がん保険の入院給付金(被保険者 夫)を配偶者が取得した場合の課税関係

《質問》

次の内容のガン保険(生命保険会社との保険契約)に加入しています。
保険契約者(保険料負担者)及び被保険者:夫
保険金受取人:妻
平成27年4月、夫にガンが見つかり、上記保険契約により平成27年11月6日、妻名義の銀行口座に「入院給付金」及び「在宅療養給付金」の名目で約550万円の保険給付金が入金されました。
その後、夫は平成27年12月25日に死亡しました。
法定相続人は、妻及び子2人です。
所基通9-20によりますと、身体に傷害を受けた者と保険金等の受取人が異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、非課税として取り扱う旨規定されています。
この通達をそのまま当てはめ、「入院給付金は非課税」と判断してよろしいものでしょうか。
通常は「保険金受取人:夫」とするのが一般的であり、この場合は550万円が夫の相続財産となるのに対し、質問の場合には、結果的に550万円が課税されず妻の手に渡ることになるため、疑問を持ったものです。

“がん保険の入院給付金(被保険者 夫)を配偶者が取得した場合の課税関係” の続きを読む

タワーマンションの相続税評価額について

▼時系列
H21.10.30  相続人Aが代表を務める法人S(不動産業)がタワーマンションの一室を購
      入。
H27.5.18   被相続人Bが法人Sから時価で当該物件を購入。
H27.12.27 被相続人Bが亡くなり、相続人Aが当該物件を相続により取得。

▼価格
H27.5.18   被相続人Bが当該マンションの一室を購入した時の時価
              125,000,000円
H27年度相続税評価額
  土地             11,591,017円
  建物(固定資産税評価額)  16,224,983円
  合計           27,816,000円

▼状況
・当該マンションの一室は、被相続人が購入後、サブリース契約を結んで法人Sが一括借り上げをする予定であったが話が頓挫し、相続開始時点において空室となっていた。
・当該物件購入前から被相続人は体調を崩しがちであった。
・売買契約書は自筆ではない(印字しているもの)ものの、代理人等は挟んでおらず、被相続人の名前で契約している。

▼参考
財産評価基本通達によれば、評価の原則において財産の価格は「時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第二条(定義)第四号に規定する課税時期をいう。以下同じ)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格をいい、その価格は、この通達の定めによって評価した価格による。」とされ、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価格は、国税庁長官の指示を受けて評価する」とある。

国税不服審判所 平成27年7月1日裁決(タワーマンションの購入価格と相続税評価額との差額を利用した節税行為)の事例においては、マンション取得時期と相続開始時点が近接(この場合の事例は1か月)しており、基準地価格も相続開始前後において横ばいであることから、マンション取得時の価格を用いて評価することが相当であると判断している。

《質問》

  1. 相続税評価額を路線価に基づいて計算することについて
    本件では当該マンション購入から相続開始までおよそ7か月という期間で、購入価格と相続税評価額の差が1億円となっている。
    当該期間における固定資産税路線価の時点修正率は1.0で、不動産の価格の大きな変動はないと考えられることから、課税庁側からマンション購入時の価格で評価することが相当であると判断される可能性があると推察される。今回の件に関してどう判断されるか種々の可能性・ご意見を頂戴したい。またタワーマンションにおける相続税評価については今後、改正を含めた様々な検討がなされると想定されるが、相続税評価額にすべきか時価にすべきかの判断において、相続税評価額で申告することが否認されない条件(要件等)についての見解があればご教授願いたい。
  2. 相続財産が基礎控除以下である場合について
    本件不動産を仮に相続税評価額を用いて相続税を算定した場合、基礎控除内に収まる可能性が高い。今後、マンション節税に対する監視の目は厳しくなっていくものと予測されるが、基礎控除内に収まる=無申告とした場合の、課税庁側からの調査の可能性及び修正が指摘された場合の重加算税等についての意見をご教示願いたい。(尚、相続人は不動産業を生業としており、今回の取引に対して節税の目的があったと類推されてしまう可能性があるものの、一連の流れに不透明な動き(隠ぺい・仮装等)があるとは言えないと考えている。)
  3. その他、事実確認が必要な事項・税務上の盲点等について
    今回の取引・申告において失念している事項や争点・問題点が他にあればアドバイス願いたい。  

“タワーマンションの相続税評価額について” の続きを読む

入院給付金付き定期保険の保険料支払いと給付金受取に係る課税関係

《質問》

次の保険契約に係る保険料を法人が支払った際の取扱いと、入院給付金を受け取った際の課税関係についてどのように考えればよいかご教示お願いいたします。

契約者:法人
被保険者:個人A(法人役員)
*契約書上、死亡保険金は法人の受取りになりますが、入院給付金は個人に支払われます。
*本来、入院給付金は個人Aが受取者となっていますが、個人Aの死亡により個人Aの配偶者(法人役員)が入院給付金1,200千円受け取りました。

“入院給付金付き定期保険の保険料支払いと給付金受取に係る課税関係” の続きを読む

社会保険料未払計上の場合の更正の請求について

《質問》

当会社(以下A社)は、9月決算法人ですが、平成27年9月決算期において、下記の社会保険料を未払計上洩れしておりましたので、更正の請求書を所轄税務署へ提出しようと考えています。

(社会保険料)
1. 納付目的年月     平成27年9月分
2. 納付期限       平成27年11月2日
3. 納付日        平成27年11月27日
4. 納付金額
  ①健康保険料       ¥  926,399
  ②厚生年金保険料     ¥ 1,360,989
  ③児童手当拠出金     ¥   11,451
  ④合計 ①+②+③=   ¥ 2,298,839

 *従業員負担額は経理上「預り金」で処理せず、「法定福利費」勘定で処理しています。

上記のように当初の決算では損金経理(未払処理)していなかったが、債務確定していると考え、損金算入できる規定を考慮し、更正の請求を提出しようと考えていますが可能でしょうか?
損金経理はしていませんが、損金算入可能でしょうか?
また、そもそも債務確定していると考えてよいのでしょうか?

“社会保険料未払計上の場合の更正の請求について” の続きを読む

老人ホームの入居金の贈与税課税の有無

《質問》

父と母は共に90歳です。
二人ともかなり高額の資産を持っているようです。
父が老人ホームに入居することになり(入居一時金2,000万円程度)私はその入居金を母に負担してもらいたいと考えています。(相続税のことを考えて)
もし母がその支払いを渋った場合私がその支払いを立て替えて、後日母より返してもらえばこの立て替えた2,000万円について贈与税の問題は起こらないと考えてよいでしょうか?

“老人ホームの入居金の贈与税課税の有無” の続きを読む

サ高住の貸付賃料の一部は課税売上になるか

《質問》

地主が二人共同で、サービス付き高齢者住宅を建て、それを介護事業者に貸し付けた場合。
消費税法基本通達6-13-7により、転貸を前提とした場合の住宅の貸付に該当し、非課税売り上げになると思うのですが、そこでの食事の提供は課税売上ですから、家主さんは貸付の賃料のうち一部は課税売上になりますか?

(転貸する場合の取扱い)

6-13-7 住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合であっても、当該賃貸借に係る契約において、賃借人が住宅として転貸することが契約書その他において明らかな場合には、当該住宅用の建物の貸付けは、住宅の貸付けに含まれるのであるから留意する。

(注) この場合において、賃借人が行う住宅の転貸も住宅の貸付けに該当する

“サ高住の貸付賃料の一部は課税売上になるか” の続きを読む

先物取引に係る損失を申告漏れした場合の繰越控除の適用

《質問》

サラリーマンAは、商品先物取引を行っています。平成26年分は500万円の損失が出ていましたが、納税額には影響がないと思い当該損失を全く申告せず、医療費控除だけの還付申告をし還付金を受け取っていました。しかし、平成27年分になり、運よく1,000万円の利益が出ましたが、申告をせず放置していたところ、税務調査があり、調査官から当該利益について申告するよう指摘がありました。どのように申告すればよいのでしょうか。
また、サラリーマンのBは上場株式の売買を証券会社を通じて行っています。平成27年分は損失が300万円出ましたが、当該損失について一切申告せず、住宅取得特別控除だけの申告をしました。しかし、平成28年になり、株式の売買で大幅な利益が見込まれることから来年には当該所得について申告をしなければなりません。平成27年分の損失を繰越できると聞きましたが、いまからでは間に合いませんか。

“先物取引に係る損失を申告漏れした場合の繰越控除の適用” の続きを読む

短期前払費用(建設業退職金共済、支払保険料、支払家賃、借上社宅)の取扱いについて

《質問》

①5月決算法人で電気工事業を営む法人で建設業退職金共済制度に加入している法人が、平成28年5月に平成29年4月までの1年分で、かつ、6名分の退職金の共済証紙合計558,000円を金融機関から購入しました。
通達の規定によりますと、1年以内に費用化するものについては支出時の損金に計上することができるとあったと思うのですが、この場合の建退協の共済証紙558,000円は全額損金に計上することができるのでしょうか?

②5月決算法人ですが平成28年5月に平成29年4月までの1年分の保険料と、本社家賃、借上社宅(従業員と役員に貸与)を支払いました。契約書は月払いになっていたのですべて年払いに変更しました。全額損金に計上できると思いますがいかがでしょうか?

“短期前払費用(建設業退職金共済、支払保険料、支払家賃、借上社宅)の取扱いについて” の続きを読む

在外財産の評価

≪質問≫

私と主人は、ハワイに不動産を買いました。
それは賃貸物件で、実は代金はすべて主人が出したのですが、現地の不動産業者が登記は二人の名義にした方がよいと勧めてきました。理由は二人の名義で登記すれば、相続が発生したとき相続手続きをすることなく自動的に片方の名義に移転するということです。ハワイでは相続の手続きには管財人を選任したり、長い間時間がかかってしまうため合有の形態(ジョイント・テナンシーという)にすることが一般的とのことです。ただそれにはいくつか問題があります。

①主人が代金を100%払っているので贈与になってしまいます。そこで私は主人に対して名義貸しである念書を作りました。また、賃貸物件なので収入に関しては主人が確定申告をします。そのことにより、これは贈与ではないことを主張できますがそれでよいでしょうか?

②贈与が発生した時に相続人の名義分に関しては相続ということでよいのですが、被相続人の名義分に関してはどのような申告が必要ですか?相続税の対象にすることには疑問があります。また一時所得になる事も考えられるのでしょうか?
同じような内容の国税庁のQ&Aがありましたので、添付します。

“在外財産の評価” の続きを読む

相続による事業承継に係る基準期間の課税売上について

《ケースⅠ・下表参照》
父(被相続人) 課税事業者
所有不動産
①駐車場 (課税)②貸ビル(課税)

長男(相続人) 免税事業者
所有不動産
③貸作業場(課税)

平成27年2月1日に父が死亡し、長男が父の①駐車場を相続しました。
②貸ビルは、亡くなる前年(平成26年)に法人へ④売却しました。
1. 平成27年について
平成27年長男の消費税納税義務の判定は、基準期間が平成25年となり、父の課税売上高は相続した①駐車場に係る分だけの金額で判定してよろしいですか?

2. 平成28年について
平成28年の判定については、平成26年の父の①駐車場に係る部分と長男の③貸作業場の課税売上高を合算して判定することになりますか?
キャプチャ1

“相続による事業承継に係る基準期間の課税売上について” の続きを読む