・財産評価基本通達による株価評価
その会社の従業員数、総資産額、取引金額により会社の規模を判定し、大会社、中会社、小会社に分けて評価方法を規定
この規定は相続とか贈与の場合の評価規定であり売買の場合の規定ではありませんが、個人対個人の売買についての規定はどこにもないのでB/Kはこの規定を類推準用しています。
その結果としてA社の株価は1株当たり10,000円となり、社長の所有株は40,000株であり4億円と計算しています。
これはこれで常識的な帰結である事は否定しません。
同族会社が個人の土地を取得した場合における自然発生借地権の取扱い
《質問》
同族会社(一族経営)である法人Aは、同法人の役員であるBの土地を借りて建物を建築し、不動産賃貸を行っております。
今回、Bの土地を法人Aにて買い取ることを検討しております。
法人Aは個人Bに対して、借地権の設定に当たり、権利金に代えて相当の地代を支払う事としておりました。その後、当初の地代の額を据え置き、土地の価額が上昇したことにより、実際に支払っている地代の額が相当の地代に満たないことになるため、自然発生借地権が法人Aに帰属している状態です。
このような場合に土地を買い取ると借地権は消滅すると考えますが、土地の譲渡価額は自用地(借地権 + 底地)で買い取るべきか、それとも底地部分のみで買い取るべきでしょうか。
太陽光発電設備の敷地にかかる借地権について
《質問》
太陽光発電 ➡ 役員所有
その地基地 ➡ 当該役員の父親所有
このうち、太陽光設備を役員から法人が買取りました。
この場合、借地権の問題は発生するのでしょうか。
また、発生するとした場合に相当の地代の支払をすることにより借地権の認定課税の対象とならないという理解でよろしいでしょうか。
法人税調査における処分科目の考え方について(2)
前回に引き続き「法人税調査における処分科目の考え方について」のご説明を致します。
法人税調査における処分科目の考え方について(1)
「法人税調査における処分科目の考え方について」を、2回に分けて解説いたします。
《質問》
当事務所の顧問先が法人税調査を受けました。
売上を帳簿に計上せずに、社長が私的に使ってしまったということで、担当者から「社長さんが、売上に計上せずに私的に使ってしまったので『認定賞与』です。」と言われました。
また、別の調査の際、同じような事案の時に、「社長に対する貸付金にします。借用書を作成し、会社へ返済してください。」と言われました。
これらの処分の意味と、税務当局の判断基準について教えてください。
執行役員就任時における退職金の打ち切り支給について
《前提》
① 会社で執行役員制度を設けることにして、その形は委任型にする予定です。
※執行役員を退任した場合、再雇用の問題があります。
② 会社の定年は65歳、取締役の定年は63歳
③ 使用人が執行役員になったときは、退職金の打ち切り支給をします。
それで、使用人から執行役員になったときに退職金の打ち切り支給をして、65歳まで執行役員であれば、退職金の打ち切り支給は退職金課税だと思います。
あるいは、打ち切り支給しないで65歳で執行役員を辞めたとき退職金を支払えば退職金課税だと考えます。
《質問》
① 使用人(58歳)から執行役員(委任型) (63歳)経て使用人になって(65歳)で退社
この場合は58歳に打ち切り支給した場合、再雇用されているので、通達に関するQ&A(所基通30-2の2に関するQ&A 下記参考資料【国税庁ホームページより】)の問6は、「労働慣行や当事者間の契約」と言っているので、当社の定年が65歳なので、問6のように「Aは社内事業にも精通~再雇用することにした」の要件には当てはまらないと考えます。
従って、この例だと「過去に支給した退職金を給与所得として是正」しなければいけないと思っていますがその認識で合っているでしょうか。
② 使用人(58歳)から執行役員(委任型)(60歳)、取締役(63歳※取締役は使用人兼務役員 でない)で退社
この場合、執行役員になる時に打ち切り支給して、取締役になる時にも打ち切り支給までは基本通達に関するQ&Aの問2に記載されてるので、おそらく2回とも退職所得だと思います。
③ 問題は、執行役員になる時(58歳)と、取締役になる時(60歳)、使用人になる時(63歳)で退社の時(65歳)の場合は、どう考えるかわかりません。
一旦、取締役なれば、執行役員で再雇用されていても58歳の退職所得は給与所得として是正しなくても良いとか或いは是正しないといけないのか。
また、取締役が兼務役員の場合は63歳の支給はなく65歳での支給になります。
役員報酬について(事前確定届出給与)
《前提》
・A社は8月決算の内国法人である
・前期の決算後、令和4年8月31日支給とする事前確定届出給与の届出を行った
・役員4人に対して、月額報酬の3ヶ月分を支給額とする内容であった
・A社は本年の業績を考慮して、役員賞与に2ヶ月分上乗せすることを検討
《質問》
1 8月31日に2ヶ月分上乗せした役員賞与を支給した場合、5ヶ月分金額が税務上否認されることとなるが、8月中の別日に2ヵ月分を支給した場合、税務上の扱いはどうなるか。
2 当初届出額の3ヶ月分は届出通りの支給であり損金算入、別日で支給した2ヶ月分は事前確定届出給与に該当せず損金不算入として取り扱えないか検討中。
3 仮にこの扱いができる場合は、目安として当初支給日より何日前に支給した方がよいか。
相続があった場合の所得税・消費税の取扱いについて
《質問》
不動産賃貸業を行っている個人甲が令和3年6月末に死亡しました。
賃貸不動産収入はA物件とB物件から生じ、いずれも消費税の課税対象です。
相続人は長男と次男だけで、令和4年3月末の遺産分割協議でA物件は長男が、B物件は次男が相続することになりました。
賃貸収入(課税売上)は、毎年同額で、不動産Aが年額1200万円(100万円/月)、不動産Bが600万円(50万円/月)です。
令和3年分~5年分までの所得税の申告、消費税の納税義務の判定は具体的にどのようになりますか。
なお、長男、次男はサラリーマンで課税売上になる収入はありません。
《さくら税研からのアドバイス》
【所得税関係】
⑴ 令和3年1月から6月までの収入
被相続人甲帰属の収入として準確定申告を行います。
⑵令和3年7月以降の収入
遺産分割が確定していない間は、相続財産は相続人である長男と次男の共有に属するものとされ、各相続人が法定相続分に応じて申告することになります。
遺産分割協議が整い分割が確定すれば、それ以後の申告は確定したとおりに申告することになります。
なお、分割が確定しても、未分割の期間の所得の帰属に影響を及ぼすものではありません。したがって、分割が確定したことを理由とする更正の請求や修正申告をすることはできません(最高裁判決17年9月8日参照)。
相続前と相続後の所得税(不動産分)の申告は次表のとおりとなります。
(単位:万円)
元年分 | 2年分 | 3年分 | 4年分 | 5年分 | |
被相続人 甲 | 1800 | 1800 | 900 | ― | ― |
相続人 長男 | ― | ― | 450(注1) | 1125(注2) | 1200 |
相続人 次男 | ― | ― | 450(注1) | 675(注2) | 600 |
注1 (100万円+50万円)×6月×1/2=450万円
注2 (100万円+50万円)×3月×1/2=225万円
長男100万円×9月+225万円=1125万円
次男50万円×9月+225万円=675万円
【消費税関係】
1 相続があった年(令和3年分)の相続人の納税義務の判定について
⑴ 1月1日~相続のあった日
相続人自身の基準期間における課税売上高⇒1000万円以下免税、1000万円超課税
ご質問の場合、長男と次男はいずれもサラリーマンで課税売上高は「0」ですのでこの間は免税となります。なお、被相続人は基準期間(元年分)の課税売上高が1000万円超ですので課税事業者として申告が必要です。
⑵ 相続のあった日の翌日~12月31日
①相続人の基準期間における課税売上高
②被相続人の基準期間における課税売上高
①と②いずれも1000万円以下 免税 ①と②いずれかが1000万円超 課税
ご質問の場合、「被相続人の基準期間における課税売上高」は、遺産分割が済んでいませんので、法定相続分を乗じた金額となります(消基通1-5-5)。
①は「0」です。
②=1800万円×1/2=900万円≦1000万円
したがって、①と②いずれも1000万円以下ですので相続人は免税となります。
2 相続があった年の翌年分(4年分)、翌々年分(5年分)の相続人の納税義務
次の金額が1000万円以下⇒免税 1000万円超⇒課税
○ 事業の全てを相続した場合
(相続人の基準期間における課税売上高)
+
(被相続人の基準期間における課税売上高)
○ 事業の一部を相続した場合
(相続人の基準期間における課税売上高)
+
(相続した事業に係る部分の被相続人の基準期間における課税売上高)
⑴ 令和4年分の納税義務の判定について
分割のあった年の納税義務の判定は、課税期間の開始する前に判明していなければならないという考え方のもと、4年分は3年12月31日の状況で判定します。
すなわち、
0+1800万円×1/2=900万円≦1000万円
となり長男、次いづれも免税事業者となります。
⑵ 令和5年分の納税義務の判定について
納税義務の判定時期(令和4年12月31日)には、遺産分割協議が済んでいるので、長男・次男の納税義務(基準期間3年分)は次のアとイの合計額で判定します。
ア 各相続人が事業所ごとに分割して承継した場合、「被相続人の基準期間における課税売上高」は、各相続人が承継した事業場に係る部分の課税売上高となりますので、A不動産を相続した長男が600万円、B不動産を相続した次男が300万円となります。
イ 各相続人の基準期間における課税売上高 450万円
相続人長男の判定 600万円+450万円=1050万円>1000万円(課税事業者)
相続人次男の判定 300万円+450万円=750万円≦1000万円(免税事業者)
《参考資料》
【国税庁H.Pより】
別紙 前年に相続があった場合の共同相続人の消費税の納税義務の判定について
別紙 相続があった年に遺産分割協議が行われた場合における共同相続人の消費税の納税義務の判定について
【消費税基本通達】
(共同相続の場合の納税義務)
1-5-5 法第10条第1項又は第2項《相続があった場合の納税義務の免除の特例》の規定を適用する場合において、2以上の相続人があるときには、相続財産の分割が実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱う。この場合において、各相続人のその課税期間に係る基準期間における課税売上高は、当該被相続人の基準期間における課税売上高に各相続人の民法第900条各号《法定相続分》(同法第901条《代襲相続人の相続分》から第903条《特別受益者の相続分》までの規定の適用を受ける場合には、これらの各条)に規定する相続分に応じた割合を乗じた金額とする。(平17課消1-22により改正)
小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)
《質問》
貸付事業用宅地等の小規模宅地等の特例が使えるかどうか教えてください。
貸家1軒のため、業務規模になります。
貸家及び敷地の所有者は父です。
① 令和2年1月1日 不動産賃貸開始。
② 令和3年12月1日 父死亡、貸付期間3年未満のため、この相続では
適用不可。当該不動産は、母が相続。
この場合に、母が令和4年中に死亡した場合には、適用できないと思います。
しかし、仮に令和5年に母が亡くなった場合には、小規模宅地等の特例は適用可能なのでしょうか。
二次相続が3年以内にあった場合には適用可能という特例は、そもそも一次相続で適用可能であった場合だと思われますので、母親が所有者になってから3年が必要なのか、相続前の使用状況も含めて3年以上あればよいのか教えてください。
また、仮に母親が所有者になってから3年が必要な場合、所有者になったというのは、登記上所有者が変更された日になるかどうかも教えてください。
従業員の転居に伴う費用等を会社が負担した場合の所得税の取扱い
《質問》
当社では従業員の転勤に伴い、転居に係る次の諸費用の負担を行うことを検討しています。所得税等課税関係はどのようになりますか。現在従業員は自身が契約したアパートに居住しています。
①転居に伴う引越費用(従業員・家族分)
②転居に伴い子供が転校した場合の入学金の一部補助
③賃貸契約解除に伴う解約違約金
④従業員が契約した新規のアパート契約に伴う礼金等初期費用負担・家賃の半分補助
《さくら税研からのアドバイス》
【所得税関係】
質問①について
給与所得者の転任に伴う転居のための旅費等を支給されても、給与所得者は非課税である旨の規定となっています(所法9①四)。非課税となる旅費等の範囲について、必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるもので、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられるものされ、次の事項を勘案して判定しています(所基通9-3)。
⑴支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたもの
⑵ 支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるもの
ご質問のように、旅費規程に基づき支給される従業員本人・家族の旅費、引越費用(実費)は非課税と取り扱われます。
また、家族の旅費については、従業員の赴任後家族が遅れて(3年以内)同居するような場合の転居費用であっても非課税として取り扱われています。
質問②について
子供が転校することに伴い入学金の一部を負担した場合には、従業員の個人的な費用を負担したものとして非課税とはならず、給与所得として課税されます。
質問③④について
住宅について評価した賃貸料相当額の1/2以上を徴収していれば課税されない旨の取扱いは、住宅が会社所有のもの、ないしは会社が借り上げ、従業員に貸す場合に適用されるものです。したがって、従業員自身が賃貸借契約を結び、賃貸料の一部を負担するような場合には、非課税規定はなく会社が個人的費用を負担しているにすぎず、給与として課税されるものと考えます。従業員が賃貸借契約を解除するに当たっての解約違約金についても同様に給与課税されるものと考えます。
【消費税関係】
会社等が旅費等の支給にあたり、仕入税額控除の対象となるか否かは、所基通9-3の例により判定するとされていますので(消基通11-2-1)、所得税法上非課税とされる旅費、引越費用の支給については、課税仕入れの対象となります。給与所得として課税される費用については、課税仕入れの対象とはなりません。
《参考法令》
【所得税法】
(非課税所得)
9条1項
一~三 (略)
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
五~ (略)
【所得税基本通達】
〔旅費(第4号関係)〕
(非課税とされる旅費の範囲)
9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)
(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
【消費税基本通達】
第2節 課税仕入れの範囲
(出張旅費、宿泊費、日当等)
11-2-1 役員又は使用人(以下「使用人等」という。)が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族(以下11-2-1において「退職者等」という。)がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。
(注)
1 「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」の範囲については、所基通9-3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する。
2 海外出張のために支給する旅費、宿泊費及び日当等は、原則として課税仕入れに係る支払対価に該当しない。