設立)はB社(被合併法人:平成10年3月設立)を令和3年9月に吸収合併することになりました。B社では合併することを機に設立時からの代表者甲に対し、退職金を支給することを予定しています(B社は未払金処理、A社で支給)。甲はA社においても代表者であり、引続きA社の代表者に止まりますが退職金の支給についての課税上の問題はありませんか。
 なお、甲は、3年前にA社に吸収合併されたC社からも退職金の支給を受けていますが(勤続年数 8年:勤続期間 平成22年~30年)、このような場合の退職所得控除額の計算はどのようになりますか。

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生計一親族の居住用宅地に係る小規模宅地の特例について

《前提》

相続関係
A:被相続人(本人)
B:妻
C:長男

相続財産の概要
下記自宅以外に相続財産なし(借入金等なし)
区分登記されている
   キャプチャ231

自宅の概要
底地:Aが80/100、Bが20/100所有
建物
・1階及び2階の1/3と2階残りの2/3で区分登記されている
1階全てと2階の1/3がB・Cの共有(各1/2所有)
2階の2/3部分はAの所有として区分登記されており、専用玄関・バス・トイレ・キッチン等が完備
 (将来賃貸に出すことを前提に設計している)
2階の2/3部分と残りの部分は内部で自由に往来できる状態
実態として.2階の2/3部分に長男家族が生活している
ただし、日頃の食事や入浴は適宜共有しながら建物全体をA・B・Cで共同利用していた

生計状況
AとBは生計を共にしている
Cは日ごろの生活費(食事代、日常品代、水光熱等)をA・Bと明確な区別なく適宜負担していた
・AとBはともにCの所得税上の扶養親族となっていない

《質問》

上記の場合、小規模宅地の特例を適用できるか否か。
適用できる場合にはその範囲はどこまでか。

キャプチャ225

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低額家賃の場合の小規模宅地の特例の適否について

《質問》

 特定同族会社事業用宅地等においては、事業の用に供されている宅地等が該当することになっています。
 甲個人(A法人と同族関係)がA法人に、建物を賃貸している場合、賃料の支払が「相当な対価」でないと事業の用に供していないことになり、小規模宅地等の特例の適用はないと思います。なお、本件の場合は世間相場の半額程度ですが必要経費(固定資産税、減価償却費、保険料等)を回収した後においても受取家賃の40%程度の所得が生じます。
 この「相当の対価」を、どのように決めたら良いかという質問です。

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特定新規設立法人の特例 法人成り

《質問》

   次のような事実関係の下で、法人成りした「A」社は特定新規設立法人
  に該当しますか。

   ①   個人事業者「甲」は、令和3年7月20日に法人成りで法人「A」を
      設立する(資本金:500万円)。
   ②  「甲」の消費税申告状況
    ・平成30年(開業) 免税事業者
    ・令和元年 課税事業者  課税売上高  4億6千万円
    ・令和2年    課税事業者  課税売上高 7億円
   ③  「A」社について
    ・社長:「甲」
    ・株主:甲が100%出資

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