不動産賃貸契約の中途解約に伴い建設協力金の返還を要しなくなった場合

《質問》

 個人Aは建設協力金方式によりスーパーを建設し、法人Bに賃貸しています。スーパーの営業状態が悪く、この度店舗を閉じ賃貸借契約を解除することとなりました。解約理由が賃借人の都合のため、契約書に従い建設協力金は返還不要となります。このような場合賃貸人の課税関係はどのようになるのでしょうか。建設協力金の現在残高は1億円です。債務免除を受けるだけで現金収入はなく、一度に課税された場合納税資金に困窮することになります。

“不動産賃貸契約の中途解約に伴い建設協力金の返還を要しなくなった場合” の続きを読む

死亡した事業者に係る消費税の還付金を相続人が受け取った場合

《質問》

 不動産賃貸業を営んでいた父が本年8月に死亡しました。父が本年3月に完成させた賃貸物件については、税込経理処理となっているため、被相続人に係る消費税の申告(準確定申告)により、相続人が還付金を受け取ることになります。この還付金についての所得税の課税関係はどのようになるのかご教示下さい。
 なお、遺言があり長男には当該賃貸物件を、その他一切の財産を配偶者に相続させる旨の内容となっています。

“死亡した事業者に係る消費税の還付金を相続人が受け取った場合” の続きを読む

小規模宅地の特例適用について

《質問》

案件の概要
居住用建物を生前に取壊し、新たな居住用兼賃貸建物を建設しました。
時系列は下記の流れになります。
建築工事契約  : 2018年8月
居住用建物取壊 : 2018年9月8日(取壊登記)
相続開始    : 2018年10月22日
建物完成工事  : 2018年12月5日(表示登記2018年12月25日)
建物が完成し、配偶者及び長男世帯は申告期限前に居住開始。
建物及び敷地について、配偶者が相続取得。

キャプチャko検討事項
 被相続人が建築中であった居住用建物の敷地及び建物を、配偶者が取得しました。
 当該建物はメゾネット2F建てで、配偶者及び長男世帯の居住用と残りの部分は賃貸の用に供しています。
 そこで、小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例適用について検討しています。

長男世帯と生計一の場合
① 配偶者の居住の用に供した1室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。
② ①及び長男世帯を入れた2室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。

長男世帯と生計別の場合
③ 配偶者の居住の用に供した1室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。
④ ①及び長男世帯を入れた2室に対応する敷地面積部分について小規模の減額を適用。

“小規模宅地の特例適用について” の続きを読む

高額特定資産について

《質問》

 以前から引き続き消費税課税売上高が1,000万円以下であった3月期決算の免税事業者が、前々期(平成28年3月期)に不動産売却により初めて課税売上高が1,000万円を超えたため、当期(平成30年3月期)に課税事業者に該当することとなった。
 なお、平成29年3月期の課税売上は1,000万円を下回っている。
 当社は、住居用マンションを中心とする不動産賃貸業を営んでおり、課税売上割合はきわめて低いが、当課税期間については簡易課税の届出を行っておらず、一般課税事業者に該当する。
 また、当期に新規土地を取得し、賃貸用物件の建築を開始するにあたり、建築設計料1,200万円を支出する。
 もし、当該設計料について建設仮勘定として経理処理し、消費税法基本通達11-3-6に基づいて、当期の消費税申告においては仕入額控除の対象とせず、完成期の属する期間の課税仕入れとして扱う場合、自己建設高額特定資産の建設等に要した仕入れ等の支払対価の額の累計額1,000万円の判定において、当設計料を当期のうちに建設工事等のための課税仕入れ等の金額の中に含めなければいけないかどうかについてご教示ください。
 なお、当期の課税売上は1,000万円未満となる予定です。
 当社は来期以降に不動産の売却を数件予定しているため、当該設計料を建設仮勘定に計上したうえで、来期に免税事業者とできるのであれば、平成32年3月期以降に係る簡易課税選択の届出をできないかと考えています。
 考察としては、施行令25の5において、当該累計額から免税期間および簡易課税適用期間の金額を除く旨の記載があることや、上記の建設仮勘定についての通達を鑑みると、判定の範囲内に含めないことは可能ではないかと考えておりますが、ご意見を伺えると幸いです。

“高額特定資産について” の続きを読む

租税条約に債務者主義の定めがある場合における課税関係

《質問》

 内国法人A社は、中近東のS国でのプラント建設を請け負っており、その建設に必要な技術をイタリアの法人から導入する予定です。
 その技術については中近東のS国のみで使用することとしており、国内で行う業務の用に供されることはありませんので、その対価について、我が国では課税されないと理解してよいでしょうか。

“租税条約に債務者主義の定めがある場合における課税関係” の続きを読む

所得拡大促進税制の更正の請求について 

  ~ 法律の「二つの確定申告書等」に注意! ~

《質問》

 法人税確定申告書で所得拡大促進税制による税額控除を適用しましたが、「雇用者給与等支給額」の拾い漏れがありました。法律を読む限り更正の請求ができそうですが大丈夫でしょうか?

《答え》

 残念ながら、法令上の当初申告要件を満たさないため更正の請求はできません。

 根拠法令は租税特別措置法第42条の12の5(*1)ですね。雇用者給与等がアップしていれば税額控除を使えるので、適用している法人も多いかと思います。しかしながら、この条文は理解しづらく勘違いしてしまうケースも多いと聞きます。
 それでは説明していきます。

“所得拡大促進税制の更正の請求について ” の続きを読む

生命保険契約に関して

《質問》

① 当初生保契約 平成12年
  契約者  A(実質保険料全額負担者)
  被保険者 義理息子B
  受取人  Bの妻C(Aの長女)
② 上記契約 平成20年に変更
  契約者  B
  被保険者 B
  受取人  C
③ 上記②契約平成29年7月実質負担者Aに相続発生
 実質保険料負担者がA、保険契約者がBなので、相続税法の規定でBが生命保険契約に関する権利を遺贈により取得したものとみなされ、生命保険契約の解約返戻金相当の金額をみなし相続財産として算入し、Bは相続税額の2割加算をして昨年相続税の申告をしました。
〔被相続人以外の者がその生命保険契約の契約者である場合における「生命保険契約に関する権利」のうち被相続人が負担した保険料に対応する部分は、相続又は遺贈により取得したものとみなす(相法3①三)〕

 相続申告後平成30年6月に契約者BからCに変更してしまいましたが、(この時点で契約者C、被保険者B、受取人C)生命保険契約における契約者の変更については、生命保険制度を踏まえて、その契約者の変更時点では、生命保険に関する権利を個人間の贈与として課税関係が発生させない考えでいいと思いますが、この度契約者をやはり相続で実質負担者の地位を引継ぎ相続税申告をしたBにCから変更しようと予定しています。(相続でBが保険料を全額負担したとみなされたので現在の実質負担者は契約者が平成30年6月の変更により契約者がCであったとしてもBという考えでいいと思いますが)この変更(C→B)についても変更時点では当然贈与の課税関係はないと思います。
 今回予定のC→B変更後、将来Bが死亡した時は「実質負担者B、保険契約者B、被保険者B、受取人C」でCの受取保険金は契約者の変更を重ねていきますが、相続税の課税対象ということでよろしいでしょうか?

“生命保険契約に関して” の続きを読む

税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(3)

《質問》

 ここ数年の税務調査は、以前に比べて長期化しているような気がしますが通則法改正と関係あるのでしょうか。

 御存知のように税務署の定期異動は7月10日付けで全国一斉に行われます。そして、お盆休み明けから、9月、10月、概ね11月一杯くらいは税務調査の最盛期と言われています。
 現在の税務調査は9割以上が「事前通知」という国税通則法上の手続きを経て始まります。今回は以前に比べて長期化している税務調査について、法的観点及び傾向等を検証していきたいと思います。

“税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(3)” の続きを読む

貸家建付地の評価単位について

《質問》

 下図のとおり、土地Aに建物B,C,Dがあり、それらの建物を甲法人(又は同一の個人)が一括して賃借し、それを更にそれぞれ第三者に賃貸(また貸し)している場合の土地の評価について

キャプチャ.JPG01234 “貸家建付地の評価単位について” の続きを読む

税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(2)

《質問》

 税務署職員が法人事務所等へ事前通知もなく来る税務調査がありますが、違法ではないのでしょうか。

 御存知のように税務署の定期異動は7月10日付けで全国一斉に行われます。そして、お盆休み明けから、9月、10月、概ね11月一杯くらいは税務調査の最盛期と言われています。
 現在の税務調査は9割以上が「事前通知」という国税通則法上の手続きを経て始まります。今回は当局が行う「調査選定」等について、法的観点及び傾向等を検証していきたいと思います。

“税務調査における法的手続き(国税通則法)を改めて読み解く(2)” の続きを読む