公正証書遺言で全財産をユニセフに寄付する場合

《前提》

被相続人 A
相続人  Aの母、Aの兄

《質問》

Aが公正証書で全財産をユニセフに寄付との遺言を残しています。(約2億円)
Aの母には遺留分の放棄もしてもらってます。
基本的には母、兄には一切かかわりを持ちたくないということです。
遺言執行人はAの友人です。
執行人の報酬としては公正証書にて車(約300万円相当)と記されています。
そこで、まず、
① 相続税申告が必要であるか否か
② 必要な場合申告書の提出はだれが行うか
③ 遺言執行人の報酬について何らかの課税は発生するか
以上、ご教示ください。

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平成30年 確定申告直前誤りやすいポイント解説(資産税)

Ⅰ譲渡所得関係

1 取得費について
 買入時の契約において建物と土地の価額が区分されていない場合には、「建物の標準的な建築価額表」を基に建物の取得価額を計算しても差し支えない。
 (消費税導入後、不動産業者等から買い入れた場合には、原則的に建物に係る消費税が表示されていることから、建物と土地の価額が区分されている。)
 なお、実際の取得価額が不明な場合には、譲渡価額の5%を概算取得費として計算することが原則であるが、建物については、前記と同様の方法によっても差し支えない。
 しかし、土地について、「市街地指数」等によって買入時の価額を推計することにはリスクが伴うため、慎重に検討する必要がある。
(参考情報・・・平成12年11月16日裁決)

2 収用補償金の所得区分について
 公共事業等の収用補償金は、支払名目により所得区分が異なるので、内容を吟味して所得区分を判定する必要がある(参考資料参照)。
 なお、経費補償金等について課税の延期を行う場合には、「収益補償金等の課税延期申出書」の提出が必要となる。

3 重複適用できない特例関係について
 重複して適用できない特例があるため、各種特例を適用する際には留意する必要がある。
(1)居住用財産の買換え(交換)特例(措法36の2、措法36の5)と居住用財産を譲
渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3)
(2)住宅借入金等特別控除の特例(措法41)と居住用財産の買換え(交換)の特例(措法36の2、揩法36の5)若しくは特別控除の特例(措法35①)又は居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3)
(3)被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(措法35③)と相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例(措法39)

4 被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除の特例について
(1)この特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、被相続人が主として居住の用に供していた「一の建築物」に限られるため、被相続人が主として居住の用に供していた母屋とは別の建築物(離れ、倉庫、車庫等)及びその敷地に対応する部分(面積)については、母屋との一体利用の有無に関わらず、この適用対象から除かれる。
(2)被相続人居住用家屋が一定の耐震基準を満たしていない場合には、その敷地の譲渡日(原則として引渡日とし、契約日を譲渡日として申告した場合は契約日。)までに当該家屋の取壊しを了していない限り、この特例の適用を受けることはできない。
 ※譲渡物件の引渡後に買主の負担で建物を取り壊す場合は、特例の適用受けることはできない。
(3)被相続人居住用家屋に被相続人以外の者が居住していた場合(相続開始後も含む)は、この特例を受けることはできない。
(4)この特例を受ける場合、「特例対象譲渡物件」部分については「相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例」(措置法第39条)の特例を受けることはできないが、「特例対象譲渡物件」以外の部分については、同一に譲渡した場合であっても措置法第39条の適用を受けることができる。
(5)この特例の適用を受けようとする場合、被相続入居住用家屋又は当該家屋の敷地を相続により取得した他の相続人に対し、この特例の適用を受ける譲渡をした旨、譲渡した日等を通知しなければならない。

5 特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除について
(1)平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得した土地等を譲渡した場合には、1, 000万円の特別控除の適用がある。
(2)この取得について、譲渡人の配偶者、直系血族、生計を一にしている親族、事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者と生計を一にしている親族、等(措置法施行令第23条の2第1項参照)からの取得は除かれている。
また、取得の原因について、相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済、等(措置法施行令第23条の2第2項参照)による取得は除かれている。
(3)この特例の適用は、土地又は土地の上に存する権利(借地権等)に限られていることから、建物等の譲渡による譲渡所得には適用されない。
したがって、土地及び建物を一括して譲渡した場合には、当該譲渡による譲渡所得のうち、土地の譲渡に対応する部分についてのみこの特例の適用がある。

6 相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例について
(1)物納した土地及び物納申請中の土地については、相続等により取得した土地等から除かれる。
(2)超過物納により過誤納金を受領した場合、この特例の適用がある。
(3)代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合の取得費加算の計算については、措置法通達39-7によることに留意する。
 なお、代償分割により取得した土地を譲渡してもこの特例の適用はない。
(4)措法第39条の計算における「相続税の課税価格」とは、相続税の申告書第1表①欄「取得財産の価額」に②欄「相続時精算課税適用財産の価額」と⑤欄「純資産に加算される贈与財産の価額」を加えた価額である(債務控除は行わない)。

7 株式の譲渡について
 「源泉徴収口座」による株式の譲渡を申告した場合、所得金額が増加することから、国民健康保険税、後期高齢者医療保険料、介護保険料が増加する。この場合、申告した後において申告しないこととする変更はできないため、特に留意する必要がある。

Ⅱ贈与税関係

1 直系尊属(父母又は祖父母等)からの贈与について
 特例税率の適用に当たって、受贈者の年齢判定の基準日は、その年(贈与をした年)の1月1日現在において20歳以上の者であることに留意する。

2 相続時精算課税の特例について
(1)年齢判定の基準日こついて、贈与者、受贈者ともに、贈与を行った年(受けた年)の1月1日現在において贈与者は60歳以上、受贈者は20歳以上であることに留意する。
(2)特例を受ける場合には、宥恕規定がないため、申告期限内に申告書、選択届出書及び添付書類を提出する必要がある。
 2年目以降にこの特例を受ける場合にも、宥恕規定がないため、期限内申告を行わないと特別控除の残額があっても控除することはできない。
(3)この特例の適用を受けて申告した財産の評価に誤りがあった場合、期限内申告書に特別控除を受けようとする財産について記載があることから、正しい控除を受ける金額の記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認める場合には、その記載をした修正申告書の提出があったときに限り、特別控除の適用を受けることができる(相続税法第21条の12第3項)。
 更正の請求においても同様の解釈ができる。
(4)特定贈与者から贈与を受けた財産の一部を申告し、一部について申告漏れがあった場合、期限内申告書に特別控除を受けようとする財産についての記載がないことから、特別控除の適用はない。したがって、特別控除の額は期限内申告の額のままで、修正申告をする必要がある。

            主な収用補償金の課税区分一覧表
  補償金の種類 税法適用上の区分   所 得 区    摘  要
土地の取得に係る補償 対価補償金 分離譲渡所得 棚卸資産を除く。
土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償
残地保証
建物等の移転料 建物移転料 移転補償金 一時所得 実際に建物等を取り壊した場合には、対価補償金として分離譲渡所得とすることができる。ただし、棚卸資産を除く。
工作物移転料
動産移転料  
仏壇・神棚移転料  
仮住居補償  
仮倉庫補償  
仮車庫補償  
移転雑費 移転先等の選定に要する費用 交付の目的に従って支出した場合には、総収入金額に算入しない。
法令上の手続きに要する費用
転居通知費・移転旅費
その他雑費 補償の実体的な内容に応じて判定。
立木 庭木 移転補償金 一時所得 伐採をした場合は総合譲渡所得。
収穫樹
用材林 対価補償金 山林所得 所有期間が5年を超えるもの。
就業不能補償 収益補償金 事業又は雑所得  
営業補償  
特産物補償  
天恵物補償  
家賃減収補償 不動産所得  
墳墓改葬料 精神補償金 非課税  
弔祭料  
祭祀料(遷座祭典料)  
飲料水補償 その他の補償金 一時所得  
し尿処理補償

《参考資料》

番号法施行規則の改正についてのお知らせ

平成29年分 土地や建物の譲渡所得のあらまし

建物の標準的な建築価額表

特例の適用を受ける場合に申告書に添付する書類

土地や建物などの譲渡所得について主な特例の適用を受ける場合の 申告書添付書類チェックシート

被相続人居住用家屋等確認申請書

 

貸地の一部を返還された場合の借地権の取扱いについて

《前提》

地主は法人、借地人は個人(個人事業用)。
借地人個人は普通借地権所有。
借地人個人は30坪の借地権を有し、ここに2棟の建物を建て事業を行っていた。
5年前に借地契約の更新に当たり、更新期間20年ということで400万円の更新料を授受した。
借地人個人は、5年経過した今になって1棟(敷地10坪分)を取壊した上で10坪分の借地権を返してきた。
同時に5年前授受した更新料のうち100万円の返還を求めてきたため、支払うことにした。
100万円の算定根拠
  400万円 × 10坪/30坪 × 15年/20年 = 100万円

《質問》

 返還した100万円は、経費として落とすことは可能ですか。それとも無償返還された借地の買取価格として土地勘定になりますか。

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小規模宅地の特例(貸付事業用)の適用について

《概要》

被相続人(母親)が平成29年3月に死亡。
相続人は2人(長男・次男)です。
母親の自筆遺言書があり、裁判所の検認は済みました。
相続財産に土地が複数あり、2人に相続させる内容です。
相続人間で揉めていて、裁判になる予想です。
次男より、相続申告の依頼を受けております。
相続人全員の選択同意書は揃えられません(長男から委任状はもらえません。)。

《質問》

1. この場合に、遺言書通りに分けて、次男の相続する土地のみ小規模宅地の特例(貸付事業用)を適用して申告すると、税務上問題はありますか。

2. 小規模宅地の特例は期限後申告又は、更正の請求でも認められますか。

3. 長男が遺贈で取得した土地も貸付事業用宅地ですが2人合わせて200㎡以下の場合でも選択同意書は必要ですか(これ以外に特例対象宅地はありません。)。

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個人所有地に同族法人が設定した定期借地権の算定について

《前提》

(1)同族関係
   個人 甲
   甲と同族関係にある同族法人 乙(以下「乙法人」)

(2)不動産の保有状況
   建物A⇒「乙法人」が100%所有
   土地B⇒建物Aの敷地⇒1/3を「乙法人」が所有
             ⇒2/3を「甲」が所有

(3)甲・乙間の契約状況 一般定期借地権契約を締結
  <一般定期借地権の契約内容>
 1. 契約期間 : 平成7年2月から50年契約
 2. 地代 : 月額562,600円
 3. 土地Bの財産評価基本通達上の自用地評価額(路線価額)152,737,963円
  (2/3部分の価額。全体では229,106,945円)
 4. 契約は甲の親「丙」(平成21年1月死亡)が乙法人と締結している。
 5. 相続により本件土地を甲が取得。
 6. 契約承継の覚書等は交わしていないが、甲が丙の契約を事実上承継
 7. 丙の相続申告時における土地Bの評価方法
    別添資料より、一般定期借地権の目的となっている土地の評価方法に
   準じ「課税上弊害がある場合」の評価方法により、自用地価額から定期
   借地権評価額を控除する方法により評価をしている。
    この際の定期借地権の価額は,契約残存期間が15年以上であるため自
   用地価額の20%としている。(相続税の税務調査も済んでいるが特に
   指摘はなし。)
 8. 権利金の授受、保証金はございません。

《質問》

1. 定期借地権の測定について(相続申告時)
 上記定期借地権の評価額は、複利年金原価率等により定期借地権の評価額を算定した場合にはほとんど評価額が算出されないものの、実際に土地上に建物が存在することを斟酌し、減額が認められているものと理解しております。
 また、この際、同族法人の株価算定上も20%の価額にて純資産価額評価を行うこととされており、これに準じて評価を行っています。
2. 本件売却における土地売却額の甲、乙の配分について当方では、売却にあたっては上記斟酌を考慮せず、実際の定期借地権評価額がほとんど発生していないことから、乙法人は建物のみ(あるいは建物と実額で計算した些少な定期借地権)を売却し、甲が土地のほとんどを売却したものと考えておりますが、いかがでしょうか。
 合理的な算定方法等、ご教示いただけれぱと思います。

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離婚後一括で養育費を受け取った場合

《質問》

 離婚した当時、公正証書で養育費及び婚姻費用の支払に関する取り決めがなされており、養育費については「定期金で毎月○○円を子の死亡時まで支払う」とされておりました。(婚姻費用については平成39年までです)。
 ところが、支払義務者の収入が減ったこともあり、支払義務者が養育費を「○○年まで」と終期調停を申し立てました。
 現在、一時金で支払うという案が出ているのですが、その場合家庭裁判所で取り決めた場合でも贈与税が課税されるのでしょうか?
 そこに、「養育費として一時金○○円を支払う」「婚姻費用として一時金〇〇円を支払う」と記載しておけば、大丈夫かと思えるのですがいかがでしょうか?

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養老保険の契約者を変更後、相続が発生・満期となった場合の課税関係について

《質問》

 10年前に父が一時払いの養老保険の契約者となり保険料の払込みを行いました。被保険者と満期保険金の受取人は子、死亡保険金の受取人は父でした。
 5年経過し契約者の名義を父から子に変更しました。
 その後2年経過し父の相続が発生しましたが、この養老保険の件については、相続申告の際、相続財産として申告していません。
 この度この養老保険が満期となり、子が満期保険金を受け取りました。 この養老保険満期に伴う所得税の課税、相続税の申告はどのように処理するのがよろしいのでしょうか。

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特定遺贈がある遺言書について遺産分割協議を行った場合について

《質問》

相続人A
法定相続人B、C
受遺者D、E
相続開始日 平成28年12月
相続財産 現預金1億円のみ
遺言書の内容  Bに5,000万円、Cに1,000万円、D、Eに各2,000万円遺贈する。

上記遺言書がある場合においてBとCの相続分合計6,000万円についてのみB、C間で遺産分割協議を行い遺言書と異なる分割をすることは可能でしょうか?
例えば、Bが3,000万円、Cが3,000万円取得するといった分割協議を行う場合はいかがでしょうか?
懸念しているのは、上記遺産分割協議がそもそも有効なのかという点、遺産分割協議を行ったことにより、D、Eへの特定遺贈が無効となり贈与となったり、BからCへの贈与と扱われたりしないかという点です。

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建て替え中の居宅敷地にかかる小規模宅地等の特例の適用について

《質問》

相続人A,B,Cの3人での当初申告を、平成18年に未分割のまま提出していましたが、この3名が上手く分割協議できなかったために、裁判で10年ほど争われていました。
そして、昨年の12月に和解が成立し、今回更正の請求を4か月以内の4月に提出します(相談を受けたのは今年の2月)。
当時、旧自宅がありそこに被相続人と相続人Aが居住していましたが、それを取壊し建替え中に被相続人が亡くなりました。その後、新自宅が建ち、現在は相続人Aがそこに居住しています。(登記は未登記です)
この時、小規模宅地等の特例は適用可能なのでしょうか?(申告期限後3年以内の分割見込書・遺産が未分割であることについてやむをえない事由がある旨の承認申請書は提出されています)
また、適用が可能であるとして、敷地300㎡を相続人B,Cと1/3ずつ当該土地を分割することで和解調書がまとまったのですが、当時の適用限度面積240㎡のうち、そこに住み続けるAは80㎡のみしか適用は不可なのでしょうか?相続人B,Cは別のところに住居を構えています。

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保証債務特例の適用について

《質問》

 以下の状況等の場合、所得税法64条2項に基づき保証債務特例が適用できますか?
 具体的には、求償権行使不能の要件である債務超過の判定において、代表者借入金の扱いはどうなるのでしょうか?

〈会社の状況〉

資産 100,000千円(時価評価額は現在精査中)
負債 200,000千円
 負債のうち金融機関借入金 50,000千円
 負債のうち代表者借入金  150,000千円
差引 △100,000千円(債務超過)

〈今後のスケジュール〉
5/31 代表者個人の不動産(土地建物)を売却(250,000千円)
   金融機関よりの督促前
6月 当該売却代金をもって金融機関借入金を返済(保証人として弁済)
   代表者が会社に対して求償権を取得
7/30 解散予定(速やかに清算結了を目指す)

〈懸念事項〉
保証債務特例の適用に当たり、求償権の行使不能が要件となりますが、「求償権を放棄してもなお債務超過であること」の条件について、以下の疑念を持っております。いかがお考えでしょうか?

・当該会社は債務超過であることは間違いありませんが、負債のうち大部分を代表者からの借入金が占めており、当該借入金の放棄を受ければ債務超過は解消することになります。代表者の意思でコントロールできる当該借入金を加味して債務超過と判定して問題ないでしょうか?
(債務超過の状況は5年以上継続しています)

・債務超過の判定は時価ベースで行うのが当然ではありますが、当然に負債も時価評価するとなれば、代表者借入金の債務超過部分は返済不能であることから、時価は相当程度低いものになります。すなわち、時価ベースでの債務超過部分は回収不能となり、純資産は理論上プラスとなるため、債務超過の要件に当てはまらないのではないかと疑念を抱いております(DESにおける債務消滅益と同様の考えになるでしょうか)。

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