確定申告に当たっての注意すべき事項⑵

今回は、所得税関係の一般的な取扱いで誤りやすい事例を解説させていただきます。

【問1】
 年の中途で死亡した場合、被相続人に所得があった際の申告等はどのようになりますか。

【答】
 次表のようになります。

死亡時期 所得税 住民税
令和3年(2年分確定申告後) ・令和3年分死亡時までの所得について課税
・相続人は死亡後4月以内準確定申告を要す
令和3年分(住民税では4年度)死亡時までの所得に対しては課税なし
令和4年(3年分確定申告前) ・令和3年分の1年間分、4年分死亡時までの所得について課税
・相続人は死亡後4月以内に各年分について準確定申告を要す
・令和3年分(住民税4年度)の所得については課税(相続人が納税義務)
令和4年分(住民税5年度)死亡時までの所得については課税なし

【問2】
 一括償却資産で計上した後、相続または法人成した場合に必要経費算入はどうなりますか。

【答】
 一括償却資産につき相続があった場合には、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分については、原則として死亡した日の属する年分の事業所得等の必要経費に算入することとし、例外的に死亡した日の属する年の翌年以後の各年分に対応する部分については、相続により業務を承継した者の必要経費に算入することとしても差し支えないものとされています(所得税基本通達49-40の3)。
 法人成りの場合には、事業が廃止され、その事業を承継する人もいないので、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分は、全て廃業した日の属する年分の事業所得の必要経費に算入します(国税庁ホームページ「質疑応答事例」より)。

【問3】
 居住用建物を取り壊して、業務用建物に建て替えた場合に、当該居住用建物の取壊しによる損失、取壊費用を必要経費に算入することはできますか。

【答】
 非業務用資産の資産損失と取壊費用は、自己の財産の任意の処分と考えられているため、必要経費に算入することはできません(所法45①一)。また、新しく建てられる業務用建物の取得価額にも算入できません。
業務用資産を含む課税上の取扱いについては次表のとおりとなります。

建物の用途 取壊しの目的 取扱い
資産損失 立退料 取壊費用
業務用資産 建替え後、業務用資産として使用 必要経費
(注2)
必要経費 必要経費
建替え後、非業務用資産として使用 必要経費
(注1)(注2)
必要経費(注1)
非業務用資産 建替え後、業務用資産として使用 家事費 該当なし 家事費
建替え後、非業務用資産として使用

(注1)アパートの賃貸をやめた後、建替工事が速やかに行われることが必要
(注2)事業的規模でない場合には所得金額が上限

【問4】
 アパートの建築に際して支払った借入金利子、印紙代、登記費用、不動産取得税について必要経費等の処理はどのようになりますか。

【答】
 アパート建築は請負契約時から業務開始となり、従って印紙代、登録免許税等登記費用、不動産取得税は所基通37-5によって必要経費算入となります。
 借入金利息については、業務開始後(本件の場合建物建築請負契約後)使用開始前の期間利子は所基通37-27によって原則として必要経費算入となりますが、取得価額算入も認められます。使用開始後の期間利子は同通達によって必要経費算入となります。
① 固定資産取得時の租税公課の取扱い

業務用 非業務用
固定資産税 必要経費
(所基通37-5)
家事費
登録免許税(登記・登録費用含む) 取得費算入
(所基通38-9)
不動産取得税

※ 特許権・鉱業権の登録に係る登録免許税は取得費算入(所基通49-3)
※ 船舶・業務用車両等の登録費用は必要経費又は取得費算入の選択(所基通49-3)

② 借入金利息(抵当権設定費用等含む)の取扱い
(1)業務用

項目 取扱内容
業務開始前の期間利子 取得費算入(所基通37-27)(注)➡所基通38-8
(非業務用資産取得のための借入金利子と同じ扱い)
業務開始後・使用開始前の期間利子 原則 必要経費(所基通37-27)
例外 取得価額算入(所基通37-27)
使用開始後の期間利子 必要経費(所基通37-27)

(2)非業務用

項目 取扱内容
取得から使用開始前までの期間利子 取得費算入(所基通38-8)
使用開始後の期間利子 家事費

【問5】
 事業所得者や不動産所得者の青色申告承認申請の提出期限はどのようになっていますか。

【答】
次表のとおりとなります。

事例 提出期限
通常 原則 承認を受けようとする年の3/15
1/16以降業務開始 業務開始から2月以内
相続の場合 被相続人
青色
死亡日1/1~8/31 死亡日から4月以内
〃9/1~10/31 死亡年の12/31
〃11/1~12/31 翌年2/15
被相続人 白色  業務開始から2月以内

(所法144、所基通144-1)

【問6】
青色専従者給与の届出の期限はどのようになっていますか。

【答】
次表のとおりとなります。

事例 提出期限
通常 原則 承認を受けようとする年の3/15
1/16以降業務開始又は新規に専従者 業務開始から2月以内
専従者給与の額の変更又は新たに専従者が加わる 遅滞なく

【問7】
 事業所得が赤字で、不動産所得が事業として行われていない場合の青色申告特別控除額(55万円又は65万円)は適用できますか。

【答】
 不動産所得が事業として行われていなくても、事業所得がある場合には、他の要件を満たすことで、青色申告特別控除55万円(e-Taxの場合65万円)を不動産所得から差し引けます(措法25の2③)。

【問8】
 退職所得の所得税、住民税における課税の取扱いの違いを説明してください。

【答】
 所得税においては、源泉徴収され通常は確定申告に含める必要はありません。しかし、給与所得等総所得金額から所得控除が差し引けない時は、退職所得を申告のうえ所得控除額を差し引きすることができます(結果として源泉税の還付が受けられます。)。損益通算や損失の繰越控除もできます。
 また、申告しなくても合計所得金額や総所得金額等には含まれますので扶養親族の判定や住宅ローン控除適用の際には注意を要します。
 一方、住民税では特別徴収され、課税関係が終了します。したがって、損益通算や損失の繰越控除、所得控除の額を控除することはできません。また、合計所得金額や総所得金額等の合計額にも含まれません(地法50の2、328)。

【問9】
 平成20年に金地金300グラムを90万円で購入し、令和3年に210万円で売却した場合の所得区分はどうなりますか、また、所得金額等はいくらですか。

【答】
 金地金の譲渡による所得は総合課税の譲渡所得となります。
 所得金額は、次のとおり算出します。

収入金額210万円-取得価額90万円-特別控除50万円=所得金額70万円

 他に所得がなければ、5年超所有の譲渡所得の課税標準、合計所得金額は
70万円×1/2=35万円となります。
 ちなみに、譲渡対価の額が200万円を超える場合、税務署へ支払調書が提出されます。

【問10】
 コロナ関連の医療費控除はどのようになっていますか。

【答】
「新型コロナウィルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」(国税庁H.Pより)にて解説しています。以下を参照ください。

問12-1
 マスク購入費用の医療費控除の適用について〔令和2年10月23日追加〕

私は、新型コロナウイルス感染症を予防するために、マスクを購入しましたが、この購入費用は、確定申告において医療費控除の対象となりますか。

〇 ご質問のマスクについては、病気の感染予防を目的に着用するものであり、その購入費用はこれら のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。
※ 健康維持を目的とするビタミン剤の購入費用など病気の予防のための費用も医療費控除の対象となりません。

問12-2
 PCR検査費用の医療費控除の適用について〔令和2年10月23日追加〕

 私は、先日、新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受けましたが、この検査費用は確定申告において医療費控除の対象となりますか。

【 :医師等の判断によりPCR検査を受けた場合】
〇 新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある方に対して行うPCR検査など、医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記の費用に該当するため、医療費控除の対象となります
〇 ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限りますので、公費負担により行われる部分の金額については、医療費控除の対象とはなりません。(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)
【 :上記 以外の場合(自己の判断によりPCR検査を受けた場合)】
〇 単に感染していないことを明らかにする目的で受けるPCR検査など、自己の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません
〇 ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その場合の検査費用については、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-4参照)。
※ 医療費控除の適用を受ける場合は、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付してください。
医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができます。
なお、「医療費控除の明細書」の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示又は提出を求める場合があります。

問12-3
 オンライン診療に係る諸費用の医療費控除の適用について〔令和2年10月23日追加〕

私が通院している医療機関では、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、オンライン診療を導入しています。
このオンライン診療においては、自宅から医師の治療が受けられるのはもちろん、診療により処方された医薬品については、医療機関から私が希望した薬局に処方箋情報が送付され、その薬局から自宅への配送もできる仕組みとなっています。
オンライン診療は大変便利ですが、この仕組みを利用するためには、以下のとおり、オンライン診療料に係る費用のほか、システムの利用料の支払が必要となりますが、これらの支出は医療費控除の対象となりますか。
オンライン診療料
オンラインシステム利用料
処方された医薬品の購入費用
処方された医薬品の配送料
〇 ご質問のオンライン診療に係る費用については、それぞれ次のとおりとなります。
オンライン診療料
オンライン診療料のうち、医師等による診療や治療のために支払った費用については、医療費控除の対象となります(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。
オンラインシステム利用料
医師等による診療や治療を受けるために支払ったオンラインシステム利用料については、オンライン診療に直接必要な費用に該当しますので、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-3参照)。
処方された医薬品の購入費用
処方された医薬品の購入費用が、治療や療養に必要な医薬品の購入費用に該当する場合は、医療費控除の対象となります(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項2号)。
処方された医薬品の配送料
医薬品の配送料については、治療又は療養に必要な医薬品の購入費用に該当しませんので、医療費控除の対象となりません。

 

確定申告に当たっての注意すべき事項⑴

今年も確定申告に当たって注意すべき事項を解説させていただきます。
今回は、令和3年度から影響する主な改正点について説明させていただきます。

1 国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の改正
 ⑴ 国外の中古建物の賃貸による所得について損失が生じた時は、その損失の内、国外中古建物に係る減価償却費㊟相当額の損失は生じなかったものとみなすことになりました。したがって、その損失額は所得内通算や他の所得との損益通算はできません。
㊟ 減価償却費の算出にあたり、耐令3①一または二(中古資産)の規定による耐用年数としているものだけが該当します。
 ⑵ 国外中古建物を譲渡する場合には、生じなかったものとみなす建物の減価償却費相当額の損失は、譲渡所得の計算上取得費に含めて所得金額を算出します。
 なお、上記の改正は、令和3年分から適用されます。令和3年以降取得する国外中古建物だけでなく、令和2年以前から所有していた国外中古建物についても上記特例が適用になります(令和2年度改正、措法41の4の3)。
 ⑶ 申告に際しては、青色申告決算書又は収支内訳書に次の付表《国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例》を添付します。
※[付表のリンク]
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/pdf/0021012-103_02.pdf

2 住宅税制(「令和3年度 所得税の改正のあらまし」より)
 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に係る居住の用に供する期間等の特例 (新型コロナ税特法6の2)について、次のとおり、措置が講じられました。
 ① 住宅の新築取得等で特別特例取得に該当するものをした個人が、その特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年 12月 31 日までの間にその者の居住の用に供 した場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除、認定住宅の新築等に 係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例及び東日本大震災の被災者 等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例並びにこれらの控除の控除期間の3年間延長の特例を適用することができることとする(新型コ ロナ税特法6の2①)。
 ② 個人又は住宅被災者が、国内において、特例居住用家屋の新築取得等で特例特別特例取得に該当するものをした場合には、上記①の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に係る居住の用に供する期間等の特例を適用することができることとする。た だし、その者の13年間の控除期間のうち、その年分の所得税に係る合計所得金額が1,000 万円を超える年については、この②の特例を適用しない(新型コロナ税特法6の2④~ ⑦)。
(注)1 上記①の「特別特例取得」及び上記②の「特例特別特例取得」とは、それぞれその取得に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等相当額が、その取得に係る課税資産の譲渡等につき現行の消費税率により課されるべき消費税額及び当該 消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額の合計額に相当する額であ る場合における住宅の新築取得等又は特例居住用家屋の新築取得等のうち、その契 約が次の期間内に締結されているものをいう(新型コロナ税特法6の2②⑩、新型 コロナ税特令4の2①⑭)。
 イ 家屋の新築の場合…令和2年 10月1日から令和3年9月 30 日まで
 ロ 家屋の取得又は家屋の増改築等の場合…令和2年 12月1日から令和3年 11 月 30 日まで
(注)2 上記②の「特例居住用家屋」とは、居住の用に供する次の家屋をいう(新型コロ ナ税特法6の2④、新型コロナ税特令4の2②)。
イ 一棟の家屋で床面積が 40 ㎡以上 50 ㎡未満であるもの
ロ 一棟の家屋で、その構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途 に供することができるものにつきその各部分を区分所有する場合には、その者の 区分所有する部分の床面積が 40 ㎡以上 50 ㎡未満であるもの
 ③ 要耐震改修住宅を耐震改修した場合の特例についても上記①及び②の特例が適用で きる措置を講じるほか、所要の改正を行う(新型コロナ税特法6の2⑥⑧等)。
※詳細は、下記リンクを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

3 還付申告義務見直し
 所得税の確定所得申告(所法 120)等について、その計算した所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合であっても、控除しきれなかった外国税額控除の額があるとき、控除しきれなかった源泉徴収税額があるとき、又は控除しきれなかった予納税額がある ときは、その申告書の提出を要しないこととするほか、源泉徴収税額等及び予納税額の還付に係る還付加算金の計算期間等について、所要の整備が行われました(所法 120、122、123、125、127、159、160、166 等)
 この改正は、令和4年1月1日以後に提出期限が到来する所得税の確定申告書について適用されます(改正法附則7)。
○ケース1
給与所得 500万円(年調済み)医療費控除30万円 申告納税額▲2万円
【改正前・還付申告(確定申告義務なし)➡ 改正後・変わらず】
○ケース2
給与所得 200万円 雑所得(公的年金)150万円
所得控除250万円 源泉徴収税額10万円 申告納税額▲5万円
【改正前・確定申告義務あり➡ 改正後・還付申告(確定申告義務なし)】
○ケース3
事業所得(青色控除65万円) 300万円 所得控除 200万円 源泉徴収税額 40万円
申告納税額 ▲35万円
【改正前・確定申告義務あり➡ 改正後・還付申告(確定申告義務なし】
(注) 青色申告特別控除(55万円又は65万円)の適用を受けるためには、確定申告期限までに申告書の提出をする必要があります(措置法通達25の2-6)。
 また、確定申告義務がなくなった方でも一定の基準を超えた場合、財産債務調書の提出を要します(国外送金調書法6の2)。
※詳細は、下記リンクを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/zaisan_saimu/pdf/zaisan_chirashi.pdf

4 中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(「令和3年度 所得税の改正のあらまし」より)
 その対象資産から匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものを除外した上、その適用期限が2年延長されました(措法 10 の3①)。
 この改正は、令和3年4月1日以後に取得等をする対象資産について適用されます(改正法附則 27)。

5 適用期限の延長措置(「令和3年度 所得税の改正のあらまし」より)
次の措置について、その適用期限が2年延長されました。
① 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償 却又は所得税額の特別控除(措法 10 の4①)。
② 特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の 特別控除(措法 10 の5の3①)。
③ 医療用機器等の特別償却(措法 12 の2①~③)。
④ 事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却(措法 13 の2①)。
⑤ 特定都市再生建築物の割増償却(措法 14①)

6 税務関係書類における押印義務(「令和3年度 所得税の改正のあらまし」より)
 提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類において、原則として、押印を要しないこととするほか、所要の措置が講じられました(通則法 124②等)。

7 確定申告からふるさと納税(寄附金控除)の申告手続が簡素化
 制度の概要
 寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告書に特定寄附金の受領者が発行する寄附ごとの「寄附金の受領書」の添付が必要とされていますが、令和3年分の確定申告から、特定寄附金の受領者が地方団体であるとき(ふるさと納税であるとき)は、寄附ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することができることとされました。
 寄附金控除に関する証明書の提供を受けた寄附者は、次の方法により確定申告を行うことができます。
・ 特定事業者のポータルサイトからダウンロードした証明書データをe-Taxを活用して確定申告書に添付して送信する方法
※ 確定申告書等作成コーナーでは、証明書データを自動反映させて控除額の計算を行うことができます(個々のデータを入力する必要がないので便利です。)。
・ 特定事業者のポータルサイトからダウンロードした証明書データを国税庁が提供するQRコード付証明書等作成システム(注)で読み込み、これをプリントアウトした書類を確定申告書に添付して申告する方法
(注) QRコード付証明書等作成システムについては、令和3年10月頃、更新し、「寄附金控除に関する証明書」の出力に対応する予定です。
・ 郵送で交付を受けた証明書を確定申告書に添付して申告する方法

8 利子所得の分離課税等(「令和3年度 所得税の改正のあらまし」より)
 同族会社が発行した社債の利子等で、その 同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊の関係のある個人及びその親族等が 支払を受けるものを、総合課税の対象とすることとされました(措法3①四、措令1の4 ⑤等)。
 (注)
 1 上記の「法人と特殊の関係のある個人」とは、その法人との間に発行済株式等 の 50%超の保有関係等がある個人をいいます(措令1の4③④等)。
 2 一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例(措法 37 の 10)における償還金についても同様の改正が行われています。
 《適用関係》この改正は、令和3年4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子等について 適用されます(改正法附則16等)。

9 経営セーフティ共済の必要経費に関する明細書
 個人事業主が、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための同法第二条第二項に規定する共済契約に係る掛金(通称「経営セーフティ共済掛金』といいます。)を支出した場合には、『特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書(下記サイトを参照してください。)』に必要事項を記入し、確定申告書に添付する必要がありますのでご注意ください。。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/061.pdf

10 その他
 次の事項は、改正ではありませんが、家事関連費の按分の際に影響がでることも考えられますので紹介させていただきます。(「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」より)
 【問6】 通信費に係る業務使用部分の計算方法
従業員が負担した通信費について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のため に使用した部分はどのように計算すればよいですか。
 【答】
〇 電話料金
イ 通話料
 通話料(下記ロの基本使用料を除きます。)については、通話明細書等により業務の ための通話に係る料金が確認できますので、その金額を企業が従業員に支給する場合 には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。 なお、業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、通話明細書等による業務のための通話に係る料金に代えて、例えば、次の【算式】により算出 したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えありません。
(注)業務のための通話を頻繁に行う業務とは、例えば、営業担当や出張サポート担 当など、顧客や取引先等と電話で連絡を取り合う機会が多い業務として企業が認めるものをいいます。
ロ 基本使用料
 基本使用料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。
例えば、次の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。
〇 インターネット接続に係る通信料 基本使用料やデータ通信料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。 例えば、次の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。
(注)従業員本人が所有するスマートフォンの本体の購入代金や業務のために使用したと認められないオプション代等(本体の補償料や音楽・動画などのサブスクリプションの利用料等)を企業が負担した場合には、その負担した金額は従業員に対する給与と して課税する必要があります。

【算式】
業務のために     従業員が負担した  その従業員の1か月の   ※
使用した基本  = 1か月の基本使用料 ×  在宅勤務日数  × 1/2
使用料や通信料等   や通信料等       該当月の日数

※ 上記算式の「1/2」については、1日の内、睡眠時間を除いた時間の全てにおいて 均等に基本使用料や通信料が生じていると仮定し、次のとおり算出しています。
 ① 1日:24 時間
 ② 平均睡眠時間:8時間 (「平成 28 年社会生活基本調査」(総務省統計局)で示されている7時間 40 分を切上げ)
 ③ 法定労働時間:8時間
 ④ 1日の内、睡眠時間を除いた時間に占める労働時間の割合 :
  ③÷(①-②)= 8時間/(24 時間-8時間)= 1/2
【例】 従業員が9月に在宅勤務を 20 日間行い、1か月に基本使用料や通信料1万円を負担し た場合の業務のために使用した部分の計算方法。
      
10,000 円 ×  20 日(在宅勤務日数) × 1/2= 3,334 円(1円未満切上)
        30 日(9月の日数)
(注)上記の算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本使用料や通信 料の金額を算出し、その金額を企業が従業員に支給している場合についても、従業員 に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

トランクルームの賃貸業務に係る課税関係

《質問》

 個人が行うトランクルーム賃貸業務に関わる課税関係全般についての質問です。トランクルームはコンテナ型でなく、コンクリート基礎打設してその上に軽量鉄骨造の2階建て小規模建築物を建築、内装工事として室内にトランクルーム25個を設置、中にエレベータも設置しています(全て同一工事契約です。)。そのトランクルルーム収納スペースの賃貸となります。
(1)トランクルーム賃貸の所得区分は、どのようになりますか。年間収入金額は300万円位です。
(2)サブリースの場合には、上記(1)の所得区分は変わりますか。
(3)耐用年数は何年でしょうか。また、建築確認申請する場合としない場合で変わりますか。
(4)当該建築物は、償却資産税の対象でしょうか。それとも建物として固定資産税が賦課でしょうか。
(5)相続税の財産評価をする場合、当該トランクルームの敷地について貸家建付地評価とはなりませんか。また、サブリースの場合も同様に貸家建付地評価できないでしょうか。
(6)個人は従前から駐車場業(アスファルト敷)を行っておりますが、事業的規模ではありません。この場合このトランクルームの敷地に小規模宅地等の評価減はできますでしょうか。また、サブリースの場合は小規模宅地等の評価減はできますか。

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譲渡した業務用資産に係る借入金利子は必要計費となるのか

《質問》

 賃貸アパートを3棟所有し不動産貸付業を行っている個人Aは、借入金で取得したアパート1棟の空き室が多く採算が取れないため、当該アパートを売却し借入金を返済することにしましたが、売却予定価格は借入金残高よりも少なく、このままでは借入金を継続して支払う必要がでてきました。このような場合、売却後に支払う借入金利子は必要経費になりますか。解説本によると、「譲渡により業務用資産が存在しないことになるため、譲渡した日以後に支払う借入金利子は必要経費に算入できない」としているものがありました。

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準確定申告書の提出者について

《質問》

 個人Aが亡くなりましたが、亡くなるまでの期間に対応する不動産所得等があります。個人Aの準確定申告書の提出等の手続きをしなくてはなりませんが、民法上の相続人も包括受遺者もいません。法定相続人ではない特定受遺者がいるのですがどのようになるのでしょうか。

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土地先行取得に係る住宅ローン控除とコロナ特例・税制改正

《質問》

 個人Aは、平成30年3月26日に住宅建設目的で土地をローンで取得しました。その後、ハウスメーカーを吟味するのに時間を要し、その後のコロナの影響もあり令和2年6月になり甲社との間で工事請負契約書を締結するに至りました(別途住宅ローン組み)。令和3年1月に住居が完成し、まもなく居住を開始しました。住宅ローン控除(控除期間13年の特例)の適用はどのようになりますか。また、敷地取得に係るローンは新築の日前2年超となっていますが、控除の対象とはなりませんか。

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短期退職手当がある場合の退職所得金額の算出について

《質問》

 令和4年1月1日以降の退職所得金額の算出について改正がされたと聞いています。どのように改正されたのかご教示願います。

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申告期限までに遺産分割が確定しない場合の国外転出(相続)時課税

《質問》

 個人Aはこれまでずっと日本に居住していましたが、3月ほど前に死亡しました。相続人は配偶者B、子C、Dの計3人で、B、Cについても日本に居住していますが、Dは外国人と結婚し、国外に居住しています。現在のところ遺産分割は整っていませんが、相続財産は有価証券が1億円以上あり国外転出(相続)時課税の対象となるのでしょうか。また、有価証券以外にも賃貸建物等の財産があり、相続時までの不動産賃貸収入が生じています。

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支払った管理料が過大となっていたため過年分に遡及して返金を受けた場合の処理

《質問》

 個人Aは不動産貸付業(事業的規模)を営み確定申告を行っています。不動産管理会社へ支払う管理料は、当初受け取った収入の5%相当額とし、4年経過後は3%に減額する旨の取り決めとなっていました。しかしながら、Aは支払額を減額することなく5%相当する額を7年にわたり払い続けました。この度、誤りに気が付いて管理会社は払い過ぎとなっていた額をまとめて返還すると連絡してきましたこのような場合、どのように申告をしたらよいかご教示願います。
 参考までに固定資産税の金額が課税誤りにより過大になっていた金額を遡及して還付を受けた場合、受領した時の収入金額として計上すべきだとの裁決事例があります(平30.2.13付)。

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合併に伴い被合併法人の役員に対し退職金を支給することの是非と退職所得控除

《質問》

 A社(合併法人:平成8年1月設立)はB社(被合併法人:平成10年3月設立)を令和3年9月に吸収合併することになりました。B社では合併することを機に設立時からの代表者甲に対し、退職金を支給することを予定しています(B社は未払金処理、A社で支給)。甲はA社においても代表者であり、引続きA社の代表者に止まりますが退職金の支給についての課税上の問題はありませんか。
 なお、甲は、3年前にA社に吸収合併されたC社からも退職金の支給を受けていますが(勤続年数 8年:勤続期間 平成22年~30年)、このような場合の退職所得控除額の計算はどのようになりますか。

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