個人所有地に同族法人が設定した定期借地権の算定について

《前提》

(1)同族関係
   個人 甲
   甲と同族関係にある同族法人 乙(以下「乙法人」)

(2)不動産の保有状況
   建物A⇒「乙法人」が100%所有
   土地B⇒建物Aの敷地⇒1/3を「乙法人」が所有
             ⇒2/3を「甲」が所有

(3)甲・乙間の契約状況 一般定期借地権契約を締結
  <一般定期借地権の契約内容>
 1. 契約期間 : 平成7年2月から50年契約
 2. 地代 : 月額562,600円
 3. 土地Bの財産評価基本通達上の自用地評価額(路線価額)152,737,963円
  (2/3部分の価額。全体では229,106,945円)
 4. 契約は甲の親「丙」(平成21年1月死亡)が乙法人と締結している。
 5. 相続により本件土地を甲が取得。
 6. 契約承継の覚書等は交わしていないが、甲が丙の契約を事実上承継
 7. 丙の相続申告時における土地Bの評価方法
    別添資料より、一般定期借地権の目的となっている土地の評価方法に
   準じ「課税上弊害がある場合」の評価方法により、自用地価額から定期
   借地権評価額を控除する方法により評価をしている。
    この際の定期借地権の価額は,契約残存期間が15年以上であるため自
   用地価額の20%としている。(相続税の税務調査も済んでいるが特に
   指摘はなし。)
 8. 権利金の授受、保証金はございません。

《質問》

1. 定期借地権の測定について(相続申告時)
 上記定期借地権の評価額は、複利年金原価率等により定期借地権の評価額を算定した場合にはほとんど評価額が算出されないものの、実際に土地上に建物が存在することを斟酌し、減額が認められているものと理解しております。
 また、この際、同族法人の株価算定上も20%の価額にて純資産価額評価を行うこととされており、これに準じて評価を行っています。
2. 本件売却における土地売却額の甲、乙の配分について当方では、売却にあたっては上記斟酌を考慮せず、実際の定期借地権評価額がほとんど発生していないことから、乙法人は建物のみ(あるいは建物と実額で計算した些少な定期借地権)を売却し、甲が土地のほとんどを売却したものと考えておりますが、いかがでしょうか。
 合理的な算定方法等、ご教示いただけれぱと思います。

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父親の建設した建物を子が事業用に供した場合の課税関係

《質問》

 父Aが貸ビルを建設しています。子Bは父Aからその一室を借り、個人で事業を行うことを考えています。借りるに当たり、無償とするのか、世間相場で賃貸とするのか検討中です。課税関係がどうなるのかご教示ください。なお、AとBとは生計を一にしています。

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相続があった場合の消費税納税義務判定について

《質問》

 所得税の申告について分割が決まるまでは法定相続分で確定申告をすることは承知しておりますが、実務上の名残か、いまだに代表の相続人一人で所得税の確定申告をした場合でも、消費税の納税義務判定は課税売上高を法定相続分で按分したもので消費税の納税義務判定をしてもよろしいでしょうか?
 所得税は代表で申告していて、消費税は法定相続分で按分して判定していると不動産所得の申告上、所得税と消費税の金額が異なってくるかと思います。
 違和感として税務当局は問題視することはあるのでしょうか?

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離婚後一括で養育費を受け取った場合

《質問》

 離婚した当時、公正証書で養育費及び婚姻費用の支払に関する取り決めがなされており、養育費については「定期金で毎月○○円を子の死亡時まで支払う」とされておりました。(婚姻費用については平成39年までです)。
 ところが、支払義務者の収入が減ったこともあり、支払義務者が養育費を「○○年まで」と終期調停を申し立てました。
 現在、一時金で支払うという案が出ているのですが、その場合家庭裁判所で取り決めた場合でも贈与税が課税されるのでしょうか?
 そこに、「養育費として一時金○○円を支払う」「婚姻費用として一時金〇〇円を支払う」と記載しておけば、大丈夫かと思えるのですがいかがでしょうか?

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会社合併における適格判定

《会社合併の概要》

・株主Aが100%出資する子会社が、A社・B社・C社あります。
・B社が100%出資する子会社D社があります。
・この度、D社をA社が吸収合併したい意向があります。(無対価合併)

キャプチャ

《質問》

 100%グループ間の無対価合併で、今後も継続的に株式を所有する場合は、適格合併になると認識していましたが、今回の合併は非適格になるのでしょうか?

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会社分割における適格判定

《会社分割の概要》

 A社を分割法人とし、B社を分割継承法人としてA社の工事部門をB社に分割型分割します。

A社
株主構成 X氏:86.2% X氏の配偶者:7.2% X氏の長男Y氏:4.8% X氏の親族:1.8%
工事部門を分割後、黄金株を設定し、黄金株をX氏に1株残し、残りの株式全てをY氏へ譲渡を予定しています。
欠損金はありません。含み損資産があるため、相続税評価額は0円です。
工事部門とオフィス部門があります。

B社
株主構成 X氏:100%
工事部門を継承後、黄金株を設定し、黄金株をY氏に1株、残りの株式全てをX氏の次男Z氏へ譲渡を予定しています。
欠損金はありません。将来的にはX氏に退職金を支払うため、相続税評価額は0円となる予定です。

キャプチャ

《質問》

〈A社株主へB社株式のみを交付する場合の分割の適格判定について〉
分割に際しA社株主であるX氏らに対価としてB社株式のみを交付する場合、A社・B社ともにX氏とその親族による完全支配関係があり、株式譲渡後もX氏の息子らによる保有が継続するため、“同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている”ため、適格分割型分割になると考えていますが、いかがでしょうか?

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イギリスの不動産を取得し賃貸に供した場合、その後譲渡した場合の課税関係

《質問》

 日本に住んでいるAは、イギリスで土地建物を日本円で4,000万円を支払い取得しました。取得の内容はリースホールド(期間は125年)です。この物件を賃貸することにしましたが、どのように申告をしたらよいのでしょうか。また、将来売却する場合の課税関係はどのようになりますか。

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特定新規設立法人に対する簡易課税制度適用の可否

《質問》

 この度、当グループで新規に設立された法人A社は「特定新規設立法人」(消法12条の3)に該当しますが、同社の納税義務が免除されない課税期間においても簡易課税制度の適用は認められますか。

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特定新規設立法人の判定について

《質問》

(1)個人甲は、平成28年10月、A社(資本金500万円、9月決算)を100%出資して新規に設立しました。
 甲は7年前に、100%出資してB社を設立していますが、同社の課税売上高は、設立以来、毎期5億円を超えています。
 この場合、A社は「特定新規設立法人」に該当し、同社の設立当初の2年間(基準期間がない課税期間)は、消費税の納税義務は免除されないのでしょうか。
(2)A社の設立1期末までに、甲が同社株式の50%を友人乙(第三者)に譲渡した場合には、A社の設立第2期の期首においては、甲、乙それぞれが、同社株式を50%ずつ保有していることになるので、A社は「特定新規設立法人」に該当せず、同期の納税義務は免除されるのでしょうか。
 仮に、免除されるとした場合、「特定新規設立法人」に該当しないことが明らかになった後、速やかに、例えば「特定新規設立法人に該当しなくなった旨の届出書」のような届出が必要となりますか。

《回答》

(1)特定新規設立法人に該当するか否かの判定は、A社の第1期、第2期の期首(新設開始日)ごとに行いますから、第1期の期首の判定により、同時に第2期も「特定新規設立法人」と判定されるわけではありません。
(2)A社は、第2期では「特定新規設立法人」に該当しませんので、「特定期間による判定」(消法9条の2)においても納税義務が免除される場合には消費税の納税義務は免除されます。
 なお、ご質問の「特定新規設立法人に該当しなくなった旨」の届出について、格別の規定はなく、様式も定められていません。

《解説》

(1)特定新規設立法人に該当するか否かについては、基準期間がない事業年度開始の日(「新設開始日」)において、それぞれ納税義務を判定することとされています(消法12条の3①)。
 したがって、A社の第1期又は第2期の期首において特定要件(他の者によりA社が支配されること)に該当していなければ、特定新規設立法人にはなりませんから、消費税の納税義務は免除されます。
 ご質問の場合、A社の第1期の期首(「新設開始日」)において、同社は、甲の支配下にあり、かつ、甲の特殊関係法人B社の基準期間相当期間における課税売上高が5億円超であるとすれば、A社は特定新規設立法人に該当することになります。ただし、この時点では、A社が第1期において、特定新規設立法人に該当すると判定されたに過ぎず、同社の第2期においても、特定新規設立法人に該当するか否かは、第2期の期首(「新設開始日」)における判定を待たねばなりません。
(2)第2期においては、A社の「特定期間における課税売上高」(消法9条の2②)と上記(1)で述べた特定要件に該当する旨の判定の基礎となった他の者(A社の第1期の期首においては甲)又はその者と特殊な関係にある法人(A社の第1期の期首においてはB社)の基準期間相当期間における課税売上高により、納税義務の有無を判定することになります。
 ご質問の場合、A社の第1期末までに、甲はA社株式の50%を友人乙(第三者)に譲渡しているとのことですから、同社の第2期の期首において、A社を支配する「他の者」は存在せず、したがって「特定要件」を満たしませんので、第2期においては、A社は特定新規設立法人に該当しないことになります。ただし、第2期は、基準期間がないという点では、第1期と同じですが、特定期間があるという点で第1期とは異なっていますから、第2期における納税義務の有無の判定においては、上記のとおり、別途「特定期間における課税売上高」による判定が必要となることにご留意ください。

《さくら税研からのアドバイス》

(1)基準期間がない事業年度の開始の日は、一般に、設立1期目の期首、及び設立2期目の期首である ⇒ 新設開始日は、第1期目の期首だけではない。
よって、基準期間がない事業年度(設立1期目、2期目)について、それぞれ納税義務を判定する必要があります。
※「消費税法改正のお知らせ」平成25年3月国税庁参照
(2)設立2期目の納税義務の判定には、「特定新規設立法人」に該当するかどうかの判定と併せて「特定期間における課税売上高」についても考慮する必要があります。

《参考法令》

【消費税法】

(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第九条の二 個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が千万円以下である場合において、当該個人事業者又は法人(前条第四項の規定による届出書の提出により消費税を納める義務が免除されないものを除く。)のうち、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度に係る特定期間における課税売上高が千万円を超えるときは、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度における課税資産の譲渡等については、同条第一項本文の規定は、適用しない。
2 前項に規定する特定期間における課税売上高とは、当該特定期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額をいう。
一 特定期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
二 特定期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に六十三分の八十を乗じて算出した金額
3 第一項の規定を適用する場合においては、前項の規定にかかわらず、第一項の個人事業者又は法人が同項の特定期間中に支払つた所得税法第二百三十一条第一項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額をもつて、第一項の特定期間における課税売上高とすることができる。
4 前三項に規定する特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいう。
一 個人事業者 その年の前年一月一日から六月三十日までの期間
二 その事業年度の前事業年度(七月以下であるものその他の政令で定めるもの(次号において「短期事業年度」という。)を除く。)がある法人 当該前事業年度開始の日以後六月の期間
三 その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人 その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他の政令で定めるものを除く。)開始の日以後六月の期間(当該前々事業年度が六月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)
5 前項第二号又は第三号に規定する六月の期間の末日がその月の末日でない場合における当該期間の特例その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(特定新規設立法人の納税義務の免除の特例)
第一二条の三 その事業年度の基準期間がない法人(前条第一項に規定する新設法人及び社会福祉法第二十二条(定義)に規定する社会福祉法人その他の専ら別表第一に掲げる資産の譲渡等を行うことを目的として設立された法人で政令で定めるものを除く。以下この条において「新規設立法人」という。)のうち、その基準期間がない事業年度開始の日(以下この項及び次項において「新設開始日」という。)において特定要件(他の者により新規設立法人の発行済株式又は出資(その新規設立法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資が直接又は間接に保有される場合その他の他の者により新規設立法人が支配される場合として政令で定める場合であることをいう。以下この条において同じ。)に該当し、かつ、新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となつた他の者及び当該他の者と政令で定める特殊な関係にある法人のうちいずれかの者の当該新規設立法人の当該新設開始日の属する事業年度の基準期間に相当する期間における課税売上高として政令で定めるところにより計算した金額(国又は地方公共団体が一般会計に係る業務として行う事業における課税資産の譲渡等の対価の額を除く。)が五億円を超えるもの(以下この項及び第三項において「特定新規設立法人」という。)については、当該特定新規設立法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(第九条第四項の規定による届出書の提出により、又は第九条の二第一項、第十一条第三項若しくは第四項、第十二条第一項若しくは第二項若しくは前条第二項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間を除く。)における課税資産の譲渡等については、第九条第一項本文の規定は、適用しない。
2 新規設立法人がその新設開始日において特定要件に該当し、かつ、前項に規定する他の者と同項に規定する政令で定める特殊な関係にある法人であつたもので、当該新規設立法人の設立の日前一年以内又は当該新設開始日前一年以内に解散したもののうち、その解散した日において当該特殊な関係にある法人に該当していたもの(当該新設開始日においてなお当該特殊な関係にある法人であるものを除く。以下この項において「解散法人」という。)がある場合には、当該解散法人は当該特殊な関係にある法人とみなして、当該新規設立法人につき、前項の規定を適用する。
3 前条第二項及び第三項の規定は、特定新規設立法人がその基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(第三十七条第一項の規定の適用を受ける課税期間を除く。)中に調整対象固定資産の仕入れ等を行つた場合について準用する。この場合において、前条第二項中「前項の新設法人」とあるのは「次条第一項の特定新規設立法人」と、「当該新設法人」とあるのは「当該特定新規設立法人」と、「若しくは前項」とあるのは「、この項若しくは次条第一項」と読み替えるものとする。
4 第一項に規定する他の者は、特定要件に該当する新規設立法人から同項に規定する金額が五億円を超えるかどうかの判定に関し必要な事項について情報の提供を求められた場合には、これに応じなければならない。
5 前三項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

海外の銀行に預け入れた定期預金を国内の銀行へ預け替えした場合の為替差益の認識について

《質問》

 私はオーストラリアに居住している知人がいます。20年程前にその友人に依頼し、現地の銀行に10万豪ドルの定期預金をしました。最近知人との関係が希薄になりつつあることから、預金を解約し日本国内の銀行の外貨預金口座に豪ドルで送金してもらいそのまま預け入れしてもらおうと考えています。
 豪ドルの換算レートが62円の時、定期預金に預け入れ、現在は86円になっていますので、為替差益を認識し雑所得で申告しなくてはなりませんか。
 また、将来外貨預金を解約し円に換金した場合、外貨建MMF等に投資した場合はどのようになりますか。

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