遺留分侵害額の請求を行ったことにより、新たに納税義務者になった相続人の期限後申告の要否

《質問》

 遺留分を請求して、取得して、初めて申告義務が生じたため期限後申告ができる人の相続税申告義務の有無についてです。
・被相続人は、父
・相続人は、長男と長女の2名
・長男100%の遺言があり、その遺言通りに長男が進めた(当初申告はしている)➡長女が遺留分を請求して1,500万GET➡長女は、期限後申告ができる状態(長男は更正の請求を行う模様)
 この状態で、長女は期限後申告を行う必要があると思っていたのですが、税務署の決定処分を待っても問題ないという書籍を読みましたが、どちらを選択しようかと迷っております。

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建築中の家屋の評価、特例の適用の可否等ついて

《質問》

 事実関係に基づき、次の点についてご教示ください。
① 旧家屋の取り壊し時期の判定について
相続開始日において、取り壊しに着手していた=取り壊し済みになるのか
相続開始日において、取り壊しが完了していた=取り壊し済みになるのか 等

② 新・旧家屋及び新家屋工事代金(債務)の財産計上の要否及び評価方法について

③新家屋を相続財産に計上した場合、小規模宅地等の特例の適用及び配偶者居住権の設定の可否について

④ 新家屋や工事代金(債務)を計上する場合、工事契約請負契約書の発注者の署名欄の修正の要否

《事実関係》

相続開始日  :  R6年1月11日
相続財産   :  不動産(B市分譲マンション、A市土地家屋)、金融資産ほか
人物    :  被相続人(甲)、相続人妻(乙)、長女(丙)、長男(丁)(生計一は乙のみ)

時系列
1. R4年2月   甲の兄弟が死亡 ⇒ 甲が相続によりA市の土地家屋を取得。
        甲と乙はB市分譲マンションに在住。
2. R5年10月   甲と乙がA市に移住。(③契約の新築家屋に住む予定でA市の
                                  賃貸アパートに引越し)
3. R5年12月   甲が兄弟から相続したA市の土地にある家屋(以下旧家屋という)
       を取り壊し、新築する工事請負契約を締結。請負代金には旧家屋
       の取り 壊し費用も含まれている。(※注)
4. R6年1月11日  甲死亡(B市分譲マンションは賃貸にも出さず所有したまま)
5. R6年1月上旬  ②の契約に係る旧家屋取り壊し中(詳細な日付は不明)
6. R6年1月31日  ②の契約に係る新築工事着工
(※注)R5年12月6日に発注者甲で契約。その後、甲が死亡したため発注者の署名欄を乙に変更した。

《当方の見解》

① 相続開始日において取り壊しが完了していた場合に、取り壊し済みになると考えます。

② ・旧家屋・・・①で取り壊し済みであった場合は計上不要、取り壊し済みでなかった場合は固定資産税評価額により財産計上すると考えます。
・新家屋・・・工事請負契約は甲が生前に締結しているため、新築家屋も甲の相続財産になると考えます。
 また、建築中の家屋については相続開始日における工事原価  ×  70/100により評価され、工事原価は、総工事費に工事の進捗率を乗じて算出するものと考えます。
 相続開始日においては新築工事は着工しておらず、進捗率が0%であるため、評価額0円で計上すると考えます。
・工事代金・・・工事請負契約は甲の生前に成立しているため、請負代金のうち生前に支払った金額を控除した残額を債務として財産に計上すると考えます。

③・小規模・・・甲及び乙は相続開始直前に旧家屋には居住していなかったものの、新家屋に居住するためにA市内に転居しており、新家屋は甲及び乙の居住の用に供されることが確実であったと思われます。したがって、乙が新家屋の敷地である土地を相続した場合又は配偶者居住権に基づく敷地利用権を取得した場合に限り、特定居住用宅地等に該当し、特例の適用を受けることができると考えます。
・配偶者居住権・・・②において新家屋を0円で財産計上した場合には設定するメリットがないと考えられるため、新家屋を一定の評価額で財産計上した場合を想定します。
 要件である「相続開始時に被相続人が所有していた建物に配偶者が居住していた」には該当しないものの、A市内において甲と乙が同居し、かつ新家屋完成後に同居する予定であったこと、及び「残された配偶者の居住権の保護」という制度趣旨からすると、適用が可能であるものと考えます。

④工事請負契約書の発注者署名欄については、被相続人に自署してもらうことはできないものの、被相続人が発注者であることを証明する必要があるため、余白に「甲が令和6年1月11日に死亡したため、乙が当該契約に係る権利及び義務を承継する」等追記してもらうことが望ましいと考えます。

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同一敷地内に家屋が2棟ある場合の小規模宅地等の特例について

《質問》

 同一敷地内に家屋が2棟ある場合の小規模宅地等の特例についての質問です。
被相続人所有の土地に家屋が2棟あります。1棟は長男が居住、もう1棟は被相続人と配偶者が居住していました。被相続人死亡後に配偶者もなくなり、数次相続となりました。
 このような場合、長男および配偶者は小規模宅地等の特例(居住用)を適用することは可能でしょうか。

《事実関係》

・被相続人甲は2023年12月に亡くなりました。
・被相続人甲の相続人は、配偶者Aと長男Bの2名です。
・遺言書は無く、遺産分割協議を行う前(2024年5月)に配偶者Aが亡くなりました。
・被相続人甲名義の土地(580㎡)に家屋が2棟あります。
・家屋①は配偶者A名義で被相続人甲と配偶者Aが住んでいます。
・家屋②は被相続人甲と長男Bの共有名義で長男Bが住んでいます。
・家屋①の敷地は400㎡、家屋②の敷地は180㎡です。
・被相続人甲と長男Bは生計が一になります。

《当方の見解》

 Aは配偶者であるため、長男Bは被相続人と生計が一であるため、小規模宅地等の特例は適用可能と考えます。遺産分割協議前に配偶者Aが亡くなったため、甲名義の土地(580㎡)は配偶者Aと長男Bが1/2ずつの共有となり、配偶者Aが適用可能な面積は家屋①の敷地の持分200㎡、長男Bが適用可能な面積は家屋②の敷地の持分90㎡になると考えます。

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相続税の小規模宅地等の特例 家なき子について

《前提》

・被相続人である父親の死亡日はR6.2.27
・相続人である娘は日本人(日本国籍あり)夫は米国人(米国国籍)
・15年前から夫婦でハワイ居住だが5年位前に数ヶ月間だけ夫の仕事上の都合で日本に滞在していた(被相続人の居宅に居住)
・被相続人は亡くなったR6.2.27以前のR4.7.29に介護施設に入居した(住民票の住所も介護施設に移した)
・被相続人が介護施設入居R4.7.29前に相続人である娘は介護施設入居の手続きのため被相続人の住所地に住民票を移した(R4.4.11)
・相続人である娘は住民票は移したものの生活の本拠は夫の住所地であるハワイであり、そこで夫名義の居宅で生活していた(娘はハワイの日本人向けホテルのレストランの従業員であり、日本への来日は休暇を利用していた。当然に父親とは生計別)

《質問》

 本件のような前提で被相続人である父親所有の居宅(マンションの一室)を娘が相続した場合に家なき子として特定居住用宅地が使えるでしょうか。

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個人が土地と建物の売却に際し、建物が無償で譲渡される場合について

《概要》

(1)土地の所有状況
 土地 甲、乙、丙(甲乙丙は兄弟) ほぼ各3分の1ずつ共有

(2)建物の所有状況
  A建物①とA建物②、B建物①とB建物②はそれぞれ区分所有家屋となって
    おります。
 A建物① 甲所有、甲家族居住
 A建物② 甲、乙、丙が各3分の1ずつ共有
        甲、乙、丙の母が居住していたが、母に相続が発生後に空き家と
     なっております。
 B建物① 乙60%、乙の配偶者40%所有、乙家族居住
 B建物② 丙48%、丙の配偶者52%所有、丙家族居住

(3)売買内容
 第三者に土地建物を6億円で一括譲渡しております。売買契約書上、買主が取り壊す予定から建物を無償で譲渡しております。契約書上も売買物件の表示は土地のみとなっており、契約書の建物欄については斜線が入っております。また、売主欄に記載している者についても甲、乙、丙のみとなっております。

(4)参考
 国税庁内には、売買契約書において、建物の譲渡対価を1円とすれば取得費を控除することができ、ゼロ円の場合には控除できないとするような処理には合理性が見られず、あくまでも譲渡の実体をみて判断することにより、譲渡価額がゼロであっても、建物の簿価を取得費として譲渡所得を計算するという統一見解があるとお聞きしております。

《質問》

① 譲渡直前の建物簿価は譲渡原価として計上することは可能でしょうか。
② 居住用資産の譲渡と認められて3,000万円控除の適用は可能でしょうか。
③ 3,000万円控除の適用が可能な場合、B建物の配偶者も上記①や②の適用は可能でしょうか。
④ 上記③が可能な場合、B建物の配偶者については、建物分だけであり、3,000万円控除の範囲内でもあるので、申告を省略することや、乙、丙の申告に含めて計算することも考えられますがいかがでしょうか。
⑤ 土地の取得は昭和48年であり、取得金額が不明となっているので、下記のように計算を考えておりますがいかがでしょうか。
売却土地近隣のS48公示地価(148千円)×売却土地のS48路線価75千円/売却土地近隣の公示地価のS48路線価(70千円)

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居住用賃貸住宅の仕入税額控除の制限 その2

《条件》

・ 中古マンションを個人から仲介業者を介して取得しました
・ 価格は5,000万
・ 利用目的は 本社約50% 役員社宅50%です

《質問》

①  仕入税額控除
  利用が、本社・役員住宅・共有と混在し、種類構造が居宅ですが、全部を居住用賃貸建物の取得とし仕入税額控除対象外とせず、本社と共有部分を合理的に按分すれば仕入税額控除が一部できるという理解でよろしいでしょうか。

②  役員社宅 無償で住む場合
 役員に無償で貸し付けた場合(経済的利益の給与所得)居住用賃貸建物に該当せず全て仕入税額控除の対象となり得るという理解でよろしいでしょうか。

③  高額特定資産3年縛り
 前々期の課税売上高は5,000万円以下なのですが、価格5,000万円の取得の為高額特定資産に該当し、簡易課税制度選択届出書は制限があるという理解でよろしいでしょうか。

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居住用賃貸住宅の仕入税額控除の制限 その1

《質問》

 顧問先法人が、熱海に従業員用の保養所としてリゾートマンションの一室を購入しました。税務調査が令和6年4月にあり、控除税額は認められないとのことです。
 リゾートマンションで作りが居住用、さらに保養所の看板がついていないから居住用でしょう、と指摘されています。本件保養所が居住用でない旨の書類を提出して欲しいとのことです。
 弊社としては居住用とは年単位で住むものと認識しているので、社宅・寮はそのような使い方をすることもあるかと思いますが、保養所は継続的に住むものではないかと思いますので入り口から議論がすれ違っている感じがします。

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種類株式がある場合の使用人兼務役員の判定など

《前提》

 普通株式とA種類株式(内容は配当優先&議決権なし)を発行している会社があります。
・発行済株式数15,000株
<内訳>
・代表取締役社長                普通株式1,000株
・社長の子(取締役営業部長に就任予定)     A種類株式1,000株
・従業員持株会(民法上の組合方式で構成員は赤の他人で5名)
            A種類株式13,000株 (2,600株×5人=13,000株)

① 同族会社の判定1
1. 持ち株で判定
 民法上の組合形式の持株会は構成員5名の合計株数を1人の株主グループとするのか、各構成員を1グループとするのかどちらでしょうか。
 次頁資料を見ると議決権の不統一行使が可能なので単独で判定するとあります。

 単独判定だとすると持ち株会の上位3人×2,600 = 7,800 / 15,000 = 52%
50%超なので同族会社1人の株主と見ると、(第1グループ持株会13,000+第2グループ社長一族2,000) /  15,000=100%
50%超なので同族会社どちらが正しいでしょうか。

2. 議決権で判定1,000 / 1,000 = 100%  50%超なので同族会社

② 同族会社の判定2
 私の理解ですと、持ち株判定と議決権判定のどちらか大きい方で判定するとの理解ですが合っていますか。

③ 社長の子の使用人兼務役員の判定について
 上記判定2が正しいとすると、議決権割合で判定すると社長グループが100%になるので議決権で判定する ⇒ 同族会社 ⇒ 50%基準と10%基準は満たすが5%基準は満たさない(議決権がない)ので、使用人兼務役員になれるとの理解ですが合っていますか。

④ みなし役員の可能性
 仮に社長の子がただの部長に就任した場合みなし役員とされる可能性はありますか。

⑤ 執行役員について
 社長の子が、社内呼称及び名刺に常務執行役員と記載する(会社法の取締役ではないので登記はない)だけにした場合、役員ではないので、定期同額給与でなくてもOK&事前確定届も提出する必要ないので支払う賞与は損金算入OKだと考えますが正しいでしょうか。

〔木本税務会計事務所コラム〕

木本税務会計事務所コラム

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国外転出時課税(相続)

《事実関係》

居住者のAが亡くなりました。相続人は妻Bと子C・Dです。
 子Cは非居住者に該当します。
 相続財産には有価証券(上場株式)があり、時価1億円は超えています。
 子Cは相続財産である上場株式を取得した後に売却することを予定しています。

《質問》

 国外転出時課税(相続)に該当するかと思いますが次の点についてご教示ください。
 NISA口座で管理する株式等がありますが、国外転出時課税(相続)の判定はどのようになりますか。また、所得税の非課税の扱いはどうなりますか。
 譲渡した場合の課税関係はどうなりますか。

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